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海見みみみさん

はじめまして。 時空モノガタリで修行させていただいています。 焼き肉が大好物。

性別 男性
将来の夢 プロ小説家になること!
座右の銘 焼肉定食!

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3Kイケメンじゃなきゃ嫌なんです!

15/07/29 コンテスト(テーマ):第八十八回 時空モノガタリ文学賞【 罠 】 コメント:2件 海見みみみ 閲覧数:1495

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 あなたは3Kというと何を思い浮かべるだろうか。私の場合は高学歴、高収入、高身長の三つだ。
 正直、私は3Kでイケメンの男以外には興味がない。私は自分がそれだけの事を言える美女である事を自覚していた。だから3Kでイケメンではない男は門前払いなのである。
 そんな私に転機が訪れる。あれは五月の涼しい日、合コンでの事だった。

 その日の合コンで、私は早速一人の男性に目をつけた。顔、イケメン。身長、高身長。あとは学歴と収入だけ。私はそれぞれの自己紹介の時間を待った。待つ事十分。彼の自己紹介の番が回ってきた。
「柳レンジです。外資系の会社に勤めています」
「学校はどこに通っていたんですか?」
 よし、早速バカな女が一人食いついた。これで私は自分から質問しなくても柳さんの情報を手に入れられる。
「学校は東京大学出身です」
「わあ! 高学歴じゃないですか! それじゃあ当然収入も……」
「年収一千万円くらい、とだけ言っておきます」
 そう言って柳さんがふにゃりと笑う。高学歴、高収入、高身長、どれも条件はクリアだ。
 私は料理の取り分けやアルコールの注文など率先してこなし、出来る女のイメージを周りに与えていった。そして機会を見つけて柳さんの隣に座る。
「隣失礼しますね」
「えっと、泉さんだっけ?」
「同い年ですよね? 私の事はアオイで良いですよ」
「それじゃあ俺もレンジで良いです」
 柳、レンジさんがほほ笑みを浮かべる。思わず胸がときめくような笑顔。これは絶対に落としてみせると覚悟を決める。
 その後、私達は趣味の話をして、お互いに旅行好きである事が判明。三年前に私が韓国へ一人旅に行ったという話で盛り上がり、一次会が終わる頃にはすっかり打ち解けていた。
「アオイさん」
 二次会に向かう道中、レンジさんが声をかけてくる。
「もし良かったら、俺達二人だけ抜け出しませんか?」
 それは願ってもない提案だ。私はそれに頷き、レンジさんと二人合コンの集まりからそっと消えた。

 その後、私達はレンジさんがよく通うというバーに行き、お酒を飲みながらしっとりと語り合った。そうこうしている内に時計が十二時を過ぎる。
「もう終電、過ぎちゃいましたね」
 そう言ってレンジさんにしなだれかかる。これで落ちない男はいない。私達は酔いに任せて、そのままホテル街へと消えて行った。

 その晩、私達はとても素晴らしい夜を過ごした。体の相性もばっちり。レンジさんとならこのまま付き合ってもいいかも。そんな事を考えながら私は眠りについた。

「騙された……!」
 翌朝、私は愕然としながら朝を迎えた。目の前にはまだ眠ったままのレンジさんの姿が。だがレンジさんの姿を見ると何か違和感がある。昨夜と明らかに身長の高さが違うのだ。慌ててレンジさんの靴を調べる。厚底。いわゆるシークレットシューズと言われる物だった。
 レンジさんは偽りの3Kだったわけだ。そんな男に体を許してしまった。なんという罠だろう。
(でも、まあ)
 私は机に置いていた箱からタバコを取り出し、火をつける。タバコを吸い、私は煙を吐き出した。
(私も彼の事、罠にハメているからなぁ)
 三年前、韓国に行き私は生まれ変わった。この顔は全て美容整形により作られたものなのだ。
(お互いに引け目があるという事で、ここは妥協するか)
 するとレンジさんが目覚めたのか、静かに起き上がる。私は彼にキスをすべく、レンジさんの元へ飛び込んだ。

 数年後、私達は結婚し、幸せな家庭を築いていた。だが一つ言っておきたい事がある。レンジさんは3K男では一切なかった。本当は三流大学卒で、中小企業の平社員をしているのだと言う。
 こんな3Kからかけ離れた男となぜ結婚したのか。そこにレンジさんの本当の罠が仕組まれている。
(だって彼、いい人なんだもん)
 そう、彼は最初自分のプロフィールを偽っていたが、付き合ってみるとこれが案外いい男だったのだ。学歴も、収入も、身長もない。でも一緒にいて居心地の良い人。それがレンジさんだった。
「レンジさんって蜘蛛みたい」
「なんだよそれ」
 レンジさんが不思議そうに声をあげる。
 蝶をおびき出し、蜘蛛の巣という罠に絡めとる。私にとってレンジさんとはそう言う人だった。


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このストーリーに関するコメント

15/07/29 海見みみみ

志水孝敏さま

お久しぶりです。
少しばかり修行をして帰ってきました笑
好短編とのお言葉、とても嬉しく思います。
3Kだけが男じゃないですよね。
肩書きに縛られない恋愛をしたいものです。

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