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左足の小指さん

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モンスター達のカーニバル

12/09/02 コンテスト(テーマ):第十二回 時空モノガタリ文学賞【 オリンピック 】 コメント:0件 左足の小指 閲覧数:1465

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苦しい・・助けて・・くれ、息が出来ない!!
あまりの苦しさに目が覚めた・・また、あの夢だ。
ロンドンオリンピックから、もう4年も経つというのに・・
この時期、体調をベストに持っていかないといけないのだが、ポジティブにと思えば思う程、地球が止まってくれればいいなどと後向きの考えに自分が包み込まれる。

スタジアムを走り始めると10秒というでかい壁が現れ、僕は派手にぶち当たる!他国の選手はそれを軽々と飛び越える。見ると、その背中には、立派な翼が生えている。100mを走り、金メダルを獲った男を世界は超人と呼んだが、僕は、彼を鳥人と呼ぶ・・だって、飛んでるじゃないか!
それに比べ、僕ときたら10秒の壁にへばりついて手足をバタバタさせ、何とか向こう側に行こうと手を掛ける所を汗だくになって探す。
{急いで登れ、一歩を2m99cm5mmで走ればいいだけさ}
空から声がする!
「僕だけ、何で人間なんだ〜!!」
今日は、自分の声で目が覚めた。

目が覚めると知らない男と目が合った・・他に三人もいる!
とっさに開いてるドアから、男達の間をすり抜け、走った。
窓も開いていたが、大会前で怪我をしたくなかったし、男達もドアから出ると思っていなかったらしく、上手くいった。
勿論あとを追いかけて来たが、いくら何でも一般人には負けない、軽く流す。僕も誰かに背中を見せたかったのかも知れない。しかし、彼等の目的は僕と走る事ではなかったらしく、曲がり角の壁に何かがめり込んだ。
これはドラマなどで見た事のある弾という物だろうか!
忘れていた・・ここはブラジル、パンの様に銃が買える国だ。余裕のなくなった僕は全力で走り、彼等を振り切った。
屋台でコーヒーを買う。幸い、ポケットに小銭が入って助かった・・小銭と一緒に見覚えの無い鍵も入っていた。何の鍵だろう?
コーヒーを飲みながら、さっきの状況を思い浮かべて見た。最後の100m・・10秒切っていた体感がある・・計りたかった。じんわり、背中に汗が出る。熱いコーヒーのせいでは無いと思った・・
ああ・・ここは太陽も花も明るい。僕は、急に目の前を歩く女性も美しく見えたし、飲んでるコーヒーもおいしく感じた。
今までフィルターの掛かったような世界が一変した。
正確ではない、しかし、僕の感じたスピードの嬉しさが止まらず、バク転をして奇声を上げた。すると、遠くのお巡りさんににらまれた様な気がした・・
あっ・・思い出した!
僕に発砲した男達に昨日、会ったぞ・・僕にぶつかった、あの時に鍵を入れたんだな・・
あいつら警官に追われていた。
昨日、走ったコルコバードの丘へ行き、男達が来ていた方向に向かった。すると真っ赤な車がタイヤが無い状態で置いてあった。僕は、もしかしたら、この馬の模様が付いた鍵は、この車のではないかと思い、差し込んでみた。廻してみると軽やかな音がした・・途端!!中から人が飛び出して来た。僕の腹の上に転がり落ちたのは、子供だ。きっとかわいい子供だと思う。そっと頭にかぶせてある袋を取り、腕に巻いてあるテープも取った。かわいそうに・・
かついで警察まで行った。僕は、涙が止まらなかった。腹が立ってしかたなかった。何でこんな事をするんだ!浮かれていた自分にも腹が立つ!!
警察では、すぐに両親が来た。めちゃくちゃ喜んで、僕も警察官達も交え、大騒ぎだ。父親が有名人らしい。騒ぎは、夜まで続いた。
その間に犯人も捕まった。車の本体をレッカー車で取りに来たところを捕まえた。

犯人達は、母親が車を離れたすきを狙い、子供を車ごと誘拐した。それから、子供の両親に電話を掛ける為に車から離れたが、途中、警官に声を掛けられ、慌てて鍵をたまたま側にいた僕のポケットに入れたそうだ。鍵が見つかれば、車の事を聞かれると思ったらしい。
僕は、車の事はさっぱり分からないが、子供が入っていた[Enzo]という車のドアが開いている姿は、翼を持っている様だと後から、警察で見た時に思った。

それから数日後、オリンピックは始まり、僕は、翼を手に入れた。


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