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憂苦トウヤさん

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僕の好みは黒髪ロング

16/02/07 コンテスト(テーマ):第102回 時空モノガタリ文学賞 【 ギャンブル 】 コメント:0件 憂苦トウヤ 閲覧数:986

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「ゴメンねー、うち彼氏いるんよー☆」
彼女はそう言って僕が告白先に指定したキャンパスからそそくさ出て行った。
0勝23敗。これは僕の通算告白成績だ。
1年前の春、大学生になった僕こと田村健太は浮かれていた。サークル活動、合コン、飲み会。毎日のように遊んで楽しんでやると豪語していた。そして何より女を抱く。自分だけの女を持つことに関しての意気込みだけはすごかった。男子の性欲は尋常じゃない。彼女いない歴=年齢なら尚更の話だ。
しかし待ち受けていた現実は、割と当たってはいたが全部ではなかった。新しい大学ではそこそこ仲の良い友達は何人か見つかった。そいつらと合コンや飲み会に行くことは割とある。サークルはゲーム同好会とは名ばかりの遊び場。つまり何が言いたいって、遊びには困ってなかった。
しかし問題は女だ。出来ない。いくら告白しても成功しない。出会いがないわけではないよ?合コンで会った子に告ったこともあれば、同じ学部の子に告ったこともある。でも全部玉砕。ビックリするくらいに負けまくり。…心で語っていると涙が出てくるな。マジで。
とりあえず僕は負けた気をそらすためにいつものゲーム同好会の部室に向かった。部室にはいつものツレの一人蛍原がいた。
「おっ、また負けた?」
デリカシーのかけらもない。
「フられたんしゃない。彼氏がいただけだ。」
「やっぱフられてんじゃん。」
「そもそも、僕の好みは清楚系黒髪ロングで、そんな子いないから妥協しただけだ。だからノーカン。」
「昨日まで息巻いてた奴が何言ってんだか。」
「うるへー。」
蛍原はニシシとキモい笑い方しながら漫画を読んでた。ゴルゴ13。センスない。
「まぁそんなに悔しいならちょいとスカッとするか?」
「草はやらないぞ僕は。」
「それは馬鹿のやることでしょ。ほら付いて来い。」
蛍原に言われてスクーター二穴で向かった先はカジノだった。って
「カジノぉ!?」
「何だよ、そんなに珍しいか?」
「いやだってここ日本だよ!?」
「ほら、東京五輪のおかげでカジノやろうぜ的な動きとかあるじゃん?」
「あるじゃんって、法律じゃまだ禁止だろ!」
「細かいことは気にするな、行くぞ。」
「嫌だ、僕はまだ地下労働なんかしたくない。」
「肝がなっちゃいねぇな。ちゃんと持ち金は俺が出してやるから。」
「そういう問題じゃねぇよ!なんでこんな怖いところ行かなきゃなんないんだよ!憂さ晴らしどころか度胸試しじゃねぇか!」
蛍原よ!なぜお前はそんなに動揺してないんだ!感情どこか行ったか!?
そんな風に僕と蛍原が店の前でウダウダ言ってると、真後ろから凛とした声が聞こえた。
「すみません、通してくださる?」
僕と蛍原が見た先にいたのは、女の子だった。
背はそんなに高くない。が、威風堂々としたその出で立ち。そして迷いも曇りもないその瞳に、少なくともその場にいた僕は心を奪われた。後々知ったのだが、彼女は僕らと同い年だったらしい。「聞こえなくて?通してくださると言ったのです。」
「あ、すみません。」
僕と蛍原はスッと道を作った。その道をまっすぐ見向きもせず、彼女は進んでいった。
「ああいう金持ちは好かないな。」
蛍原が呟いた。だが僕はその言葉を聞こうともせず奇行に走っていた。
「あの、すみません!」
「なんですか?」
考えることもなく、体が勝手に動く。
「あなたのこと何も知りませんけど」
自分でも何してるかわからない。
「もしよかったら、僕と!」
一目惚れということだけ、それだけしか理解してなかった。
「付き合ってください!!!」
長い沈黙が訪れた。よく自分の感じる時間と実際の時間のズレ生じたなんて表現が映画などではよくされるが、まさにそれだった。こういうことあるんだなーとか考えてる客観的な自分がいたり、何やってんだー!から先の言葉がもはや日本語じゃない主観的な自分がいた。
「勝てたらいいですよ?」
そして長い沈黙の末、彼女は言った。
「このカジノで投資額の1.3倍の利益を出す事ができたら、良くてよ。」
彼女はそう言って進んでいった。僕の遥か前を。
「おいおいおいおい…絶対ヤバいって。ダメな奴だって。」
「…いくぞ蛍原。」
「マジかよお前バカかよ。」
「ここでいかなくて男を語れるか!ここで俺は漢になってみせる!」

結果は完敗だった。
「にゃはははは!まさか俺が用意してた投資額全部空にするとは!」
「うるせー、全部出すって言ったのはお前だろ。」
安い居酒屋で飲む二人の負け犬の姿がそこにはあった。
「本当に、運という運がないなお前は。」
「もう賭けごとなんてやらないぞ僕は。」
「隣、良くて?」
ナマ中の喉越しを味わってると、一人の女の人が隣に座った。
その顔を見ると、僕が飲んでるものがナマから空気に変わった。なぜなら、僕の好みどストライクだからだ。


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