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にぽっくめいきんぐさん

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逆の立場で言えば、要はこういう事

16/04/11 コンテスト(テーマ):第105回 時空モノガタリ文学賞 【 水族館 】 コメント:6件 にぽっくめいきんぐ 閲覧数:1423

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 海中に「陸族館」が開かれた。土が盛られた大きな領域に空気を溜め、強くて透明な膜で囲み、土の上に、陸の生き物である「陸族」を大量に放つ。水中で陸族を鑑賞できる、水族の親子連れやカップルに人気の施設だ。

 イルカの母子がやってきた。
「すごーい! たくさん超音波の反響があるよ!」
 子供イルカが、はしゃぎながらバーク音の超音波で母イルカに言った。
 イルカは超音波で相互通信をするだけではなく、エコロケーション超音波の反響により、物体や方位の認識をするのだ。
「そうね、かっくん。陸族がたくさんいるわね」と、母イルカもホイッスル超音波等で返事をした。
「ママ、こっちにいるのは? フサフサが顔を覆っているみたいだよ?」
「ライオンっていうの。獰猛な牙で他の陸族を食べる、陸族の王よ」
「強いんだ! じゃあ、あっちのは? 棒があるよ!」
「キリンさんね。お口と体の間に、長い棒が生えているの」
「長い棒は、何のためにあるの?」
「遠くのご飯も食べる事ができるのよ」
「近くまで、泳いで行けばいいのにね」
「そうは陸族問屋が卸さないのよ。かっくんは、その尾ビレで自由に泳げるでしょ? 陸族はそうじゃないの。左右にしか行けないのよ」
「不便だね。じゃああれは? 小さくてヒラヒラ泳いでいるよ!」
「空族の、チョウっていうの。左右のヒレはハネといって、空を泳ぐためのものよ」
「空ってなあに?」
「陸の上の、水が無い所の事よ」
「水が無いのに泳げるの?」
「そう。空族は空の中を泳げるの」
「じゃあ陸族も、陸の中を泳げるんだね?」
「モグラはできるみたいね。でも普通の陸族は、陸の上を泳ぐのよ」
「不思議だね」
 かっくんと呼ばれた子供イルカは、今度は、右前方からきた陸族の集団を、新幹線の頭みたいな口でぷいん! と指しながら言った。
「陸族がいっぱいきたよ!」
「ヒトっていうの。2つの尾ビレを交互に出して泳いでいるでしょ? アシというのよ」
「不思議な泳ぎ方をするんだね!」
「おもしろいわよね」
「そういえば、ライオンは尾ビレが4つだったよね。2つも多いや。さすが陸族の王だね!」
「ところが、ヒトの方が栄えているの。尾ビレがライオンより少なくても、力が弱くても、ヒトはドウグというものを体の代わりにできるの」
「ドウグって、どんなものなの?」
「クルマ、というのがあるらしいわ。4つの尾ビレでライオンより速く走れるんですって」
「すごい!」
「でも、そのドウグで、ヒトがヒト自身を傷つける事もあるらしいのよ」
「ひどいよ!」
「あたし達も、ストレスが溜まると弱い仲間をいじめたりするでしょう? それと同じだと思うわ」
「そうなんだ。あ! あっちのヒト達は、みんな同じ方向に泳いでいるよ! 速くて、マグロの群れみたい!」
「キョウホっていうの。陸に足をつけたまま、体をくねらせて泳ぐのよ」
「必死だね! 生き急いでいるね!」
「陸族も空族も、みんな生き急いでいるのよ。水族だって、サケなんかは、ものすごく生き急いでいるわ。川の流れに逆らって、泳いで、泳いで。子供を生んだらすぐ死んじゃう」
「せつないね。キョウホのヒト達も、川で子供を産むために、急いでいるんだね!」
「さて、どうかしらね」
「あ! そっちには、あちこちからヒトが集まっているよ!」
「スクランブルコウサテンね。みんな、自分の行きたい方向に泳ぐんですって。ヒトのワガママさを象徴するシーンだって、イルカの博士が言ってたわ」
「泳ぐ場所、分ければいいのにね」
「効率悪いわよね……ピャアアアアアアアア!」
 母イルカから、緊急を告げる超音波が発せられた。
「ママどうしたの! どこへ行ったの? 潮に流されたの?」
 慌てふためくかっくんイルカ。辺りを泳ぎ回って探すと、しばらくして、上の方からママが戻ってきた。
「かっくん、そこねー!」
「ママ! よかった!」
「ビックリしたわ。小腹がすいて、その辺のイカを食べたら、口に激痛が走ったの。水の上に、ものすごい勢いで引っ張られたわ!」
「おっかないよ! なにがあったの?」
「多分、ニッポンジンというヒトね。イッポンヅリをしかけたのよ。マグロや、たまにあたし達を捕まえる、罠の事よ」
「ひどい! あと、もうイッポンはどこに行ったの?」
「そんな枝葉はどうでもいいのよ。たくさん暴れたら、引っ張られるのが止んだの。ようやく戻ってこれた」
「あぶなかったね」
「今日は危険なようだし、そろそろ帰りましょう? 途中のイカは、食べないように気をつけるのよ」
「わかったよ! あとで、サバ、いっぱい食べようね!」
「そうね」
 泳ぎ去る2頭のイルカに、陸族館の飼育員イルカが、ホイッスル音の超音波で声をかけた。
「陸族館『ムー大陸』へお越しいただき、誠にありがとうございました! またのご来園を!」


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このストーリーに関するコメント

16/04/13 にぽっくめいきんぐ

小狐丸様、はじめまして!
ありがとうございます!

沈んだムー大陸にも、シブヤとかアキハバラとかがあったら面白そうですよね(笑)

次も、おそらくはこんな感じで頑張ります。
お読み頂き、ありがとうございました!

16/04/14 あずみの白馬

拝読させていただきました。
逆から見ると言う発想が面白かったです。

我々人間も、水生生物の全てを知っているとは言えない。と言うことがイルカたちの会話から思い出されました。
良作であったと思います。

16/04/14 にぽっくめいきんぐ

あずみの白馬様 いつもお世話様ですm(_ _)m

物書きを始めて4ヶ月なので、基本が無いんですよね。
描写とかで勝負が出来ないので、目下、発想頼りです(苦笑)ただ、それだと限界があるので、基礎を積むつもりでいます。

今、空き時間に「水族館」を上から読んでは、評価ポイントやらコメントやら、っていう事をやっています。
もうちょっとで、あずみの白馬さんの小説に到達するので、少々お待ち下さいませm(_ _)m

16/04/24 冬垣ひなた

にぽっくめいきんぐさん、拝読しました。

イルカの親子が巡る陸族館、愉快な発想ですね。
次から次へ、なじみのある陸族の紹介が楽しかったです。
ほとんど会話文だけで話を進める見せ方は、より楽しさが強調されていいと感じました。
笑いの質も素晴らしい、面白かったです。

16/04/25 にぽっくめいきんぐ

冬垣ひなた様
お読みくださりありがとうございますm(_ _)m

私が水族館に行った時に面白いなって思ったのは、いろんな種類の水族がいるんですよね。生態も違うし。
なので、陸族達も、2000字に収まる範囲でなるべく多く出したかったです。

楽しんでいただけたようでよかったです!
ありがとうございます。

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