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鮎風 遊さん

この世で最も面白い物語を見つけ出したい。 そのために、ひとり脳内で化学反応を起こし、投稿させてもらってます。 テーマに沿った個別物語の他に、いくつかのシリーズものをコツコツと書き続けさせてもらってます。 その主なシリーズものを紹介させてもらいます。  ☆❤☆❤☆ 新シリーズ 『ツイスミ不動産』 __ 2017.07.16よりスタートさせてもらいました。 カサリンとクワガタ野郎があなたが求める終の棲家を紹介いたします。  ☆❤☆❤☆ 『刑事 : 百目鬼 学(どうめき がく)』 __ 2017.05.21 ただ今、27話 __ 1話完結の2000文字推理小説です。この少ない文字数の中で、百目鬼刑事と部下の芹凛(せりりん)がいかに事件を解決していくか、その醍醐味を味わって頂ければ、光栄です。 これからも引き続き難しい事件に挑戦して参りますので、よろしくお願いします。  ☆❤☆❤☆ 『漢字一文字の旅』 __2017.04.04 ただ今、連載41__ 漢字にまつわるエッセイです。  ☆❤☆❤☆  『歴詩』 __歴史上の人物になりかわって、その波瀾万丈の生き様の思いを詩に綴らせてもらってます。 本作品については、フォト音(on)小説という形で、you tubeにもUPさせてもらってます。 詳細はこちらHPです。  ☆❤☆❤☆  http://ayukazeyuu.net/index.html  ☆❤☆❤☆                         よろしくお願いします。              

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妖怪祭り ── 刑事 : 百目鬼 学(どうめき がく)

15/09/04 コンテスト(テーマ):第九十回 時空モノガタリ文学賞【 祭り 】 コメント:7件 鮎風 遊 閲覧数:1491

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 季節は秋、ヤマボウシが赤い実をつける頃、町を貫く川の上流へと足を踏み入れてみよう。最初に水しぶき立つ滝に行き至る。
 そこで耳を澄ましてごらん。ケラケラと、水音がまるで女の笑い声のように聞こえてくるから。どうやら口紅をべっとりと塗った朱唇の大女、淫婦の霊の倩兮女(けらけらおんな)が水浴びしてるようだ。ボケッと眺めてると、遊んでくんなましと滝壺に引きずり込まれるから気を付けよう。
 それを無視し、脇道からさらに登って行くと、古い社がある。
「トン、トン、トンカラ、トン」、寂れた神苑から珍奇な歌声が。目を遣ると、全身包帯巻きの、日本刀を持った男が年代物の自転車に乗って歌ってるではないか。へたくそと横を向くと、「お前も歌え」と要求される。ここは適当に節を付けて、♪ ト〜ントン、トンカ〜ラ、トン ♪ と。さもなくば斬られてしまうぞ。
 あとは知らんぷりして先へと。すると「こっちだよ」と皿の目の一本だたらが跳ねながら手招きしてくれる。だが一本足のため、跳躍は百回が関の山。
 仕方なく「またな」と別れ、沢沿いに進むと、「おい、水飲め、茶を飲め」と背後から声が掛かる。振り返ると、おかっぱ頭のかぶきり小僧が突っ立ってる。こいつはムジナの化け物、ちょっと危ないから返事せず前進。すると洞穴の前へと辿り着く。
 中を覗いてみよう、医者二人が「どうも」「こうも」と言い合い、首を順番に据え変え合ってる。これは摩訶不思議だ、そこで質問を、「先生、どっちの首がお気に入りなんですか」と。すると医者はうーんと唸り、二人同時に首を外してしまう。とどのつまり、どうもこうもならなくなる。そう、この医者たちは幽鬼、どふもこふもなのだ。
 さらに奥へと入って行くと、紅い木の下で毛いっぱいとぬらりひょんが囲碁を打ち、横で琵琶牧々(びわぼくぼく)が変ちくりんな音楽を奏でてる。頭上の枝では怪鳥の以津真天(いつまで)が「いつまでいつまで」と鳴いている。

 この山は一服山(いっぷくやま)と呼ばれ、秋の一時、全国各地からやって来た化け物たちで大賑わいとなる。なぜなら山姥、ホッチョバアの主催で妖怪祭りが執り行われるからだ。とにかく年に一度の祭り、魑魅魍魎につつがなく楽しんでもらわなければならない。さもなくば不機嫌となり、人間に八つ当たりすることとなる。つまり各地で災いがてんこ盛りとなるのだ。
 この事態を避けるため中腹に、人間界からの世話役、魔寿屋(ますや)が屋敷を構えてる。当然中立を保つため、人間界とのお付き合いは遠慮がち。巷の噂によれば、透き通る肌を持つ三人のお嬢がいるとか、いないとか、てな具合だ。

 こんな謂われ因縁がある町で、町長の一声「妖怪祭りで町興しをしよう」と、本年より大々的に開催する運びとなった。企画は、妖怪に仮装した人たちが滝へと百鬼夜行し、滝壺に簪(かんざし)を投げ入れ、祈願するというもの。
 そしてその夜がやってきた。三日月は鋭い鎌のよう、闇空をグサリと突き刺す。その下の滝では、松明の紅蓮の炎が立ち上がり、倩兮女がケラケラと笑う。どうもこちらを窺ってるような、そんな非日常的な世界を味わってみたいと、一つ目小僧、お岩さんなどに扮装した人たちがぞろぞろと登り来る。しかし、どう見ても人間っぽい。
 それでも次から次へと簪を滝壺へと投げ入れて行く。これは願いが叶うよう、簪を生娘に見立て、天地万物の神に犠牲(いけにえ)として捧げるという意味。もちろん町長のアイデアで、入山時に1本千円で買わされる。
 つまるところ妖怪たちが棲む幽玄なる世界は壊れ、はしたない浮き世がそこに現出したのだ。

 夜は明け、白装束の女が滝壺に浮かんだ。
 急遽現場に入った百目鬼刑事と部下の芹凛(せりりん)こと芹川凛子刑事、幻妖な空気を感じながら検証を終えた。仏は魔寿屋の三女の姿月、滝の上で絞殺され、落とされたものと判明した。
「この事件は、どうも妖怪祭りを世俗的に推進しようとする町長と、一服山の妖怪たちを守ろうとする魔寿屋との確執、それが原因では」
 百目鬼のこの呟きに、芹凛が「魔物と親戚なんでしょ、きっと勘は当たってるわ」と頷き、あとをボソボソと続ける。
「姿月は町長主催の下等な妖怪祭りを阻止するため、言い争って、誰かに己を殺させる。つまり推進派を殺人者に仕立て上げることを目論んだのよ。もしそうなら、その不名誉が一番効くのは町長一族よ、だから町長の息子あたりが、罠に嵌められたかもね」
 この推理を聞いた百目鬼、「姿月は綺麗な身体を犠牲として捧げた。ならば彼女からの最後の伝言、すなわち殺害される時の携帯動画とか、ICレコーダーとかを…」と鬼の目をギロリと剥いた。
「きっとどこかに残してるはずね、証拠となるブツ、絶対見付けてやるわ!」と、芹凛は滝の上へと飛ぶ。その姿はまるで女天狗のようだった。


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このストーリーに関するコメント

15/09/04 鮎風 遊

皆さまへ

刑事、百目鬼学シリーズ、
皆さまからの暖かい応援を受け、お陰様で本編で20話となりました。

百目鬼と芹凛のコンビで、
これからも快刀乱麻、スカッと事件解決をして行ってくれるよう書き手も頑張りますので、今後もよろしくお願いします。

なお、表紙絵の写真は

GATAG|フリー画像・写真素材集 4.0
著作者: dex66v
ID: 201502211600

から借りてきました。
よろしくご理解ください。

15/09/08 泡沫恋歌

鮎風 遊 様、拝読しました。

まるで日本版ハロウインみたいで楽しい村興しだと思いますが、妖怪たちからみたら、
実に迷惑な企画かもしれない。

境港の鬼太郎ロードは罰あたりでも、妖怪の像が楽しいですよ。

百目鬼学シリーズ20話、おめでとうございます。

15/09/10 草愛やし美

鮎風遊さん、拝読しました。

わあ〜面白いですね、鬼太郎も真っ青の妖怪知識素晴らしい。古代から密かに日本に住まいする妖怪たちにこのようなお祭りがあったなんて、凄い。でも、私は怖くて最後まで見届けになんて行けそうもありません。
さすが、せりりんさん、妖怪なんてものともせずですね、やはりこれは、女天狗の生まれ変わりだとしか……。爆笑

20作も、連載されてきてたなんて凄い。おめでとうございます。これからも活躍期待していますよ。ハーイ(^O^)/

15/09/16 鮎風 遊

泡沫恋歌さん

コメントありがとうございます。
なんとか20話までこぎつけました。

そうですね、もうハローウィンの季節、
こちらは日本版です。

15/09/16 鮎風 遊

草藍やし美さん

コメントありがとうございます。
やっと20話です。

女天狗、なかなかのキャラです。
よろしく。


15/09/16 そらの珊瑚

鮎風 遊さん、拝読しました。

鬼太郎の世界のようで、楽しかったです。
百目鬼って魔物と親戚だったのですか?
初めて知った新事実でした。

15/09/23 鮎風 遊

そらの珊瑚さん

コメントありがとうございます。

そうですよ、百目鬼刑事は魔物と親戚だったのです。
恐いヤツです。

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