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林一さん

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子守唄

16/02/12 コンテスト(テーマ):第102回 時空モノガタリ文学賞 【 ギャンブル 】 コメント:1件 林一 閲覧数:1163

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 私は小さい頃に母親に捨てられ、施設で育てられました。
 私が覚えている母親の記憶といったら、私に歌ってくれたオリジナルの子守唄のメロディーくらいです。
 昔の私は、私を捨てた母親を許せませんでした。だけどその感情も、時と共に薄れてきて、やがて母親に会いたいと願うようになりました。
 私は現在、歌手として活動しています。私が歌手になろうと思った理由の1つは、もしも歌手として有名になれたら、母親が私に気付いて会いにきてくれるかもしれない、そんな淡い期待があったからです。
 しかし、母親は私に会いにきてはくれませんでした。無理もありません。もう10年以上も会っていないのですから、私が娘だと気が付かなかったのかも知れない。または、私が母親を恨んでると思って、会いづらいのかも知れない。そんな風に考えていました。
 私は母親に会うため、ある作戦を考えました。その作戦とは、母親の子守唄のメロディーを使った、新曲を出すことです。
 もしかしたら、この新曲のメロディーを聴いた母親が、私が娘だと気付いてくれるかも知れない。そして、私はもう母親を恨んでなんかいないことを知ってもらえるかも知れない。そのわずかな可能性に賭けたんです。

「このように、被告人はただ純粋に、母親に会いたい一心だったんです。その結果、実の母親から盗作で訴えられてしまうという、悲しい結末を迎えてしまいました。裁判長、どうかこのことを考慮して、判決をしていただくようお願い致します」


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このストーリーに関するコメント

16/03/06 光石七

拝読しました。
涙の母娘の再会を思い描いていたら、まさかのオチが(笑)
シンプルで面白かったです!

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