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こぐまじゅんこさん

詩を書いたり童話を書いたりしている主婦です。 みなさん、よろしくお願いします。 MyISBN−デザインエッグ社さんから、絵本「おしえて!ねこばあちゃん」を出版しました。 アマゾンでも取り扱っていますので、よかったら みてくださいね。 ブログ「こぐまのノート」も書いています。

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将来の夢 自分の書いた童話を孫に読んで聞かせたいです。
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大っきらいな運動会

15/09/21 コンテスト(テーマ):第九十三回 時空モノガタリ文学賞【 憂鬱 】 コメント:2件 こぐまじゅんこ 閲覧数:1071

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 ぼくは、藤田のぼる。小学三年生だ。
 ぼくは、一週間後の運動会が、いやでいやでたまらない。
 ぼくは、ちょっと太っている。みんなから、「ぽちゃ男」なんてよばれている。
 太っているからか、ぼくは、走るのもおそい。
 だから、運動会の出場種目を決めるとき、ぼくは、
「障害物競走がいい。」
と、言った。
 それなのに、それなのに・・・。
 ぼくと同じくらい走るのがおそい、なおきくんが、
「ぼく、足がおそいから、障害物競走にでる!」
と、立候補した。
 すると、なおきくんのなかよしが、そろって、障害物競走にでると言い出した。
「ぼくも、障害物競走に・・・。」
って言ってるうちに、あっという間にメンバーは決まってしまった。
 じゃぁ、玉入れにしようと思ったのに、女子がいっせいに手をあげて、とりあっている。
 ぼくは、何にでることになるんだろう・・・。
 途中から、どきどきしてきた。
 そして、気がつけば、リレーしか残っていなかった。
「ぼく、リレーなんて、ムリ。」
 小さい声で言ったけど、
「ぽちゃ男、がんばれよ。」
 なおきくんが言うと、みんなが、いっせいに言った。
「がんばってー。」

 もうムリだよ、ムリ・・・。
 ぼくは、運動会がくるのが、いやでいやでしかたがない。

 家でも、ふさぎこんでいた。
 ようすがおかしいと思ったのか、お母さんが言う。
「のぼる、どうかした? 元気ないね。」
 ぼくは、リレーにでることになった、と言った。お母さんは、
「そうなんだ。最後まで投げ出さずに、がんばればいいんじゃない?」
と、わらって言う。
「だって、ビリになるのわかりきってるのに、いやだよ。」
 ぼくが言うと、お母さんは、
「あらー、そんなのわからないじゃない。リレーは、みんなの力を合わせてがんばるものだもの。」
 のんきな顔をして言ってる。
 ぼくは、部屋にはいって、ひとりで考えた。
(どうしたら、はやく走れるんだろう。)

 次の日、学校に行って、リレーのメンバーの、けんたくんに聞いてみた。
「けんたくん、どうやったら、はやく走れるの?」 
 けんたくんは、聞く。
「ぽちゃ男、どうしたの?」
「ぼく、みんなに、めいわくをかけたくないから、はやく走れるようになりたいんだ。」
「じゃぁ、放課後、ぼくと練習しよう。」

 あと、一週間しかないけど、ぼくたちは、放課後、バトンの練習をはじめた。
「近づいてきたら、ぼくを待たずにダッシュだからな!」
 けんたくんは、ていねいに教えてくれる。
 毎日毎日、練習した。

 そして、とうとう運動会の日になった。
 リレーは最後の方だから、ぼくは、どきどき、どきどきおちつかない。
 障害物競走も、玉入れも、じっくりみれない。

 そうこうしているうちに、リレーのメンバーが集められた。
 いよいよ、次が出番だ。
 入場口前で、ならぶ。
 けんたくんが、ぼくの方をみて、Vサインをする。
 ぼくも、「うん。」と、うなづいた。
 入場曲とともに入っていく。
 あんなに、どきどきしていたのに、すーっと落ち着いてきた。
 まわりの目も、気にならない。
 ぼくは、ベストをつくすぞ、と心に決めた。

 パーン。
 スタートのピストルがなる。
 ぼくのクラスは、トップだ。
 ぼくは、また、どきどきしてくる。
 ぼくの出番は、二番目。
 次だ。
 バトンをうけとる。
 練習通り、うまくいった。
 思いっきり走る。
 ひとり抜かされた。
 くやしい!
 もうひとり、抜かされた。
 がんばるぞ!
 ぼくは、必死で走る。

 五クラスのうち、四位でバトンタッチした。
 みんなの声援が聞こえる。
 そして、アンカーが、けんたくんだ。

 はやい、はやい。
 どんどん抜かしていく。
 なんと、けんたくんは、ゴールテープを切った。

「やったー。」
 クラスメートの喜ぶ顔がみえる。
 けんたくんが、
「がんばったな。」
って、声をかけてくれた。

 今までで、一番、楽しい運動会だった。


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このストーリーに関するコメント

15/10/19 光石七

拝読しました。
私も運動音痴で足が遅かったので(今も遅いですが)、リレーに出たくないのぼるくんの気持ちはわかります。
一緒に練習してくれたうえ追い抜かされた分を挽回してくれたけんたくんに、意地悪を言わないクラスメイト、こぐまじゅんこさんの書かれる子供たちは優しくていい子ですね。
温かい気持ちになれるお話でした。

15/10/19 こぐまじゅんこ

光石七さま。

コメント、ありがとうございます。
わたしも、運動会、きらいだったもので・・・。
リレー、こんな風だったらいいのになぁ、という希望で書きました。
暖かい気持ちになれると言ってくださり、うれしいです。

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