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レイチェル・ハジェンズさん

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前島さん、掃除しましょう

15/07/11 コンテスト(テーマ):第八十六回 時空モノガタリ文学賞 【 掃除 】 コメント:0件 レイチェル・ハジェンズ 閲覧数:1116

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「前島さん」
「はい」
「良い加減に掃除したらどうですか」
「……ふむ」


 太ももがガッチリ見えるピンクのスカートに、ブラウスのボタンが3つもとれたOLが何の用かと思ったら。鉛筆みたいな細い人差し指で俺のデスクを指さすやいなや、「掃除したらどうですか」か。


 確かにこの部署は女性社員が多いし、そこらへんは気を遣うべきだと思う。思う。思う。思うぜ。でも俺はかなりの女性中毒で、身近にグラビア誌やDVDがないと落ち着かない主義なのだ。


眞鍋のだけは数冊残すかな……


 頭を掻きながら、グラビア誌の地層から古いものを集める。しわがつき、白く劣化しているものさえあった。ゴミ箱には煙草ケースと、チョコレートの銀紙数枚が半分ほど溜まっている。俺的にはまだ掃除しなくてセーフの領域ではあったのだが、こうして女性社員代表で可愛い佐藤ちゃんが来てくれたのだから掃除をするとしよう。


 ゴミ袋に要らないものほっていくと、好奇な目で藤井は俺を見出す。俺が大人しく女性社員の言うことをきいたのに驚いているのだろう。


「えと……前島さん。どうしていきなり言うことをきくようになったんですか」
「気まぐれだよ、き・ま・ぐ・れ。どーせ時間もあったし、綺麗にするのは良いことだ」
「はぁ……」


 綺麗にすれば心はさっぱりする。とても良いことだ。





「お疲れ様でした」


 夜、仕事が一段落して俺達は会社のエントランスで別れることにした。汗臭く全員が疲れていることもあり、今日は飲みに行く計画もなくなった。
 初夏の夜気は涼しい。汗と達成感が謎の清涼感を産んでいる。


 コンビニで缶ビールでも買って帰ろう。ベランダで一杯やろう。うん。
 思いに馳せ歩いていると、後ろから女性の声がして俺をひきとめた。


「あの、前島さん」


 今日の午後、俺に気まぐれを起こさせたアイツである。


「うん? どした」 俺は振り返り、ぽりぽりと頭を掻く。


 ほんのり焦りの色を見せる佐藤ちゃんは、ちっす! とでも言ってきそうな笑顔を一瞬だけ見せると俺の前で足を止めた。何処か恥ずかしそうにも見える。


 背伸びして履いているヒールがかつ、と乾いた音をたてる。今まで可愛い妹分として見ていた佐藤ちゃんから、あどけない大人の音がした。トクリと心臓が小さく跳ね、焦ってしまう。ああ、どうしよう。


「あの、今日のことなんですけど。私、年下なのに掃除してくださいとか生意気なこと言ってしまって申し訳ありませんでした」
「ああ、そのこと? 構わないよ。俺の部署は女性社員多いしさ、綺麗にしないといけないって思ってたし。どんどん言ってきてよ」
「いえ、前島さん……。以前は男性ばかりの部署にいたって聞いたので、慣れない環境なんだと思うんです。だから……片付けてくれて嬉しかったですよ」


 にっかりと笑う佐藤ちゃんはやはり可愛い。ああ、くそう。


「あの、今日一緒に帰りませんか」
「え、でも……」
「お願いします」


 確か佐藤ちゃんは地下鉄を使っていたはずだけど……。俺は困ってしまったものの、ぺこりと頭をさげる君には勝てそうにない。


「うん。一緒に帰ろう。帰りにコンビニ寄るけど良いかな?」
「はい。全然構いません」


 佐藤ちゃんはひょっこりと俺のそばにやってくると、すがすがしい態で今日の仕事のことを話してくれた。本当に、可愛い妹分である。



。.。:+ .。゚+..。


『前島さん、掃除しましょう』 作品解説


 前島さん、掃除しましょう を読んでいただき、ありがとうございました。
 このお話は文脈が読み手によってかなり変わってくるので、作品解説をば。

 最後の会話シーンを読んでもらったら気付いた人もいると思いますが、「年下なのに生意気なこと言って……」は佐藤の個性と言いますか、そこらへんの礼儀は分かっていることをアピールした文です。真面目なんですね。
 最初、胸元がはだけた服装で登場しますが、全てはグラビア誌に首ったけの前島を振り向かせるため。本当は清純派の佐藤さんです。

 そして、「以前は男性だらけの部署で……」は、前島のことを色々知りたがって周りの人に色々聞いていることを表しています。男女問わず、好きな人のことを周りに聞いた経験があるはず……。

 全部に通じることですが、佐藤は先輩である前島に敬意を払いながらもちょっと上から目線な所があるんです。ツンデレと言いますか、「別に好きじゃないんだからね」なんて甘酸っぱく受け止めてもらえれば幸いです。


 ここまで作品解説をしても分からなかった人達へ。


 つまり、「グラビア誌なんか全部捨てて、私のことを見なさいよ!」な佐藤さんを堪能してもらえれば恐縮です。


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