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有朱マナさん

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後の祭りは 熱く せわしく 華やかに 

15/09/05 コンテスト(テーマ):第九十回 時空モノガタリ文学賞【 祭り 】 コメント:0件 有朱マナ 閲覧数:1242

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ステージ裏にいる私のところに後輩が駆け込んでくる。
「先輩大変です!文化祭実行委員長と連絡がとれないです!」
「後夜祭ステージまで残り3分しかないのに」
 よくある連絡がとれないという事件。だが、これとばかりにやめてほしいと思う私。時計を見る。刻々と後夜祭のステージ発表スタートまで迫る。

 …♪♪♪
着信音が鳴る。
「はい、長岡です。どうされましたか浅井さん。」
「すいません。模擬店グランプリの最終分の集計がギリギリなので、5分遅くずらしていただけませんか?」
私は溜息をつく。
「長岡さん、お電話中申し訳ございません。そろそろスタートさせてもよろしいでしょうか?」
外からの声。私はスマホを耳から外した。
「予定通りスタートさせてください。音響さん、照明さん、司会者さん、オープニングのバンドさん、準備よろしいですね?ではお願いします。」
皆が準備してスタートする。ステージのブザーが鳴り、ドラムの音が鳴る。

 私はその場から少し離れて、再び電話越しに話す。
「…浅井さん、すみません。予定通り後夜祭ステージはスタートさせました。5分遅らせるということですが、わかりました。次のものと入れ換えをします。ですから結果がわかりしだいすぐに来てください。」
「わかりました。」
電話を切って、会場の後ろの方へ行く。できるだけ早く。その間腰につけてあったトランシーバーで指示を出す。
「長岡です。指示です。模擬店グランプリの最終の分の集計がギリギリなので、5分遅らせます。それでですが、間に合うか微妙だと判断したので次の撮影部が撮った文化祭映像集を先に見せてしまいます。それで15分は稼げます。…あ、すいません。指示の順番逆の方が良かったですね。今、文化祭実行委員長見つかりません。そして連絡もとれません。委員長には後夜祭を全部見ていただくことになっていましたが、最低限最後の委員長の言葉だけ出ていただきます。委員長捜索部隊は引き続きお願いします。では皆さん、後夜祭はスタートしました。よろしくお願いします。」
トランシーバーを切ると同時に会場の後ろに到着した。

 会場班の今野を見つけた。
「会場の入りはどうですか?」
今野は難しい顔をした。
「イマイチですね。会場班の何人かに呼び込みに行ってます。」
「それでオッケーです。引き続きお願いします。」

 …♪♪♪
もう音は鳴らないが、相変わらずバイブレーダーがズボンのポケットでは震えている。
「先輩、至急ステージ裏に戻ってきてください。」
「何が起こったの?」
「理事長がお見えになって、責任者はどこに行ったのか?と…」
「…今から行きます。」
 
 理事長の話は説教ではなかったが、長すぎて気が付いたら10分以上経っていた。その時間できることは沢山あった。しかし、できなく私は更に溜息をつくのだった。
副責任者の林が私に近づいてくる。
「長岡、無理するなよ。少し飲め。」
そう言って、オレンジジュースのペットボトルを渡してくる。冷たかった。だが、暑い熱気に包まれた会場だったため助かった。
「ありがとう。」
2口目を飲んでいると、模擬店グランプリの偵察に行っていた浅井が帰ってきた。
 浅井は汗だくで帰ってきた。
「どうなりましたか?浅井さん。」
「なんとか間に合いそうです。ありがとうございます。」

 トランシーバーから誰かの声がする。
「照明の一之瀬です。会場の左斜めの照明がどうやら壊れてしまったようなので、至急指示お願いします。」
「…今から状況確認に行きますので、待っていてください。それと倉庫に今使っていた照明よりは劣りますが、2回り小さいものがあったはずです。それを誰かに取りに行かせてください。」
「わかりました。」
私は急いで壊れた照明の元に行く。

 私が着いた時一之瀬のTシャツは汗で濡れていた。簡易ライトを当てて確認してみても点かない。
「仕方がないのでさっき頼んだ照明で乗り切ってください。お願いします。」
私は一之瀬にそう伝えると、ステージ裏に戻った。私の額にも汗は流れている。それをタオルで軽く拭く。
 文化祭映像集の放映は始まっている。
 
 戻ると模擬店グランプリのリーダーが発表準備していた。何とか間に合ったようだ。林が文化祭実行委員長を説教している。見つかったようだ。安心した。
 林が私に小声で言う。
「文化祭実行委員長にはもう怒っておきましたので大丈夫です。どうやらスマホの電池がなくなって連絡が全くとれなかったようです。」
「…ひとまず、ありがとうございました。見つかって何よりです。」
それだけを言って私はステージ舞台袖に行った。

 お客さんの歓声が聴こえる。今年も無事に後夜祭が終わりそうだ。これは全て私についてきてくれているスタッフのおかげだ。そう私は思うのであった。


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