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イルカさん

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防空壕

16/03/22 コンテスト(テーマ):第104回 時空モノガタリ文学賞 【 映画 】 コメント:0件 イルカ 閲覧数:1498

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                  防空壕

 夏木裕一は、電車一人旅をしていた。駅で観光マップを見ると、昭和の町並が保存され、映画のロケ地と書いてあり、面白そうだと思い行くことにした。ここから電車で二駅だ。
町に着くとタイムトレベルしたみたいに、昭和の雰囲気を残す商店街だ。散策しようと、商店街を歩きだした。大衆食堂に目に入った。お腹も空いていたので、昼食をとることにした。中に入ると懐かしいビールのポスターが貼られている。壁に貼ってあるメニューを見てカツ丼とビールを注文し店のおばさんにお勧めの見学場所を聞いてみた。
「そうだね。商店街も楽しめるけど、ロケ地の海岸の眺めが綺麗だけど、防空壕かね」
そこはガイドさんがいて、町の歴史も教えて
くれるそうだ。注文したカツ丼は、半熟の卵にサクサクしたカツで美味しかった、
食べ終えると、防空壕に行くことにした。歩いていると、映画館が見えて、何を上映しているのか。確かめたくなった。
戦争中の映画で、この町がロケ地だ。映画は一時間三十分の上映で、すぐに始まると分かり
映画を見ることにした
ドアを開けて受付でチケットを買うと館内に入った。客は誰もいなかった。座席といい、暗幕といい懐かしい匂いがする。ブザーな鳴り、場内は暗くなり始まった。
 映画は軍事工場で働く女学生の物語で当時の学校生活などが描かれていて映画を見て正解だ。映画館を出た。町の雰囲気が少し変だと気づいた。人が不思議そうな目でみている。歩いていると昔の巡査の服装をした人に職務質問を受けた。
「どこから来ました?」
「東京ですけど」
「職業は、大学で教員をしています」
「大学の先生ですか?」
「そうです」
「その服装は」
「何か変ですか」
 僕は、薄いピンクのポロシャツとジーパンだった。
「非常時に、ふさわしくない」
「この服装がですか?」
多分、ここは観光地だし、役者のパフォーマンスだと思った。しかし、パフォーマンスにしては、やりすぎだ。文句をつけようと思った。その時だった。突然、空襲警報は鳴りだした。
巡査は、慌てて周囲の人に「防空壕に避難しなさい」と大声で叫んだ。みんな必至で避難している。ひょっとしたら、これ映画の撮影かもしれない。それにしてもリアルだ。
その時、腕を捕まれた。
「何しているの、早く」力強く引っ張られた。
「あそこが防空豪よ」
前を見ると防空壕が見えた。息を切らしながら中に入ると、人でいっぱいだった。入り口付近で、子供の泣き叫ぶ声が聞こえた。あの女性が飛び出して子供を抱き抱えて、中に入ろうとした時に、大きな爆発がおきた。
すごい爆風の後耳なりがした。見ると女性は倒れている。一体何がどうなっているのか。パニックに状態になった。また大きな爆発がして、気を失った。目を覚ますと、映画館の中だ。汗びっしょりだ。寝てしまったのか。怖い夢だった。そう思いながら、映画館の外に出た。
やっぱり変だ。夢の中と同じだ。
 また、あの巡査だ。そして、空襲警報、あの女性が腕を引っ張った。もし、また同じならと思うと、女性と子供を助けなければと思った。先に防空壕に女性を入れ、子供を確認すると、爆発が起きて気を失った。
気がつくと、また映画館だった。どうなっているんだ。夢の中で夢を見ていたのか。
また、繰り返しなのかと思いながら、受付に行った。
受付に女性がいた。
「今日は、何年何月でした」
「2016年8月14日ですけど」
 あれは、やっぱり夢なのか。夢でよかった。
 映画館を出て周囲を見渡すと今の時代だと人の服装で分かった。防空壕が気になり、行くことにした。夢と同じ場所だ。中に入いると男性のガイドさんが、詳しく説明をしてくれた。やはり悲惨だったんだ。
 防空壕を出ると供養碑が目に留まった。僕は、あの女性を思い出して、花を供えたいと思った。
 「ガイドさん」
 「この近くに花屋さんはないですか」
 「お供えするのですか?」
 「ぜひ、そうしたいです」
 「あそこの曲がったところですよ」
「ありがとう、ございます」
ガイドさんは、僕を見て
「映画館に行かれたのでは」
「行きました」
「何か不思議な体験されませんでしたか?」
僕は、映画館での出来事を、話しはじめた。
「そうでしたか。僕も同じ体験者です、だからこうしてガイドをしています」
「ほんとですか」
「悲惨な体験を伝えたいのでしょう」
 女性は、町の記録によると女学生で用事があり町に出かけた時に空襲にあったそうだ。僕は花をお供えして冥福を祈った。そして
この経験を誰かに話そうと思った。


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