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キャッチャーフライでタッチアップ

12/03/28 コンテスト(テーマ):第一回 時空モノガタリ文学賞【 新宿 】 コメント:0件 リトルパリーグ 閲覧数:2170

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新宿中央公園では別れ話が行われていた。
ぼくは男で、相手もクソ男。ぼくもクソ男で、なーんにもとりえのない30歳に近い二人。午前3時の真夏のベンチはひんやりも蒸し暑くもなかった。

「もう一度だけ、いっしょにやってみてくれませんか」
「なんでも言うとおりにするのでお願いします」

ネタを考えていたのはぼくだったので、相方のクソ男は引きとめようと必死だった。ぼくは冷酷だった。
「もう、お笑いはやらない」

相方のせいじゃなかった。もう、ネタが思いつかなくなっていた。

空き缶拾いのおじさんが「一日やればたばこと缶ビールくらいは買えるからよ」と言って自由を謳歌しながら空き缶を水道で洗っている。

「京都から来たんですけど、財布を落としてしまって。電話代でいいんでお金を貸してもらえませんか?」小奇麗な格好の老婆に千円を渡す。いいことをしたなあ、と思っているとクソ男が「有名な物乞いのおばあさんですよ。体も売るらしいですよ」

明けてくる夏の新宿。下を向いたまま動かない相方を無視して、自転車にまたがる。
方南通りへ向けて、ペダルをこがずに坂を下った。

何をやるのも自由なんだ、と新宿という街が再認識させてくれた。


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