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W・アーム・スープレックスさん

性別 男性
将来の夢
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必殺技あれこれ

16/02/24 コンテスト(テーマ):第75回 【 自由投稿スペース 】 コメント:0件 W・アーム・スープレックス 閲覧数:1041

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 プロレスの必殺技はたくさんある。ここでいう必殺技とは、文字通り、その技で相手を
KOするか、ギブアップさせるか、あるいはそのままスリーカウントを確実に奪ってしまう技のことを指す。
 KOやギブアップさせなくても、見た目に華麗で、またエキセントリックな必殺技もある。カール・ゴッチのジャーマンスープレックスなどはKO必死だったし、ミル・マスカラスのフライングクロスチョップは文字通り輝かんばかりの華やかな空中殺法だった。
 ドロップキックの名手といわれるレスラーはこれまで何人も来日しているが、なかでも試合前にリング上で手鏡をもって髪の乱れをなおすお洒落というかキザというか、黒人選手のスィートダディシキのドロップキックほどファンタジックで見事なものはなかった。  ただマットを蹴って飛ぶだけではなかった。相手の胸板を蹴ってマットに落ちるなり、背中をさながら米搗きバッタのように躍動させてすっくとたちあがったかと思うと、すぐさまふたたび相手にむかってドロップキックをしかけ、また落ちると同じ要領でたちあがってはドロップキックという繰り返しで、受ける相手は何度も彼の勢いのついたブーツの洗礼を浴びるという、まるでアリ地獄にすべりおちた虫のような残酷な運命に見舞われるのだ。
 かつてこのようなドロップキックを使った選手は誰ひとりもいなかった。シキは、黒人選手特有の柔軟性を利用して、これまでの飛び蹴りに、自分なりの工夫を加えてこの素晴らしい技を完成させたのにちがいない。
 鉄の爪フリッツ・フォン・エリックのアイアンクローも、それがはじめて日本のリングで披露されたときは、観客もテレビの前のファンも、その凄惨ともいえる技に慄然として声もでない有様だった。
 長時間この技ばかりかけ続けられてとうとう、対戦相手は額から血を流してギブアップを余儀なくされた。たしかその時の試合を裁いたレフェリーが一般の新聞に、「こんな凄まじい技はかつて見たことがない」とコメントを寄せていたような記憶がある。
 その手のパワーたるや、握力計がぶっ壊れるほどの握力で、それがどれくらいかというと、中身の詰まった缶ビールを縦にグシャリと握りつぶすところのビフォー・アフター写真が当時の雑誌に掲載されていた。それはもちろん強度の強いスチール缶だったはず。こんな物凄い手で額を万力のようにしめつけられる相手の選手もたまったものではないだろう。
 いまのプロレスでは、もはやこんなクロー技は必殺技でもなんでもなくなった。使う者はいるのだろうか。こんな技ばかり5分も10分も使っていたら、仕事をしろと客席からヤジがとぶかもしれず、それこそ握りつぶしたアルミ缶をなげつけられるおそれがある。
 あとひとつ、コブラツイストという名の、もはや必殺技とは呼べなくなった技がある。 相手の体にややこしく手足を絡ませて締め付ける技で、ディック・八ットンという名選手がこのコブラツイストでたしかに相手をギブアップさせていた。しかしいまこれでマイッタなんかしたら、練習不足となじられるのがおちだろう。選手たちにも技にたいする抵抗力がついて、またトレーニング法などの変化から肉体も飛躍的に強化され、当時必殺と謳われた技がいまでは繋ぎ技に用いられるようになったのかもしれない。
 古くは力道山の空手チョップ、ルー・テーズのバックドロップ、ザ・デストロイヤーの足四の字固め………それぞれの必殺技が代名詞となったレスラーの時代の話といえるだろう。


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