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seikaさん

かつては女子中学生でした。

性別 女性
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仔猫のチーちゃん

16/03/30 コンテスト(テーマ):第106回 時空モノガタリ文学賞 【 ねこ 】 コメント:0件 seika 閲覧数:677

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それはその年に白いママ猫が産んだ何匹かのうちの一匹だった。
兄弟たちはほとんど母親似の白い子だったけど、その子だけはこげ茶っぽい三毛だった。そしてその子が一番小さく、そしていつまでも甘えん坊だった。
近所の小学生の女の子はその子にチーちゃんと名づけて特に可愛がっていただから地位ちゃんはとても人懐っこく、抱っこが大好きだった。抱っこしてあげるととても喜び、そしてとても軽い。そして小学生の女の子がなによりもチーちゃんを可愛がっていた。

 しかしその女の子は四月からその土地に引っ越すことになった。最後は名残惜しそうにちーちゃんを抱っこし、頬ずりしそして涙を流して

「チーちゃん、幸せになるんだよ。」

といって別れを惜しんだ。その光景を見ていた私は、出来れば自分がチーちゃんの親代わりになってチーちゃんを幸せにしてあげたいと思った。

 しかしチーちゃんはノラ猫だ。近所ではノラ猫にご飯をあげたり可愛がると怒るじいさんが居る。だから小学生の女の子だって夜遅くなってからチーちゃんを可愛がっていた。わたしもあたりが暗くなってからチーちゃんにキャットフードなどを持っていってあげた。チーちゃんは私についてきて離れない。あの女の子がしたように私も抱っこしてあげる。チーちゃんはとても幸せそう。でもいつまでもチーちゃんと一緒に居られない。ころあいを見て私は急いで駆け足で家に帰ってくる。そして翌日も暗くなってからチーちゃんのところに行ってあげる。そしてありっだけの愛情を注いで抱きしめてあげる・・・。

そんなある日、隣の奥さんが血相を変えてすっ飛んできた。

「お宅の家の前で猫が跳ねられて死んでいますけど・・・。」

急いで飛び出してみる。するとチーちゃんが口から血を流して道路の脇に横たわっていった。

「あ、チーちゃん・・・。」

私は思わず言葉を失った。そして涙があふれて止まらなかった。

「・・・奥さん・・・。」

隣の奥さんが思わず私にハンカチを差し出す。

「・・・お宅の飼い猫・・・だったんですか・・・?」

「・・・いいえ、ノラなんだけど、そのうちウチの子にしてあげようと思っていたんです・・・。

「・・・そうですか・・・何とかかんとかお宅まで来たんですね。」

と隣の奥さんも目を潤ませている。

 そして私は庭に小さなお墓を作り、チーちゃんを埋めてあげた。その晩は一晩中ろうそくをともした翌日となりの奥さんが自分の庭に咲いているジャーマンアイリスを持ってきて一緒にチーちゃんの冥福を祈った。

「ああ、あの時、私があの子をウチに連れて行ってあげたら・・・。」

と思うと悔やまれてならない。

 

そして白いママ猫はその翌年、何匹かの子を産んだ。皆真っ白だ。近くに学生アパートが出来、女子学生たちが仔猫を可愛がっている。彼女たちはその前の年、不運の死を遂げたチーちゃんのことは知らない・・・。そしてチーちゃんと別れなければならなかったあの小学生の女の子はどこで何をしているのだろう・・・。たとえチーちゃんがうちの子になったとしても、でもいつかは天へと帰るのだが、しかし私の許で幸せな日々を送らせてあげたかった・・・。


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