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犬塚比乃子さん

日々修行です

性別 女性
将来の夢 小説家
座右の銘 家にて小説を書けば小説家なのだろうか。

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基いみ子殺人事件

16/02/10 コンテスト(テーマ): 第74回 【 自由投稿スペース 】  コメント:0件 犬塚比乃子 閲覧数:783

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例えば、正月になってから餅を食べすぎ自らの体重が増加の一途をたどったとして、それは自分の意志において食しているかぎり、きっと自己責任において減量もなされるのだろう。
―薔薇がちりぢりなようすで散ってゆくとしてそれを薔薇薔薇と表現するとする。もしくは、ばらばらになった何かを美化する表現のひとつとして薔薇という漢字をあてはめるとしよう。
はたして、正しい表現方かどうかは別としながらにして、前述したとおりのケースを採用したさい、たとえばパーツごとに分解された死体が出現する事件について考えてみよう。
花がちるようすが殺人的でも、それとも、おおむねにおいて殺人後の死体が分解されたあとのものだとしても。もしくは、殺人後の死体が薔薇のようだったとしても。などなど、死体と薔薇が関わっていれば、それは薔薇薔薇殺人事件と表現したところであながち見当はずれではないはずだという理屈をこねながら。
 現に、人間の死体が眼の前にある状態においてそんな思考回路が働くとすれば、それはそれはごたいそうなシュチュエーションを連想する者が多いはずだということを、元いみ子は自ら妄想したことがある。
 しかし、現在、眼の前に繰りひろげられている、おそらく、ひとりとおぼしきの人間が殺されたあとだという現場というのはもともと意味を成すボキャブラリーの言語を口から声で発したところで、何になるのだろう。もしくは、一介の女子大学生である彼女、元いみ子の何かしらになったとでもいうのだろうか。
 屁理屈をこねよう。たとえ理屈になっていなくとも、それはそれで真実を言うことのほうが少ない彼女にとっては、それは、いい意味での鎮静剤の役割を果たす。または、はたさないとしても。
 冗談のように一輪の薔薇とメッセージカードが添えてある死体。メッセージカードには、いみ子の本名と、メッセージが記されていた。
 「この謎は解けるか。もといみこ。」
 と。
 ある意味、解体された人体というものは薔薇に例えるならばいささか不謹慎といったところだろうか。考える時間は、それこそ無限にあるように思えたにちがいない。静謐さを身にまとい、彼女、元いみ子という若い女は、ただ、そこにあった。
 はじめから動かずにそこにあった死体となって解体された基いみ子は、両の眼球で、たしかに一輪の薔薇を見据えていたのだった。 


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