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海見みみみさん

はじめまして。 時空モノガタリで修行させていただいています。 焼き肉が大好物。

性別 男性
将来の夢 プロ小説家になること!
座右の銘 焼肉定食!

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憂鬱の理由

15/09/29 コンテスト(テーマ):第九十三回 時空モノガタリ文学賞【 憂鬱 】 コメント:2件 海見みみみ 閲覧数:1660

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 最近どうにも憂鬱だ。気分が晴れなくて仕方ない。この憂鬱な気分はどうにかならないものか。俺は憂鬱さを晴らすべく行動を開始した。

 まずは会社の飲み会に参加した。酒を飲めば憂鬱さも吹き飛ぶだろう。そう考えたのだ。
 だが結果は散々。飲み会の間ずっと上司や同僚に気を使い、飲み会が終わった頃には気疲れしていた。まったく憂鬱だ。

 性欲を発散すれば良いのかもしれないと、今度は風俗に行ってみた。こういう店に来るのは初めての事だ。指定されたホテルに向かい、嬢が来るのを待つ。
「お待たせしましたー」
 やってきた嬢。その姿を見て唖然とする。嬢はどこからどう見ても俺のお袋にそっくりだった。
「さあ、始めましょうか」
 お袋そっくりの嬢が俺の股間に手を伸ばす。
 ああ、憂鬱だ。

 それならおいしいものでも食べに行こう。そう決め、俺は一人銀座にあるフレンチレストランに入った。そこでコース料理を頼み、更に追加でデザートの盛り合わせを頼む。もちろんアルコールも飲めるだけ飲んだ。懐には厳しいが、なかなか有意義な時間を過ごせた。
 そう思っていたら、人生そう甘くはなかった。
「気持ち悪い……」
 翌日、俺は食べ過ぎですっかり胃もたれしていた。その上体重計に乗ると、見事二キロ太っている始末。
「憂鬱だ」
 胃薬を飲みながら俺はつぶやいた。

 結局何をやっても俺の憂鬱さは晴れなかった。俺はこのまま一生憂鬱さを抱えながら生きて行かなければいけないのか。そんなのは嫌だ。それならどうすればいい。
 ふと、机の上にあるナイフに目が行った。なぜこんな物が目の前にある。理由はわからない。だがこれで胸を一突きすれば、俺のこの憂鬱さも吹き飛ぶのではないだろうか。
 ナイフに手を伸ばそうとする。
 その瞬間、俺は自分の顔を思い切り殴った。
「何を考えているんだ、俺は!」
 こんなあっさり死んで堪るか。俺にはまだこの憂鬱さを晴らす最後の手段がある。俺は着替えると街中に飛び出した。

 都内某所。そこにこの小説の作者である海見みみみは住んでいた。
「おや、小説の登場人物が訪ねてくるなんて珍しい」
「お願いします。俺の憂鬱な気分を晴らしてください!」
 すると突然海見みみみは笑い出した。
「それは無理なお願いだよ。君は最後自殺して、地獄でも憂鬱が晴れず『憂鬱だ』とつぶやく道化として、小説のオチを担当するのだから」
 海見みみみの口にした言葉は信じがたいものだった。
(俺が自殺して、それがオチになるだって?)
 ふと先程のナイフを思い出す。あのナイフも海見みみみが仕掛けた小道具の一つだったのだ。俺が自殺するための。
 俺の中で怒りが一気に沸騰する。気づくと俺は海見みみみの顔面を全力で殴っていた。
「痛い! 何をするんだ!」
「俺は自殺なんてしない! そんなクソみたいな役柄まっぴらごめんだ!」
 すると海見みみみの顔色が変わった。
「そんな、小説の登場人物が作者の意志に反した行動を取るなんて。そんな事があるのか!」
 その言葉を聞き、理解する。俺は今まで自分の意志で人生を生きていると思っていた。しかし実際には小説の作者という他人に人生を支配されていたのだ。そんな人生憂鬱に決っている。これこそが憂鬱の理由だったのだ。

 今、俺は作者である海見みみみの手を離れ自由だ。同時に憂鬱からも開放されていた。


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このストーリーに関するコメント

15/10/21 光石七

拝読しました。
小説の登場人物の憂鬱というのは私も考えたのですが、話としてまとまりませんでした。
書きながら「ひどい目に遭わせてるなー」とキャラたちに申し訳なく思ったりしますが、彼らは内心何を考え、作者をどう思ってるのか……
たまに勝手に動き出すのは、もしや彼らの小さな反乱? それはそれで結構楽しいですけどね。
この主人公、海見みみみさんの手を離れたということは、小説の世界からフェードアウトしたということでしょうか?
面白いメタフィクションでした。

15/10/21 海見みみみ

光石七さん

ご覧頂きありがとうございます。
小説のキャラクターが勝手に動き出す瞬間ってありますよね。
確かにそれは彼らにとって小さな反乱なのかもしれません。
この主人公がその後どうなったのか。
それは作者である私の手から離れた以上、わからないだけにわくわくしますね。
それでは感想ありがとうございました!

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