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インド人舞踏家さん

猫に足のにおいをかがれます。

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15/08/02 コンテスト(テーマ):第八十八回 時空モノガタリ文学賞【 罠 】 コメント:0件 インド人舞踏家 閲覧数:1228

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 俺は廣瀬ハルオ。この町では名の知れた名士だ。

 『外国人に間違った日本語を使わせる』

 これが俺の生きがいである。この前など留学生に「ふがいない」という言葉を「親切だ」という言葉の最上級の表現だと教えてやり、人前で恥をかかせてやった。

 さて、今日うちに来る奴は昔俺が色々と世話をしてやった劇団員のジョセフだ。俺のことを信用しているから何でも言うとおりに話すだろう。
 そうだな・・・こいつには演劇終了後のステージ挨拶で大恥をかかせてやろう。

 俺はその場でジョセフに目いっぱい下劣で卑猥な言葉を教え、何度も復唱させた。
 そして、次に演劇がある時は自分も観に行くことを伝え、ジョセフを帰宅させた。

 1ヵ月後・・・その時は訪れた。

 俺はジョセフに演劇に招待され、最前列を陣取った。もちろん、奴が恥をかくのを間近で見るためなのだが。
 つまらない内容の演劇、くだらない演技。観ているのも苦痛だ。俺には永遠に思えるほどの長い時間が感じられた。

 だが、時間とは遅かれ早かれ必ず流れるもの。ついに待ちに待った時間がやってきた。

 ステージが終わってキャストが並び、1人ずつ挨拶をし始めたのだ。

 あの位置から言うとジョセフは最後の挨拶か。いいところを持っていきやがる。まあ、劇団にいることができるのもこれで最後になるかもしれないがな。
 俺はこれから起こる事態を想像し、笑いが止まらなかった。

 そして・・・いよいよジョセフが話す番がやってきた。

 さあ、行け。絶望を味わえ! 
 俺は期待と興奮で胸を膨らませた。

 マイクを手に取ったジョセフは真剣な面持ちで静かに話し始めた。

 「ミナサン、今日は私の恩人、廣瀬ハルオさんからいただいたステキな言葉を紹介します。」


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