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三条杏樹さん

好きなものを好きなときに。

性別
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座右の銘 人間だもの。

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このモノガタリはフィクションです。現実とは一切関係ありません。

15/07/07 コンテスト(テーマ):第五十九回 【 自由投稿スペース 】 コメント:1件 三条杏樹 閲覧数:1119

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どうしよう。どうしよう。どうしよう。

何度生まれ変わっても女にしかなれない。
何度首を吊っても何度飛び降りても何度首を掻っ切っても。

今回も女じゃないか。

絶望。



一度目にこの世に生を受けたときは、なんの不自由なく生きていた。それがいつからか、「女」として生きていく上での不都合ばかりが目に付くようになった。

電車に乗れば痴漢に遭うし、道を歩いていても暴漢に遭うし、盗撮されるし、ストーカーされるし、セクハラされるし、DVを受けるし、会社では出世しにくいし・・・・

一度目の人生は、デメリットが多すぎる性別に生まれてきたことを呪いながら死んだ。
病死だったはずだが、よく覚えていない。

次こそ男に生まれて、人生を謳歌してやる。そう思いながら死んだ。
それなのに、二度目に生まれ出てきたとき、またもや女だった。

どういうことだ。またあんな人生を送るのか。
どこにいても何をしていても、女というだけで性的な目で見られるあの屈辱感。
男よりも腕力がないせいで、常に男からの暴力に怯えるあの日々。

女というだけで。女というだけで。女というだけで。

11階から飛び降りた。
父親が私の頭を撫で、スキンシップだと言って尻をまさぐるのも死ぬほど嫌だった。

7歳のときだった。


今度こそ男に、と思ったのに、三度目の性も女。

いい加減うんざりだ。いつ生まれ変わっても、例え先進国だとしても女の立場が弱い世界なんて生きづらい。

とても男を恋愛対象などとは見れず、女と交際していたが、18歳のときに大学の男に迫られて嫌気が差した。首を吊った。


四度目の産声も女だった。
気が狂いそうだ。
こんなことってあるものか。

日常の中に危険しかないあの性別に四度も生まれるなんて。
3歳のときに鋏で首を掻っ切った。

次こそ。男に生まれてください。お願いします。お願いします。お願いします・・・・




「おめでとうございます。元気な男の子ですよ」


勝った。

ありがとう五度目のお母さん。あんたは俺の恩人だ。
これで何にも怯えずに生きることができる。なんの柵もない。特に、性の犯罪、暴力、社会的地位の暗黙・・・・

やった。やった。やった。



ここぞとばかりに人生を楽しんだ。勉強もそこそこ。
男に生まれたら、女の子には全員優しくしようと決めていた。
幸いにも容姿には恵まれた。告白されたら断ることなく全員と付き合った。
それがトラブルになることは火を見るより明らかだったが、そんなことどうでもいい。


楽しい。楽しい。楽しい。

男ってなんて楽しいんだろう!
夜遅く遊んでいても身の危険を感じないし、満員電車に乗っても痴漢に怯えることもない。
背が高い。力がある。
働いた分だけ出世する。

まだジェンダー観に偏りのある世代が上を牛耳っている間はやっぱり男が前に出る。
可愛がられる。


ああ、男ってなんて便利な体なんだ!


「おう、新入り。脱げ」
飲みの席で上司が言った。

「は?」
「盛り上げろよ」
上司が俺の上着に手をかけた。

「何言ってるんですか、嫌ですよ」
「男なんだから減るもんじゃあるまいし。ほら、いっちょ面白いことやれよ」

違和感。


「男のくせに、運転下手なのね」
付き合っていた女が言った。


「前から思ってたんだけど、同い年なのになんで俺が全部金出すの?」
「男なんだから当たり前でしょ」

違和感。


「結婚やめるって、どういうことだよ」
女の手を掴む。
「あなたの年収が、ちょっとね。不安だったの」



男のくせに。
男のくせに。
男のくせに。

プレッシャー。金。地位。
付加価値にしか目を向けられない生きづらさ。


次は、絶対女に生まれよう。


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このストーリーに関するコメント

15/07/10 クナリ

われわれ人類の、永遠の悩みですね(^^;)。
あっち側の世界もそりゃ大変だろうけど、でも今の自分よりはきっと楽なんじゃ…と思ったことが、誰にでもあると思います…。

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