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八子 棗さん

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バナナ動説

16/01/03 コンテスト(テーマ):第九十八回 時空モノガタリ文学賞 【 革命 】 コメント:1件 八子 棗 閲覧数:952

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 朝起きてスマホを見たら『地動説、否定される』というニュースが号外で通知されていた。
 ニュースの詳細を見ながら、顔を洗って、トーストにバターを塗って焼いて、食べた。
 記事によると、最新の研究で『一見地動説に見えるが本当は天動説なのだ』ということが分かったらしい。原理も何やら書かれていたが、難しくてよく分からなかった。

 朝食を取ってから、駅前のコンビニに行った。バナナとチューハイ一缶を買った。
「地球って、太陽の周りを回ってないらしいよ」
 レジで後ろに並んだ女性二人が、話していた。
「ふーん。別に朝と夜がくればいいや。布団干せるし」

 家に帰って来て、ベッドに横になった。今までの常識が非常識に変わったのだということは分かる。
 けれど、今日も仕事はない。宇宙の捉え方が変わったところで、仕事に就ける気もしない。ただ、僅かに年老いるだけの一日を浪費しているに過ぎない。

 買ってきたバナナを剥いた。『これ、実はバナナじゃないんですよ』と今誰かに言われたところで、食べるのを止めるだろうか。むしろ、食べてみようと思うだろうか。
 心なしか少なめに齧ると、まだ少し食べごろには早いバナナの味がした。


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このストーリーに関するコメント

16/01/21 光石七

拝読しました。
確かに、常識と思っていたことが覆されても、それが日々の生活に支障がないならば、私たちの日常は特に変わらないかもしれませんね。
短いですが、含蓄のあるお話だと思います。

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