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鬼風神GOさん

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その日のできごと

15/11/28 コンテスト(テーマ):第九十六回 時空モノガタリ文学賞 【 奇人 】 コメント:0件 鬼風神GO 閲覧数:1077

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三月 五日
「マヨネーズないじゃん」
 亜美はおおげさに両頬に手を添え、失意の感情を表す。
「まじか」
 洋二も眉を八の字にして同意する。お好み焼きにマヨネーズは欠かせない。そして亜美と洋二はマヨラーだ。とにかく、マヨネーズがなければ始まらないのだ。
「よーし」亜美がセーターの袖をまくり上げながら洋二に近づいてくる。いつもの儀式だ。「じゃんけん」
『ぽん』
 二人の声が重なり、それぞれの「手」が勢いよく出される。
「ありゃ」
「よし」
 洋二はガッツポーズをとり、亜美は近くのテーブルに肩を落として手をつく。
「はあーあ。……じゃあ買ってくるね」
 部屋着のままでコートを羽織り、片手に財布を持った亜美に洋二は声をかけた。
「行ってらっしゃい」


Re:三月 五日
「マヨネーズないじゃん」
亜美≠ヘおおげさに両頬に手を添え、失意の感情を表す。
「まじか」
 洋二も眉を八の字にして同意する。お好み焼きにマヨネーズは欠かせない。そして亜美≠ニ洋二はマヨラーだ。とにかく、マヨネーズがなければ始まらないのだ。
「よーし」亜美がセーターの袖をまくり上げながら洋二に近づいてくる。いつもの儀式だ。「じゃんけん」
『ぽん』
 二人の声が重なり、それぞれの「手」が勢いよく出される。
 洋二がパーを出し亜美に勝った。
「くそー」
「いえーい。速攻で買ってきてね。お好み焼きが冷えるから」
 憎々しいほどの亜美≠フ勝ち誇った表情に洋二は苦笑を浮かべることしかできない。
 部屋着のままダウンジャケットに袖を通し、洋二はドアを開けた。


Re:Re:三月 五日
「マヨネーズないじゃん」
 亜美はおおげさに両頬に手を添え、失意の感情を表す。
「まじか」
 洋二も眉を八の字にして同意する。お好み焼きにマヨネーズは欠かせない。そして亜美と洋二はマヨラーだ。とにかく、マヨネーズがなければ始まらないのだ。
「よーし」亜美がセーターの袖をまくり上げながら洋二に近づいてくる。いつもの儀式だ。「じゃんけん」
「ちょっと待った」
「え?」
「今日はマヨネーズに頼るのはやめないか」
「急にどうしたの」
「マヨネーズは偉大だよ。でも好きだからといってやたらめったらかけすぎてしまって、その料理本来の味をぼやけさせてしまっているのではないだろうか」
亜美≠ヘ顎に手をあて、少しの間思案して口を開く。「確かにそうかも」
「よし。じゃあ今日はソースと青のりだけでお好み焼きを食べよう」
 洋二がコテを手に取り、お好み焼きを切り分けようとした瞬間、亜美≠ェ言った。
「時間です。代金をお願いします」
 洋二は大好物を堪能したあとのような穏やかな面持ちだった。
「そうですか。わかりました」
「あの、すごく言いづらいんですけど、いつまでこんなこと続けるんですか。ごめんなさい。洋二さんのこと、調べました。付き合っていた人が事故で亡くなってますよね? 酒酔い運転で何人も死傷者が出た事故なんで調べたら分かりました。そしてわたしはその人に似てる」
 洋二は特に表情を変えることも、反論しようと口を開くこともなかった。
「もしかして今わたし達が演じていることは事故の直前のできごとなんじゃないですか? もし亜美さんがマヨネーズを買いに行かなかったら事故にあうこともなかった。だから何度も亜美さんが出かけないその日を繰り返している。わたしはあなたの気持ちが分かるとか、そんな気休めのことは言えません。でもレンタル彼女≠利用してこんなことを繰り返して傷が癒えるんでしょうか」
 一気にまくしたて、肩で息をしている亜美≠ニは打って変わって洋二はやはり柔らかな視線で亜美≠見つめている。
 洋二は戸棚の引き出しを開け、お金の入った封筒を取り出すと、ゆっくりと亜美≠ノ歩み寄る。
「ありがとうございました。来週もお願いします


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