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seikaさん

かつては女子中学生でした。

性別 女性
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私たちの秘宝、エンジェル

15/10/20 コンテスト(テーマ):第九十五回 時空モノガタリ文学賞 【 秘宝 】 コメント:2件 seika 閲覧数:999

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「ママ、エンジェルのところに持っていくケーキ焼こうよ。」
「そうね…。じゃ手伝ってっ。」
週末にあの天使の家に持っていくケーキを二人の娘と一緒に焼いた。この界隈の奥さんや女の子は皆、週末になるとあの白い家に集まる。薔薇が香るあの白い天使の家にはとても綺麗な奥さんと、そしてやはり美しい三人姉妹がいた。そして三人姉妹の弟も…。このエンジェルと呼ばれているこの男の子、最初は誰もが「あっ天使っ、」と思わず息を呑む。最初は誰もが少女…と思ってしまう、そんな美しく愛くるしい少年だった。
 町のスーパーでもコンビニでも女性同士、顔を合わせるとあのエンジェルの話になる。おかげで私も近所の奥さんたちと知り合いになり、仲良くなれた。
 そして週末、パパにはお留守番頼んで私は二人の娘と一緒にあの白い家に出かける。黄昏の中、町内の奥さんやお姉さんたちは皆もう集まってきていた。やがて美人三姉妹が中から現れ、
「こんばんわっ。どうぞ中へ…。」
と案内してくれる。
室内は白髪が綺麗なご婦人から小学生まで町の女性でいっぱいになる。
そして美人姉妹に連れ天使のように美しく愛くるしいエンジェルがやってきた。室内のオーラは虹色に輝く。天井がどこまでも高くなり、紺碧の天空の向こうに魂の故郷の神へとつながるかのように新鮮でそれで居て懐かしい。
「やっぱりこの子、エンジェルは天使なのね…。」
あたりの空気は虹色に輝き、時が経つのを忘れてしまう。エンジェルに導かれて私たちは魂の故郷へと帰ったようなそんな感動でいっぱいだった。そして時刻は九時、残念だけどここでお開き…。
「また来週も集まりましょうね。」

 しかしある時、その異変は起きた。あの白い家の隣にと悪田さんという一家が引っ越してきた。「ご主人?それともお兄さん?」と間違えてしまったボーイッシュで男勝りな奥さん、そして腕白ってぽい小学生の息子…。なんとなくヤな感じがした。
「エンジェル、大丈夫かな…?」
娘たちも心配そう…。そして週末、私たちはまたエンジェルのところにいく。しかしその日、エンジェルはどこか元気が無く怯えているよう。その場のオーラも以前のように輝かなかった。そしてその翌週からエンジェルは私たちの前に現れてくれなかった。
そんなある日、近所のパテイスリーで美人姉妹にあった。
「…エンジェル…実は…。」
「…どうしたの…?」
「隣に引っ越して来た、あの悪田さんちの奥さんと男の子が…。」
そう、あの悪田さんちのイタズラ盛りの男の子が、友達を呼んできてはあの男勝りの奥さんも一緒になってエンジェルたちを冷やかしたり白い家の敷地に侵入してはイタズラしたというのだ。
「だったらクレーム言えば?」
「クレーム言っらあの男勝りの奥さん、『何か文句あるの。男の子は腕白でイタズラするのが商売なんだよ。』って突っぱねられたのっ。」
といわれたという。なんというひどい人たち…私は怒りで目の前が真っ暗になった。そしてこの話は街中の女性たちにあっという間に広まった。
 そして、まさかの悲報が届いた、エンジェルが死んでしまったという。
「え…。」
繊細すぎるエンジェルは悪田さんたちに受けた仕打ちがとてもショックで、何も食べなくなってしまったという。
「…あの子は何も悪いことしていないのに、悪田さんちが寄って集って苛めるなんて…。」
美人三姉妹は涙を流して悲しんだ。このエンジェルの家はこの町の女性たちが集まり、そしてエンジェルの形見の宝石がちりばめられた十字架と遺影の前で
「ごめんね、あたしたちはあなたたちやエンジェルを守ってあげなかったばかりに…。」
と涙を流した。

「どうしてくれるの、あたしたちの秘宝、エンジェルを返してっ。この殺人者っ。地獄に落ちろ。」
と私も含めて町の女性たちは連日昼夜を問わず口々にこの悪田さんちに呪いの言葉を投げつけた。そしてやがて悪田さん一家は引っ越していった。
「ねぇ知っている?悪田さんちの生意気な男の子、トラックに潰されて死んだって…。」
「ほんと、それはよかった。もうエンジェルを脅かせないような姿になって一安心ね。でもなんていい気味なの。」
と町の女性たちの声。
そして私たちはまた毎週末、天使の家に集まった。エンジェルの遺影は再びキラキラと輝き始め、天井がどこまでも青く輝き始めた。そして懐かしい光の中、天へと帰ったエンジェルが再び私たちの前に来てくれた。
「エンジェルごめんね。あたしたちあなたを守ってあげなくて…。」
というとエンジェルのあの笑顔はよみがえった。
わたしたちはこれからもエンジェルを守り続ける。私たちの魂を導いてくれる私たちの秘宝だから…。


 


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このストーリーに関するコメント

15/10/24 鮎風 遊

なるほど、エンジェルは秘宝なのですね。
いろいろなことがあり、
だけどまた戻ってきてくれて良かったですね。
守り続けられて行くでしょう。

15/10/25 seika

鮎風さん、コメ、メルシーポークです。
まあ、こんなことあったらいいなっていう夢物語なんだけど(笑)

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