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kanzaさん

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考察〜気がした現象

16/02/26 コンテスト(テーマ):第102回 時空モノガタリ文学賞 【 ギャンブル 】 コメント:0件 kanza 閲覧数:887

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「なんなんだ!」
 自分の体を見て、思わず叫んでいた。感覚的には、俺はここにいるのに影も形もない。これはどういうことだ。知らぬ間に透明人間にでもなってしまったというのか。
 なにやらざわめきが耳に届いてくる。ここはどこだ、と見渡せば、どうやら競馬場にいるようだ。
 何が何だか分からない。とその時、よく見知った顔が目の前を通り過ぎた。
 えっ、どういうことだ。あれか? 世間にはソックリな人間が三人はいるってやつか? いやいや、服装まで見覚えがあるって……まさにこれは、顔、姿、格好、全てが俺そのものじゃないか。ということは、アイツがオレで、俺は幽霊? 生き霊? 幽体離脱? 頭の中は?マークだらけだ。
 混乱する中で、ふと大型モニターが目に止まった。そこには馬の名が並んでいる。
「この出走馬には見覚えが……」
 デジャブか? あっ! そういえば、このレースは!
 目の前にいる競馬新聞を持つ中年男に、新聞を見せてください、と声をかけた。しかし、競馬オヤジは、新聞とニラメッコをしたままである。
 無視かよ! っていうか、もしかして見えていないし、声も聞こえてない?
 俺は勝手に競馬オヤジの新聞を覗きこんだ。
 間違いない。このレースは超万馬券が出たレースだ。たしか……6番が1着。そう、間違いなくこれだ。レース後、これって俺の誕生日じゃないか、と悔しがったレースだ。
「6月11日。そう、6番と11番だ」
 なんだか気持が高ぶってくる。たとえ、どんな状況であれ、超万馬券をゲットしてみたい。幽霊のような俺では手にできないとしても、アイツが、そう、俺の代わりにオレが。いや、もしかしたら、こうなって、そうなって、ああなって、どうにかなれば、俺が超万馬券を手にできるかもしれない。
 俺は急いでオレの姿を追いかけた。

 オレはいつもの場所で馬券購入用マークシートを手に、新聞を見ていた。
 俺は人混みの中を通り抜けて、オレに近づいた。新聞を覗き込むと、6番と11番には、赤ペンでしっかりと×印が付けられている。完全にこの馬は馬券検討から外している。そういうことだ。
「そりゃ、そうだよな。成績を見たら、どう考えたって、買えるわけがないんだよ」
 ため息まじりの呟きが漏れ、オレに声をかける。「なぁ、6‐11買えよ。絶対にくるから」
 うそっ! まじか。
 思いが届いたのだろうか、オレがうなずいたではないか。
 よっし! 喜びのガッツポーズをする俺。
 マークシートの数字を塗りつぶすオレ。
「くそっ! やっぱり声は聞こえないのか」
 オレはただ自分の考えに納得でもして、うなずいただけだった。だから、塗りつぶされたのは、まったく別の数字ばかりだった。
 記入を終えたオレがマークシートを手に自動券売機に向かっている。
 券売機の前で立ち止まったオレが、お札を入れた。これでマークシートも入れたら、馬券は発行されてしまう。
「待て! はやまるな」力の限り叫んだ。
 と何かを感じたのか、オレの手が止まった。
 思いは伝わる。伝わるんだ。
 慌てて駆け寄り、「6‐11を買ってくれ! 俺の、そして、お前の誕生日馬券だぞ」
 俺の魂の叫びに、オレは――顔を上げて辺りを見回した。そして、新聞に目を落した。
「よしっ! まだ間に合う。考え直せ!」
 だが、耳をほじくったオレは、首を横に振って、この馬は絶対にありえない、と呟いてマークシートを機械の中へと入れてしまった。
「くそっ!」
 虚しい叫び声が俺の中だけで響きわたった。

 叫び声を上げ、俺は目を覚ました。見慣れた白い天井が目に映っている。
「夢……そうか、やっぱり夢だったのか」
 ため息が漏れた。服装といい、状況といい、やっぱり昨日行った競馬を夢で見ただけだったのか。いや、まてよ。
 跳ね起き、慌てて携帯電話に飛びついた。
 これって予知夢かも! 
 だが、その期待は儚く崩れた。目をこらし何度見ても、表示された日付は変わらない。間違いなく競馬開催の次の日である。
 ふと夢のことを思い、昨日ことを思いだしていると、ある記憶が引っかかった。
 昨日、マークシートを発券機に入れる前、確かに何かを感じていた。なんとなく、6番と11番の馬が、きそうな気がして、もう一度、新聞へと目を向けていた。でも……買わなかった。
 あぁー、悔しい!
 あれ? ってことはこれって現実? うーん……。
   ★
 はい、みなさん。これがギャンブルしている時などに起こる気がした現象≠ナす。みなさんも、よく○○な気がしたんだよな、なんて後で悔しがることありませんか。それはもしかしたら未来のあなた≠ゥらのメッセージを受け、そう感じているのかもしれませんよ。


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