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特別天然記念物

15/08/24 コンテスト(テーマ):第八十九回 時空モノガタリ文学賞【きっかけ】〜松山椋君の足跡 コメント:4件 たっつみー2 閲覧数:1275

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本日は遠いところお越しいただき、ありがとうございます。それでは、さっそくお話を聞かせていただきたいと思います。まずはこの街に来ての感想などお聞かせください。

 
 あぁ、そうですよね。Kさんはあの島で生まれ育ち、島外にでたのは初めてですもんね。突然、感想とかいわれても困っちゃいますよね。では、島での生活を少しお聞きしたいと思います。島の暮らしはどのような感じなんでしょうか?

 
 そうですよね。食べて、寝る、それが人間にとって生きていく基本ですもんね。ところで、確か以前はご両親と暮らしていたとお聞きしているのですが。

 
 えぇ、あぁ、そうですか。それはいつのことなんですか。

 
 ずっと前というと何年くらい前ですかねえ。

 
 あはははぁ、よくわからんですか。島では月日も時間も関係ないって感じですかねえ。

 
 あれですか。ご両親が亡くなったのは病気かなにかですか?

 
 えぇ、それでお二人とも突然ですか。その時、もちろんKさんも島にはいらっしゃたんですよねえ

 
 ええ、それで大丈夫だったんですか?

 
 そうですか。いやいや、もしかしたら、例のアレと関係があるのかな、と思ったんですが。一緒に暮らしていたKさんは、今でもずっと元気ですし、関係ないですよね。ところで話しは変わりますが、ご両親が、なぜ、あの孤島で暮らすようになったかご存じですか?


 あぁ、やっぱりそうですか。それは、事故かなんかですか?


 飛行機ですか。それはいつ頃ですか?


 なるほど。Kさんが生まれるずっと前。ということは60年くらい前ですかねえ?


 あぁ、失礼しました。何年といわれてもよくわからないですよね。ご両親はそれからずっと島をでてはいないんですか?


 救助とかはこなかったんですかねえ?


 あぁ、なるほど。ご両親が事故にあったのが60年前だとすると、あの時の少し前ですから、それどころじゃなかったということかもしれませんね。それにしても、ご両親が流れついたのが、あの奇跡の島だったというのは、これまた奇跡ですよね。いや、もしかしたら、お父様かお母様はえらい学者さんで、あの島のことを知っていて、自らあの島へ、なんてことかもしれませんよ。

 
 あれ? 知りませんでした。奇跡の島って呼ばれているんですよ。

 
 いや、専門家ではないので、その辺りのことは詳しくは知りませんが、気流や海流が関係しているようですよ。


 えぇ、地球上であそこだけです。

     ★

 ビルをでたKさんは辺りを見渡している。見上げる高さから圧し掛かってくるような建物に圧倒されているようだ。
 きょろきょろ辺りを窺っていた彼の目が止まり、歩きだした。
 ほどなく行ったところで、Kさんの足が止まった。彼が見つめる先、そこは木々に囲まれ、花々が咲き誇る公園が広がっている。
 久振りに見る自然が嬉しいのか、彼の表情が緩んでいる。
 足早に園内に入っていたKさんは、木々へと手を伸ばした。草花にも手を伸ばし、顔を近づけている。
 彼はあらためて気付かされたことだろう。ここが島とは違うことを。あの島が奇跡と呼ばれている意味が今はっきりわかったはずだ。


 Kさん、おわかりいただけましたか。もうこの世は全てが作りものなんですよ。木も草花も虫たちも。ほら、園内を歩いているあの人も、おしゃべりしているあの人たちも、みんなそうです。あなたのお仲間は、みないなくなりました。もう、この世に生(せい)≠ヘ存在しません。


 なんで? なんでといわれてもねえ。きっかけは些細なことですよ。まあ、要するにあなたたちが愚かだったということでしょうか。愚か者が、愚かな兵器を使い、愚かな戦いをした、そういうことです。


 そうそう、さっきの話しですが、奇跡の島だけは唯一違いますね。あなたが存在していましたもんね。でもね。ここでは、あなたの生だって数分で消えてしまいますよ。


 あははは。今度はあなたたちの番だ。かつて、いくつもの生物を絶滅させたあなたたちが、今は絶滅危惧種の特別天然記念物なんですよ。ほらほら、この人類資料館〜復元街では、しっかりとその防護服を着てないと。大変なことになっちゃいますよ。
 あら、いけない。バッテリーが切れそうなので、ちょと失礼しますね。


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このストーリーに関するコメント

15/08/26 松山

 たっつみー2さん、拝読しました。
大変面白い作品ですね。最後の一説最高でした。
椋もよくこんな作品を書いていました。

15/08/28 光石七

拝読しました。
インタビューの仕方がなんだか不躾だなあ、と思いつつ読み進めていましたが、そういうことでしたか。ラストの一節、高笑いと侮蔑気味のまなざしと共にこの身に突き刺さるようです。
上質なブラックユーモアとして楽しめました。
しかし、人類が愚かな道を突き進めば、このお話が現実のものにならないとも限りませんね。

15/08/30 たっつみー2

松山さま

ご感想ありがとうございます。

彼の作品が、私たちの胸に確実に刻まれております。

15/08/30 たっつみー2

光石七さま

ご感想ありがとうございます。

利便性を追求しつづける人類はどうなってしまうのでしょうか。

機会やロボットに依存し、役割を失っていく人類はどうなっていくのでしょう。

未来の地球に残っているのはなんなんだろう、とふと考えてしまいます。

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