1. トップページ
  2. じゃもさん

海月さん

性別
将来の夢
座右の銘

投稿済みの作品

1

じゃもさん

16/03/02 コンテスト(テーマ):第103回 時空モノガタリ文学賞 【 同棲 】 コメント:0件 海月 閲覧数:920

この作品を評価する





朝起きると
彼はまだ寝ていて
それはいつものことなのだけれど

その寝顔を見ると
私はこの人と一緒にいて良かったな。
と、思う。

私は同棲している
彼氏のことを「先輩」と呼ぶ

だが、しかし
私たちは学生時代の先輩後輩でもなければ
職場でそういう間柄だったわけでもない。

だけど、私は先輩と呼ぶのだ。

その理由を述べようと
頭を半回転ほど、ひねらせて
ようやく思いついた言い訳のような理由は

「その呼び方がしっくりくるからだ」
という、ありきたりなものだが
それで納得して頂きたい。

事実、彼は5つ年上なので
先輩と呼んでも、そこに違和感は殆どないだろう。

ともかく、私は先輩の
剃り残した髭のじょりじょり。とした感触が
彼の外見でいちばん好きな部分である。

それが大変愛らしいので
親しみを込めて
先輩のことを「じゃもさん」と呼ぶ時期がある。

そのじゃもさんが
昨夜寝る前に突然こんなことを言い出した。

「みーさんは、宇宙に限りがあると思う?」

それは唐突な質問で
しかも難題なものだったので
私は45度くらい頭を傾け

「どうしたの?」
そう訊くことしか出来なかった。

じゃもさんは
たびたび突拍子もないことを言っては
私の頭をフル回転させ
最後に必ずお決まりの台詞を言うのだ

「意味なんてないんだけど、ね」


そうして、困ったような、怒ったような表情の
私を見て、声を出して笑うのだ。

きっと、私はからかわれているだけであって
同時に、それはじゃもさんの愛情表現なのだろう。
ということで納得している。

じゃもんさんの髭は
一般的に言うと無精髭で
数週間後には髭を剃るので

そうすると
呼び名も「じゃもさん」から「先輩」に
自然と変わる

じゃもさんは絵描きだけど
それだけでは食べていけないので
絵画教室の講師として働いている

旅が大好きで
日本の隅々を旅することを夢見ている

やかんは必ず笛吹きやかんを使わないと機嫌を損ねる。
ちなみに、誤って「笛吹きケトル」というと
ほんの少し機嫌を損ねる。

写真は時の流れに反するのもだという考えなので
私たちは1枚もいっしょに写っている写真はない

じゃもさんは、ふらりと旅に行っては
目に焼き付いたものだけを
スケッチブックに描いて帰ってくる

絵がアンバランスな様で
きちんとしたバランスを持ち合わせている
独創的なものを描くのがじゃもんさんの絵の特徴

笛吹きやかんの音が
やかましいくらいに部屋中に響きわたる

その音で、毎朝じゃもさんは目覚めるのだ
起きてきたら、彼には濃いめのコーヒーを
自分には紅茶をいれて

朝食前にお茶をふたりでする。
だが、しかしふたりの間にはあまり会話がない
じゃもさんは低血圧で朝は弱いのでぼーっとしながら
コーヒーを飲む。

その隣で私は歌を口ずさんだり、
即興で歌を作ってはじゃもさんに口元で笑われるのだ

じゃもさんがなかなか起きてこないので見に行くと
ベッドの上でぼんやりとしている彼がそこにいた。

本日は、寝癖を発見。

その
寝癖のついた髪の毛
まだ眠そうな瞳
もじゃもじゃの髭を見ると

自分は幸せ者なんだなあと
妙に納得できて笑えてくるのだ。






コメント・評価を投稿する

コメントの投稿するにはログインしてください。
コメントを入力してください。

このストーリーに関するコメント

ログイン