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鮎風 遊さん

この世で最も面白い物語を見つけ出したい。 そのために、ひとり脳内で化学反応を起こし、投稿させてもらってます。 テーマに沿った個別物語の他に、いくつかのシリーズものをコツコツと書き続けさせてもらってます。 その主なシリーズものを紹介させてもらいます。  ☆❤☆❤☆ 新シリーズ 『ツイスミ不動産』 __ 2017.07.16よりスタートさせてもらいました。 カサリンとクワガタ野郎があなたが求める終の棲家を紹介いたします。  ☆❤☆❤☆ 『刑事 : 百目鬼 学(どうめき がく)』 __ 2017.05.21 ただ今、27話 __ 1話完結の2000文字推理小説です。この少ない文字数の中で、百目鬼刑事と部下の芹凛(せりりん)がいかに事件を解決していくか、その醍醐味を味わって頂ければ、光栄です。 これからも引き続き難しい事件に挑戦して参りますので、よろしくお願いします。  ☆❤☆❤☆ 『漢字一文字の旅』 __2017.04.04 ただ今、連載41__ 漢字にまつわるエッセイです。  ☆❤☆❤☆  『歴詩』 __歴史上の人物になりかわって、その波瀾万丈の生き様の思いを詩に綴らせてもらってます。 本作品については、フォト音(on)小説という形で、you tubeにもUPさせてもらってます。 詳細はこちらHPです。  ☆❤☆❤☆  http://ayukazeyuu.net/index.html  ☆❤☆❤☆                         よろしくお願いします。              

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未確認生物 『パンダ猫』

12/09/06 コンテスト(テーマ):【 猫 】 コメント:4件 鮎風 遊 閲覧数:3506

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「浩二、卒業してからどうしてたんだ。それで……、発見できたのかよ?」
 駅構内にある喫茶店で、私は学生時代の友人、稲瀬浩二に向かい合いズバリ尋ねました。なぜならあの頃の浩二は未確認生物探検同好会のリーダーをやっていて、よくリュックを担(かつ)ぎ山や無人島へと出掛けていたのを憶えていたからです。

 そう言えば、当時はツチノコブームでした。探検から帰ってきた浩二はその存在の可能性を喜々として語っていました。そんな浩二がやっぱりあの頃と同じように大きなリュックを背負い、改札口からふらっと出てきました。そして私の目の前をヨタヨタと通り過ぎようとしたのですよ。
「おーい、浩二じゃないか、久し振りじゃん!」
「おっ、直樹、直樹だよな! おまえ、元気でやってたか?」
 思わずこんな声を掛け合ったわけですが、懐かしくもあり、すぐに近くの喫茶店へと入りました。そしていきなり「発見できたのかよ?」と質問を飛ばしたものですから、浩二はブルブルッと身震いし、こう答えたのです。
「ああ、ツチノコのことだろ、あれはちょっとね。その後はカッパを追いかけて、発見までは……なかなか至らなかったんだよなあ」
 浩二の歯切れは悪かったです。しかし、その割には目がどぎつく輝いていたのです。

 私は浩二のことはよく知ってました。だいたいこいつは新たな未確認生物、その標的をセットし直すと、目をキラキラと、いやギラギラとさせるのだと。
「それで、今は何を追っかけてんだよ?」
 私は気を利かして訊いてやりました。
 絶対浩二は喋りたかったのでしょうね。それから堰を切ったように、奇々怪々なことを……というか、ちょっと滑稽な話しを始めたのです。

「直樹、よーく聞いてくれよ。まだ確認されてないんだけど、確かにいるんだよなあ……猫が」
「猫? 猫ってニャオを鳴く猫だろ。そんなのそこら中にいるじゃん。それともイリオモテヤマネコでも?」
 私がわけがわからず聞き返すと、浩二はもったい付けて小声で囁くのです。
「そんなのじゃないよ。それは……パンダ猫だよ」
「パンダ猫?」
 私は意外で、大声を発してしまいました。すると浩二がシーッと人差し指を口にあて、「色は匂へど散りぬるを我が世誰ぞ常ならむ有為の奥山今日越えて浅き夢みじ酔ひもせず」と風流っぽくひとくさり唱えて、それからですよ、浩二の講釈が始まったのは。

「パンダはネコ目(もく)にあり、猫や虎と親戚なんだぜ。トラ猫っているだろ、だからパンダ猫が生存していても別に不思議ではないだろ、そう思わないか?」
 確かにそれも理屈だけど、トラ猫がいるからパンダ猫もいるって、ちょっと思考が飛躍し過ぎてる感じもしました。しかし、ここは学生時代の友人、少し気を遣ってやり、「そのパンダ猫って、どんなヤツなんだよ?」と訊いてやりました。すると浩二はあの頃と同じ満面の笑みを浮かべるんですよね。

「あのなあ、パンダ猫は体長75センチ、孤独を好み、喉をゴロゴロ鳴らし、その辺を徘徊する。だが小判には興味を示さない」
 私はこれを聞いて、「おいおいおい浩二、それって普通の野良猫じゃん」と文句を付けてやりました。すると浩二はムッとなり、さらに勝手な主張を続けます。
「毛色は白黒のツートーン、目の周りは黒く、尻尾は丸く、雑食。ゴロンと上を向いて遊ぶ。そんなヤツだよ」
「ちょっと待った! 浩二、今度はそれって、まったくのパンダじゃないか」
 私はさらにブーイングです。しかし、浩二は涼しい顔で言ってのけたのです。
「だから、それが……パンダ猫だよ」
 その上に、「パンダ猫はどうも鍾乳洞をねぐらにしていて、奥地の山で遊んでるらしいぜ」と、まあいい加減なことを吐き続けます。私はもうウンザリでした。しかし、浩二の次の能書きで、私はコロッと気が変わりました。

「直樹、よく聞けよ。福を招いてくれる招き猫っているだろ。それと客を呼び込む客寄せパンダっているよなあ。パンダ猫はこいつらが合体してんだぜ。つまり福と客の相乗効果、パンダ猫はお金を呼び込んでくれるのだよ。捕まえて飼ってみたいと思わないか?」
 貧乏サラリーマンの私は目から鱗が落ちる思いでした。そして私は決意したのです。未確認生物のパンダ猫を絶対に探し出してやろうと。

 次の週末です。駅構内で、大きなリュックを背負って目をギラつかせてるヤツがいましたら……。
 それは私……、そう猫友直樹です。

 もしよろしかったら、ご一緒しませんか?


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このストーリーに関するコメント

12/09/07 泡沫恋歌

鮎風さん、拝読しました。

とぼけた味わいのある「パンダ猫」面白く読ませて頂きました。
客寄せ効果のあるパンダと招福の猫の合体、パンダ猫は最強ですね!

客商売には是非、欲しいパンダ猫。
私もリュックを背負って探しに行きたくなりました(笑)

12/09/10 鮎風 遊

泡沫恋歌さん

探しに行きましょう、幸運のパンダ猫を。

12/12/07 ドーナツ

パンダ猫、忘れられないキャラですね。
ツチノコは見つけたら100万くらいゲットできるとか。

直樹くんは、まだ探してるのかな。

13/11/29 鮎風 遊

ドーナツさん

はい、直樹ずっとは探し続けて、
最近、「金運 パンニャ」であたらしい展開が。

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