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こうちゃんさん

みなさまこんにちは。私は普段、社員食堂でお皿洗いをしつつ、家では父の介護をしてます。物語よりも落書きの方が性分に合っていますが、お時間があれば観てください。よろしくお願いいたします。

性別 男性
将来の夢 身近な人を幸せにして、静かにいなくなる。
座右の銘 お母さんの「ありがとう」。

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「神様、HELP!」

15/08/24 コンテスト(テーマ):第八十九回 時空モノガタリ文学賞【きっかけ】〜松山椋君の足跡 コメント:2件 こうちゃん 閲覧数:1250

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 このお話は、四十路のカーブを目前にして社員食堂で働く、オジさんフリーターの落書きです。落書きなのでガタガタですが、終わる頃にカタカタぐらいに修正出来たらハッピーエンド。こんなアホな人でも書いているんだと、執筆のきっかけになったら幸いです。

 ではでは、はじまり、はじまり〜。

 それは連日猛暑のある日の事でした。

私が有休の日にヒマワリを植木鉢に植えようと、花屋にヒマワリの苗があるかと電話した所

「もう売り切れました」

といわれ、どうしようか迷った挙句、近所の建て替え間近の都営アパートの敷地内の雑草と樹木のジャングルの中に、進撃の巨人が恋人に贈るのにちょうど良いぐらいの馬鹿でかい背丈のヒマワリがあったなと思い出し、どうせ取り壊すのだから一本ぐらいもらってもいいだろうと、ドンキーで買った植木バサミと軍手とゴミ袋を片手に家の玄関を勇ましく開けた瞬間、ピザ釜で焼かれる寸前のピザの気持ちを理解出来たと思うほどの強烈な熱気に全身が襲われ、携帯の防災速報が鳴るので開けば、岐阜県多治見市39.9度のホットニュース。

 連日連夜の猛暑による寝不足も祟ってか、へなへなとドアを閉め、玄関の石床の上に胎児のような姿で、私は横たわってしまった。

 今は昼の2時ぐらいか…。今年はヒマワリと縁がないのだろう。それにあと1時間もすると人工透析を終えた父がヘルパーの押す車椅子に乗ってこの玄関の扉を開ける。そうなれば私の介護スイッチが 音になる。
それまでに起き上がり、介護スイッチを点灯させなければならない。

 気づけば、石床の上で横たわった私は服を脱ぎ捨て、全裸になっており、まるでヌードデッサンのアルバイトを初めて引き受けた学生のようなポーズで硬直していた。
無意識の内にこの数分で服を脱ぎ、石床の冷気で我が身を冷やしていたみたいだ。

 今日の送迎のヘルパーは東北出身の訛りが語尾に残る、ももクロ似の二十代の女の子。
色白で胸の形も良く、アイドルグループにいても遜色のない彼女だが、そんなももクロヘルパーが、この玄関の扉を開けて全裸の中年男が横たわる姿を見たら絶叫するだろう。

 「起きろ、オジさん」

 脳に指令を送るが、全く動かない。
私には特に持病がある訳でもなく、会社の健康診断以外でも定期検診には足繁く通うほどの健康オタクだ。

 だが、数年前からなんら予告なしに動けなくなる事があった。
懇意の医師に相談しても私の機嫌を損ねないようにか

 「現代は心の病が蔓延してますからね」

と、やんわりと精神科を紹介され、物は試しにと紹介してもらった峰不二子似の女医の精神科の門を叩けば

 「大丈夫ですよ、もっと重病な方はたくさんいますから。次の診察は一年後か、もっと先でもいいですわ」

と、七夕の織姫にも愛想を尽かされたような返答。

 そして今、私は、玄関で身動きが取れぬロンリーヌードモデル。

 「 HELP!」

 溢れ出るテレパシーで助けを呼んだが、そもそもそんな能力はなかった。
私に唯一ある能力は、左腕を骨折した時に食堂の皿洗いを右腕一本でこなした事ぐらいだ。正確には主婦の手も借り、後にその主婦とステキな関係になったというオチつきだが。

 神様に「 HELP!」が通じたのか、数分後に右腕だけが、どうにか少しだけ動くようになった。脱ぎ捨てられたステテコのポケットから携帯電話を取り出し、闇金で拇印を強要されたような震える親指でロックを外した。

 待ち受け画面には、先日の父の誕生日の時に手作りクッキーをくれた、ももクロヘルパーが、父と私と一緒に百パーセントの笑顔で映っていた。

 あと十五分もすれば、この開かずの玄関が、ももクロの絶叫のとともに開けられると思うと、なぜだか妙に興奮してきた。自分にこんな性癖があるとは思ってもみなかったが、それを実証するように、動かないはずの陰部が常識を超えた爆発力で徐々に起立していた。
私は自分の体の中で起こっている異変にすでに理性を働かせる事が出来なくなっていた。

 「神様、 HELP!」

 私の意識は徐々に薄れていった。意識が途絶える前に、119番をしていたお陰で、ももクロヘルパーの絶叫を聞く前に、救急隊員によって私は助けられた。私は心の中で叫んだ。
 
 「俺は勝ったぞ!」

 救急隊員に運ばれる私を、父と、ももクロヘルパーは無表情でみつめていた。
なぜなら布で全身を覆われた私の陰部の辺りだけが、私の声にならない勝利を象徴するかのように、天に向かって勇ましく突起していたからだ。
安らかな表情で意識を失った私は、カタカタと音を鳴らしながら、野次馬の前をストレッチャーで運ばれていった。

 


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このストーリーに関するコメント

15/08/26 松山

こうちゃんさん、拝読いたしました。
とてもユーモアのある作品でね。
現実と夢の間を行ったり来たりですね。

15/08/28 こうちゃん

松山様、私の拙い作品にわざわざコメントを有難うございます。恐縮です(笑)書くことを半ばあきらめていた私が、偶然にも「時空モノガタリ」というサイトを知り、その中で「松山椋さん」の存在に惹きつけられ、気付いたら書いていたという次第です。「お母さんを知らないか」、「青き筋肉の疾走」、「青い花」、拝読させて頂きました。真の芸術家に宿る「不退転の決意」を、まざまざと作品から感じとりました。なんら面識もない私が言う資格はありませんが、お父様のお気持ちはきっと天国にいる椋さんに届いていると思います。私の作品を理解して頂けたくらいですから(笑)今頃、椋さんも、天国のバーで、古の文豪達と飲み交わしてると思います(^^)

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