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あすにゃんさん

主にエッセイ日記を、土日を除く毎日書いてます。

性別 女性
将来の夢 物書きになること
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逃げろ!

16/02/22 コンテスト(テーマ):第75回 【 自由投稿スペース 】 コメント:0件 あすにゃん 閲覧数:850

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逃げろ!
 
「逃げろ!」
 叫び声とともに、大学生ぐらいの男が宗八に向かって走ってきた。
 そのまま、宗八にタックル、道の奥へ連れて行く。
「おいおい、俺は荷物じゃね〜ぞ!」宗八は叫んだ。
「待て! 待てー!」
 警棒を握って、警官が走ってくる。
 催涙ガスが、シュワッと発射される。
 げほげほ言いながら、宗八は、男と共にその奥の神社裏口へ走り込んだ。

「おまえ、デモに参加してなかったな」
 男は、宗八を責めるように見ながら言った。
「なん……、いったいなんなんだ、デモって?」
 宗八は、問い返す。
「オレたちは、違法デモ隊。だから機動隊が出たのさ。おまえは?」
 男は、訊ね返した。
 宗八は、ざっといままでのことを話した。
原因不明病に倒れた妹を治す医者を探してる。
 両親に黙って、東京まで出向くことにしたのだ。
 手持ちのお金は、わずか二万円。
 それで妹の病気を治してほしい、というのは虫がよすぎるのかもしれない。
 なにごとも、トライだ。やってみるべきなのだ。
「おまえ、アホだな」
 男は、ちょっとあきれながら、「医者のアテでもあるのかよ」
「いや、とくに……」
「しょうがねえヤツだな! こっちに来な!」

 男は、宗八を、ある神社の所へ連れて行った。
「こいつは、どんな病も治してくれる」
 宗八は、いぶかしげに男を見たが、神社に向かってこう言った。
「どんな病も……?」
「さすがにバカにつける薬はねーけどよ」
「じゃ、妹は。直るのか」
 と、神社の奥から声が響いた。
「この若者を、妹さんに会わせなさい。王子さまのキスで王女は目覚めるでしょう」
「おいおい!」
 宗八は、思わず声を荒げてしまったが、男はさっさと宗八のリュックをかついでこう言った。
「神さまの言うことは聞くもんだ」

 数日後、妹は元気になった。
 男は、宗八に言った。
「あの神社には、ひとを癒やそうとして果たせなかった人の魂が祀られているんだ。病気と聞いたら、治さずにいられないんだよ」
 宗八の妹は、男を眺めながらこう言った。
「このひと、もっとハンサムだったら良かったのに」
「おまえが言うな!」
男は答えた。
 美人とはとても言えない妹は、にっこり笑った。
 二人はお似合いだな、と宗八は思った。
 男はその後、学生運動をやめ、大企業に就職。妹と結婚した。


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