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犬塚比乃子さん

日々修行です

性別 女性
将来の夢 小説家
座右の銘 家にて小説を書けば小説家なのだろうか。

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サンビョウシギャンブラー

16/02/13 コンテスト(テーマ):第102回 時空モノガタリ文学賞 【 ギャンブル 】 コメント:0件 犬塚比乃子 閲覧数:945

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 ―なぜ人間は賭けごとをするのか。その理由はいくつもあるに違いない。
 ―そもそも人が賭けごとに興じ夢中になり、やめられなくなる現象にかんしては脳内のホルモン物質が原因とされている。
 ひとつ、謎を解明しよう。
 ひとつひとつの謎をかけながら、お互いの腹を探りあって、命を賭し切磋琢磨しよう。
 そこに楽しみを見いだすことは何のためなのだろうか。答えは、
 ―命を賭すため。
 溺れるような博打をするために産まれてきたような類になどなりたくなくて、少年だったころの啓太は必死にあがいていた。よく借金を作って帰って来る父親や、それに耐える母親のようにはなりたくなかったからだ。
 ―もしくは、命を賭し得るものを手に入れるため。
 しかし、いくら勉強してもその場しのぎの仕事に打ちこんでも、彼はいっこうに報われなかった。
 ―父親が死んでからある日、ふと、かつておのれの父親がはまっていたギャンブルの世界に入りこんだ啓太は、自分には賭博の才能があることを発見してしまう。なぜかというと、彼は三秒先の未来を見ることができるからだ。
心臓の鼓動を最大で三拍がまんすること。それが、彼の未来を三拍分の秒数、未来を先読みし、巻き戻すことのできる代償だった。
麻雀、パチンコ、ルーレット、ブラックジャック、バカラ、チンチロリン、おいちょかぶ、こいこい、果てにはロシアンルーレットなどなど、彼は数瞬で勝負が決まる賭博にならば全てにおいて勝ち続けた。
不正がばれることなどなく、彼は数拍ぶんの自分の心臓の鼓動とひきかえにギャンブラーとしての名声をほしいがまましたのだけれども、金はあまり手元にのこさない。いや、結果としてのこらないのだった。
金が目的でギャンブラーをしているというのに、なぜ手元に金が幾分しか入らないのかというと、彼の最愛の母にその秘密はあった。体が弱くて心臓が悪い最愛の母には秘密にしながら彼女を生き永らえさせるための病院代を自分の心臓の鼓動と引きかえに、それこそ必死に稼いでいたのだ。
啓太は年老いた母にある日のこと、打ち明けられた。なぜ自らが、人よりも身体が虚弱で殊に、心臓が悪いのかということを。
彼女は言った。
「私も若いころ、ギャンブラーだったのよ。」


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