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海見みみみさん

はじめまして。 時空モノガタリで修行させていただいています。 焼き肉が大好物。

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運命の女神はケタケタと笑う

15/08/03 コンテスト(テーマ):第八十八回 時空モノガタリ文学賞【 罠 】 コメント:6件 海見みみみ 閲覧数:1378

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 運命の女神はなんと理不尽なのだろう。まさかこんな普通の日常に罠が潜んでいるとは思いもしなかった。
 今朝食べたカレー。四日目だけど火さえ通せば大丈夫だと、のんきに考えていた今朝の自分を呪いたい。あの腐りかけカレーこそが罠だったのだ。
 大学の帰り道、突然俺は腹痛に襲われた。やばい、これは超弩級の物が出そうな予感だ。
 慌ててトイレを探す。この辺りにトイレはないか。しかしここは住宅街。少し戻れば繁華街があるが、それまで我慢できるだろうか。
 必死に辺りを見て回る。すると少し先にコンビニらしき物が見えた。希望を託し、コンビニまでふらふらと歩いて行く。
 コンビニに入ると中はよく冷房が効いており、それが余計に腹を刺激する。俺は脂汗をかきながら店員に声をかけた。
「トイレお借りします」
「すみません、当店にはトイレがないんですよ」
(なんですと?)
 思わず声をあげそうになる。トイレのないコンビニが世の中にはあるというのか。それでは従業員はトイレに行きたくなった時どうしているというのだ。
 罠だ。コンビニならトイレが借りられるという先入観が生み出した罠。
 俺はふたたび腰をひくひくさせながらコンビニの外に出た。

 それから腹を押さえながら歩くこと五分。俺は運命の女神に感謝をしたくなった。目の前に見えるのは公園。公園と言えばトイレがあるのは確実。
 俺は人気のない公園の中に入り、トイレへと一直線で向かった。トイレはだいぶ汚れており、悪臭が鼻につく。それでも漏らすよりはマシだ。俺は個室トイレのドアを開けた。
(なんだ、これ!)
 そこは地獄だった。明らかに掃除のされていないそれは、水道が詰まっているのだろう。他人の大便で溢れかえっていた。
 一言で表現するならクソの海。ここでするというのか。いや、そんなのは無理だ。
 ここもまた罠だった。公園のトイレならまず大丈夫だろうという楽観が生み出した罠。
(こうなったら繁華街まで何とか歩いて行こう)
 俺は断腸の思いでそう決断した。

 繁華街に着くまで、その道程は地獄のようだった。いっそこのまま漏らしてしまうか。何度そう考えては、正気を取り戻し、肛門を締め直した事か。
 だが俺は繁華街に無事到着した。あとはトイレも選び放題。俺は一番キレイなトイレがあるだろう家電量販店に入った。
 案内板の指示に従い、トイレへと向かう。そこには確かに男子トイレが存在していた。
 扉を開け、個室のトイレに入る。洋式の美しい便器。その美しさに惚れ惚れする。
(運命の女神様、ここまで辿り着かせてくれてありがとう!)
 俺はトイレへと座り、そのまま溜まりに溜まっていたダムを開放した。物凄い勢いでブツが放出される。
 これで何とか事は済んだ。後は尻を拭いて外に出るだけ。そう思いトイレットペーパーに目をやる。だが、
(紙が、ない!)
 まさかこんな時に定番の罠に引っかかるなんて。
 慌てて鞄の中を見てみるが、トイレットペーパーの代用品になりそうな物はない。
(終わった……)
 俺はこのまま尻を拭けず、ウンコマンとして外に出なくてはならないのか。
 そう絶望している時、ふと物音が聞こえた。トイレに別の客が入ってきたのだ。運命の女神は俺にほほ笑みかけてくれた。紙がないなら、今入ってきた別の客に持ってきてもらえばいい。
「すみません、紙がなくて。隣から紙を持ってきてもらってもいいですか?」
 俺が声をかけると、入ってきた男は「わかった」と答え紙を取りに行ってくれた。
 これでなんとか助かった。俺はさまざまな罠を潜り抜け、なんとかここに至る事ができたのだ。
 男がノックをしてくる。俺は満面の笑みでトイレのドアをあけた。
 その瞬間、目の前に見えたモノ。亀。
 男はなぜか下半身裸で俺の前に勃って、いや、立っていた。
「紙を持ってきてくれたのでは」
「ここは俺達ホモのハッテン場だぞ。お前も俺を誘うために声をかけたんだろう?」
 何を言っているのか、よく言葉の意味が理解できない。だが一つだけわかる事があった。俺は最後の最後で最大の罠に引っかかったのだと。
「さあ、始めよう。俺の方は準備万端だぜ」
 男のエクスカリバーが俺の眼前に迫る。
 その時俺は確かに聞き、理解した。こういう時、運命の女神はケタケタと笑うのだと。


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このストーリーに関するコメント

15/08/04 j d sh n g y

読めそうで読めなかった展開、楽しませていただきました!自分の作品にはユーモアが欠けてるので、また次回作に取り入れたいと思います

15/08/04 海見みみみ

jdshngy様

ご覧いただきありがとうございます!
今回はオチの展開を重要視していたので、そこを褒めていただけて嬉しいです。
jdshngyさんの創作活動も応援しておりますね!

15/08/12 光石七

拝読しました。
ようやくたどり着いたのに紙が……というのは予想できましたが、最後のオチにやられました(笑)
いい意味でバカバカしく(主人公には「ご愁傷さま」ですが)笑わせていただきました。
面白かったです。

15/08/13 海見みみみ

光石七様

ご覧いただきありがとうございます!
今回はどこまでオチでひっくり返せるかが課題だったので、オチで笑っていただけて嬉しいです。
「いい意味でバカバカしい」とのお言葉、ありがたく受け取ります!
それでは感想ありがとうございました!

15/09/03 6丁目の女

シンプルなストーリーを遊び心満載の軽妙なタッチでテンポよく書かれていて面白かったです。主人公の切実な状況が伝わってきて、笑っちゃいながらも、応援してました。そして最後のオチが素晴らしいですね、読めませんでした!

15/09/03 海見みみみ

6丁目の女さま

ご覧いただきありがとうございます。
とにかく最後のオチまで楽しんでいただく事を考えてこの作品を書きました
楽しんでいただけたとの事で何よりです。
感想ありがとうございました!

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