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霜月秋介さん

しもつきしゅうすけです。 日々の暮らしの中からモノガタリを見つけ出し、テーマに沿って書いていきます。

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ダンボールに隠されたアイデンティティ?

15/10/18 コンテスト(テーマ):第九十三回 時空モノガタリ文学賞【 憂鬱 】 コメント:0件 霜月秋介 閲覧数:1290

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 部屋のあちこちに山積みになっているダンボール達。それは日に日に増えていった。そのダンボールを増やし続ける僕の心の片隅には、「このままではいけない」という思いが、きっと少なからずあったのだろう。

 僕は、なにかと物を溜め込んでしまう人間である。いや、物を捨てられない人間だと言い換えるべきだろう。持ち物に対するこだわりが強く、捨てることは、自分を捨てることと同じことだと考えている。

 今まで買った好きな漫画本、好きなアーティストのCD、好きな番組を撮りためたDVD。これらはすべて、自分を表現するためのアイテムだ。自分はこういうのが好きなんです、自分はこういう人間なんですと周りにアピールするための、重要なアイテムだ。CDや本に埃がかぶるのが嫌で、埃がかぶらないようにそれらをダンボールに詰めた。僕の部屋には、そういうアイテムが詰められたダンボールが徐々に増えていった。

 いつのまにか、僕の部屋は「自分」が詰まっているダンボールでいっぱいになった。埃がかぶるからという理由で、飾るべきフィギュアもダンボールに詰められ、インテリアの意味を成さなくなっている。ダンボールでいっぱいの部屋を見て、母は呆れていた。

「こんなに溜め込んでそうすんの?墓場までもっていくの?」

 自分はなぜ、物を集めているのだろう。なぜ捨てないのだろう。こんなものいくら集めたって、人に見せるわけでもない。

 急に虚しくなった。こんなもの、自分で描いた漫画でも無いし、自分で歌ったCDでも無い。「自分」では無いのに…

 僕は、部屋にあったダンボールをすべて処分した。いままで溜めていた「自分」を処分した。からっぽだ。

 進みたい。歩きたい。自分の知らない景色を、世界を、旅したい。「本当の自分」を探しに。

 少し、心が軽くなった。そんな気がした。


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