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レイチェル・ハジェンズさん

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性別 女性
将来の夢 冒険家
座右の銘 人生は上手くいくことばかりじゃない

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君のつづき

15/07/13 コンテスト(テーマ):第五十九回 【 自由投稿スペース 】 コメント:1件 レイチェル・ハジェンズ 閲覧数:1083

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 ○○高校のマドンナ。
 そんな響きに憧れたっけ。


 私の高校はいたって平凡だったけど、平凡じゃないクラスメートがひとりいた。そのクラスメートはちょっと変わっていた。変人とかそんな言葉じゃなくて、ただミステリアスというか、謎めいた所があった。


 クラスメートに限らず、学年が違う生徒、他校の人達までもが君の存在を知っていた。どうしようもなく困っている時、どうしようもなく一緒にいて欲しい時、もう心が崩れてしまいそうな時……、君は直ぐにその人の元へ駆けつけていた。実は難しいことを平然とやっていたっけ。


 シンプルに、皆から慕われる存在。夢でしか描けないような、完璧少女だった。


 クラスメートだし君と離れている訳でもないのだけれど、君が大分遠かった。北海道と沖縄くらい、交わらない存在のように思えた。


 でも、君は全員に平等だった。


 GWに入る前夜のこと。私はレポートセットを学校に忘れてしまって、家で「うー」とずっと唸っていた。
 私は優等生だ。
 レポートを提出しないのは論外だし、レポートセット一式を友達に貸してもらうのも流石に図々しかった。友達も宿題をするのだから。


 どうしよう。


 そう思った時、携帯が震えた。ただのピンクのガラケーで、特別な仕様ではない。


【よう】


 開けてみると、君からのメッセージが届いていた。何の前触れもなく君から来るものだから、私は一瞬ビビッてしまった。えーっ、なんて心がざわざわしたのを覚えている。


【花村先生が呼んでるぜぃー】


 気の抜けた文に、私もその気にさせられる。


 次に職員室の画像が送られてきた。職員室の窓は夜色なので、今の写真なのだろう。携帯に向かってピースをする国語科の花村先生と、君が制服を着崩し「ぶー」なんて口をした写真。
 先生が呼んでいる理由はさっぱり分からなかったけど「分かった、」と適当に返信して制服に着替え、夜の町へ出た。


 薄暗い廊下を走り、ひとつだけ明かりのついた職員室が目に入る。緊急の用事かと思ったので、そのままの勢いでドアを開ける。


「失礼し」
「んにょ」


 お互いの空気が違った。間延びした声を発した君は眠たそうな目で私を見た。


「何か御用でしょうか……?」


 彼女に釣られたのか、それとも先生の方から食べようと言いだしたのかは定かではない。ただ、私の双眸の先にはふたりがインスタントうどんを頬張る姿があった。彼女がソファでゴロ寝する姿も。


「あ、朝野さん。GW前なのにごめんねえ。でも、今日中にポストに投函しなくちゃいけなくって。
 この前、働く人っていうテーマで作文を書いたでしょう? 朝野さんのが良いと思って、コンクールへ応募したいんだけど……良いかな?」
「っていうか、ほぼ強制的なんだよ。他のが応募規定に違反してる」
「先生、注意事項伝えるの忘れちゃった!」


 彼女の一言に、先生はテヘペロ☆をしだす。どうやら彼女も作文を読んでいたらしい。湯気が出ているアイマスクをのせている。


「まあ、それもあるんだけど。朝野さんの独特な文章、私は好きなのよねぇ」
「でもそれだったら――さんの作文の方が」
「私のは駄目なんだよ。パパが審査委員務めてるから」


 そんな回答が出て来るとは思わなかった。う゛、となりながらも渋々コンクールへの応募を承諾する。こういう照れ臭いのは遠慮したいのに。
 応募用紙に自分の名前を書く手が凄く嫌がっている。


「これで郵便局に行けばヨシっ。
 朝野さん……呼び出してごめんねぇ。夜道にひとりで帰れる?」
「あー……、私が送っていきますよ」
「大丈夫?」
「もう、言ったでしょう〜。合気道だけは自信ありますから」


 妙な小競り合いの果て、私は彼女と帰ることになった。無縁の存在だと思っていただけど、こんな形でふたりっきりになるとは。


「誠は連休どっか行くの」
「えっ!」 素っ頓狂な声が非常に酷だ。
「私はお婆ちゃん家に……」
「いいなー。お婆ちゃん家」
「甥っ子と川遊びをする予定です」


 同級生なのに敬語を使ってしまう……。
 他愛もない話の最中、私はレポートセットのことを思い出した。


「あ! そういえば、レポート……」
「れぽーと?」 彼女からえらく素っ頓狂な声が出る。


 環境科塔のロッカー。体育館シューズや、美術で使う絵の具セットや、辞書数冊が入っている。たまに漫画を入れる生徒もいたりする。
 彼女に塔の鍵を開けてもらい、私は中に入った。月明かりで視界は悪いが、レポートセットを忘れた自分が悪いので何とも言えない。


「どうして塔の鍵をお持ちなんですか」
「んー? なーいしょー」


 曖昧な答えを聞いて余計に彼女を知りたくなる。君に毒されそうだ。


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