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レイチェル・ハジェンズさん

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性別 女性
将来の夢 冒険家
座右の銘 人生は上手くいくことばかりじゃない

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残念な美女

15/07/22 コンテスト(テーマ):第八十七回 時空モノガタリ文学賞 【 私は美女 】 コメント:0件 レイチェル・ハジェンズ 閲覧数:1423

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 以下の5つのことが当てはまった方、貴方には美女の素質あり!?

1.仲間のことを大事にする(信用を裏切らない)
2.人付き合いに長けている
3.見た目を褒められたことがある
4.同性より異性の友人が多い
5.「ありがとう」という言葉が好き


「やっほぉぉ! やっぱコレ俺のことじゃーん」
「てめぇ……。美女とか言われて嬉しいのかよ」

 夏休みに入り、自分家のエアコンをオンにした所「ぶるるる」という雑音と共に熱気が部屋を満たす事件が発生した。電気屋さんに連絡してみると、新品に換えた方が良いとの事で夕方来てくれることになった。

 それまで友人の田中にお世話になってしまおう、と思いついたので図々しくも午前中からお邪魔している。

 新築ということもあってか、家に傷ひとつないし家具や家電だって新しい。こっそり開けた冷蔵庫から気持ちの良い冷気が噴き出してきた。
 うむ、素晴らしい。
 冷凍庫からアイスバーを頂戴しようとした時、田中に頭をペシッと叩かれたのは内緒である。

 驚いたのはこれだ。田中がついにノートパソコンを買っていた! 新築の様子見がてら来たものの、自分の家と無意識に比較してしまい悲しくなってくる。ノートパソコンは艶やかな黒で、滑らかなキーボードが癖になってしまいそうだ。

 田中がパスワードにしそうなことは……、と考えた時、真っ先に「ハチ」が思い浮かんだ。ハチというのは田中が実の弟のように可愛がっている愛犬のことで、黒目がきゅるりと可愛い柴犬なのだ。ハチとその誕生日を入力すると、アラ不思議。解けた。

 解除したパソコンでネットを色々見ていた訳だが、さっきの美女の条件5つに俺は全て当てはまってしまったのだ。

「俺、仲間のこと大事にするじゃん?」
「まあ……中学校の頃、バスケ部部長だったしな」
「だろォ〜?」

 ひとつ目は無論クリアである。

「人付き合いに長けてるって、そんなの俺しかいねーじゃん?」
「オンラインゲームで悪羅悪羅してるだけだろ。まあ、一番仲間の数は多いがな」
「これは人柄が良いってことよ。人が俺によって来るんだ」

 俺、やっぱりカッコイイ。名言をはいちまった。

「見た目を褒められたことがある、はどうなんだ? 俺は聞いたこともないが」
「おいソコのダサ眼鏡」
「なっ……」
「俺はいつも皆の注目の的だぜ……?」
(そう言えばコイツ、ダサいって小言言われてるっけ……)

 俺が街を行けば皆の視線は独り占め、合コンに行けば女は開口一番に俺の事を話す。





「それにな? 俺、この前アドレス帳見てたんだけど女友達の方が断然多かった」
「そりゃ商業高校に行ってれば必然だろ」
「ありがとう、はもう毎日何回と言ってるぜ」
「コンビニで最後に言うあの台詞?」

 足立はもう完全に自惚れてしまって、俺の話すら聞いていなかった。おめでたい頭に産まれて良かったな。
 ただ、本当に足立は仲間を大事にする。
 人のアイスバーを盗もうとする所や、人のパソコンを勝手に使う所でもう既に素行は悪いのだが、コイツなら許せるというか。頭は単純な訳ではないのだが、馬鹿というか……可愛、いや、違う!! 世話の焼ける可愛い小学生。

 小学生の頃からの幼馴染だが、あれから成長していない。馬鹿で阿保で大人気ないが、コイツ程心の許せる奴はいない。ハチに似た所がある。無邪気な笑顔が似てる。
 人は信用ならないという偏見すらあった俺の唯一の例外。
 ベタなもんだが、コイツは俺を助けてくれたし、家以外にも警戒心を解ける場所を作ってくれた。俺はコイツとハチにベッタリな所があるかもしれない。

 俺は内科医になるために勉強中な訳だが、足立は最終学歴は高卒で良いと言うので夏休みは呑気なもんである。俺のベッドでごろごろと寛ぎだし「自分が美女だ」と言い出すので、もう手におえない。

 溜息をわざとはき、俺は勉強に戻る。

「田中、俺な」
「んー?」

 先程までと声色の違う足立の声が耳に届く。

「もうすぐ、地元にいられなくなる」
「は?」
「1ヵ月前、親が離婚したんだ」
「えっ」

 バッと鈍い音がして、窓から電車が通って行くのが見えた。俺は冷たい息を飲む。

「御袋が福岡に来ないかって。へそくりで大学行かせられるって言ってんだ」
「よ、良かったじゃん……。お前、俺と同じ医者になりたいって言」

「田中、俺がいなくても大丈夫か」

「……大丈夫だよ」

 強気に負けて、自分の口で自ら大丈夫だと言ってしまった。足立の目力がきゅっと強くなり、そして次の瞬間ニカッと笑った。

「そうか」

 まるで恋人のようなやりとりを、男同士でした。ああ、足立が本当に女ならな……。

「俺、毎週田中に手紙書くよ」
「いい。気持ち悪い。お前は恋人か」
「俺、美女だからな」


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