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鮎風 遊さん

訪問していただき、ありがとうございます。 この世で最も面白い物語を見つけ出したい。 このためひとり脳内で反応を起こし、投稿させてもらってます。 されど作品は次のシリーズものに偏ってしまってます。。。 ツイスミ不動産。。。 刑事 : 百目鬼 学(どうめき がく)。。。 未確認生物。。。 ここからの脱出、時には単品ものも投稿したいと思っております。気が向いた時にでも読んでいただければ嬉しいです。    

性別 男性
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プリンセスと自転車

12/07/28 コンテスト(テーマ):第十回 時空モノガタリ文学賞【 自転車 】 コメント:2件 鮎風 遊 閲覧数:3014

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 亮介は駅から事業所までの近道を急いでいる。
 朝一番の会議までに資料を作成しておかなければならない。しかし、そんな慌ただしい中で思うのだった。
「今朝も彼女とすれ違うかな?」

 彼女とは、多分事業所近くに住む女性だろう。年の頃は二十五歳前後。
 きっとOLなのだろう、いつも亮介が事業所へと徒歩で向かっている時に、自転車を走らせ、軽快に駅へと飛ばしていく。
 その姿は若々しく、爽やかだ。

 亮介はそんな彼女の俊敏な・・・・・・。
 いや、まるで出陣のような勇姿を目にし、毎朝元気をもらってる。

 だが、この近道には難所がある。
 それは約30メートルの区間だけだが、道幅は極端に縮まり、その上に片側が塀。そして、もう一方が川なのだ。

 当然、立て札が立っている。
「危険! 自転車から下りろ」と。

 亮介は知っていた。彼女はこの警告を守っていないことを。
 そして他の人たちも認識していたのだろう、彼女がその難所に差し掛かってくると、そこへとは踏み込まず、手前で待つことを。
 もちろん彼女はそれに応え、スピードを落とすこともなく、ほれぼれとするカッコ良さで朝の風を切り、難所を走り抜けていく。

 亮介はそんな我が儘な振る舞いをする彼女が、どことなく愛らしく、この町のプリンンセスのように思えて好きだった。

 そして、その朝も・・・・・・。
 亮介がその難所の真ん中あたりに来た時に、彼女が猛スピードで突っ込んできた。
 万が一、こんな場面に出くわしたならば、・・・・・・。
 無論のことだ、レディーファーストで、ヤモリのごとく塀にペタリと貼り付いて、彼女に最大幅の道を確保する。これがジェントルマンとしての作法なのだ。

 しかし、その朝は違っていた。亮介も急いでいた。
 真正面に彼女と目が合った。
 どうしようかと一瞬戸惑った。
 彼女もこんな事態はきっと初めてなのだろう、「なんで? 信じられないわ」という風に、ギョッとしたのが見て取れた。 

 そして、そんな間合いのことだった。多分、彼女は急ブレーキを掛けたのだろう、スピードがぎゅっと落ちた。
 そしてその結末は・・・・・・バランスを崩し、ユラユラと揺れ・・・・・・ドボン。

 町のプリンンセスが1メートル下の川に、自転車ごと落下。
 これはまことに一大事だ。
 亮介は手を差し伸べて、めくれ上がったスカートの奥のパンツまでズブ濡れになったお嬢さんを引き上げた。

 きぅとビジネス街にある一流企業のOLさんなのだろう、通勤服といえども・・・・・・・下着まで高級そう。
 しかし、残念なことだ。ふっくらした胸のあたりに・・・・・・、川藻がへばり付いている。

 亮介はそのドローンと長くって、異様に緑色の藻を手でそっと取ってやる。
 だが、プリンンセスはよほど恥ずかしかったのだろうか、亮介の手を払いのけ、家の方へと走り去って行った。

 それから自転車は1週間ほど川の中に放置されたままだった。
 そして、それ以降は駅まで歩いて通う彼女を時々見掛けたことがあった。


 あの出来事からもう何年経っただろうか?
 亮介が川から救い上げたプリンンセス。
 これも縁なのか、今は連れ合いに・・・・・・。
 いや、女王様として我が家に君臨し、やっぱり警告無視で威張ってる。

 そして最近つくづく思うのだ、亮介は。

 自転車1台くらい川に落ちても・・・・・・プリンンセスの性格は変わらないものだと。


                              おわり


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このストーリーに関するコメント

12/07/30 泡沫恋歌

楽しく拝読しました。

確かに、自転車一台で人の性格は変わりません。
それよりも自転車一台の犠牲でプリンセスを手に入れた主人公は
幸せ者だと言えましょう!

面白かったです。

13/11/29 鮎風 遊

泡沫恋歌さん

コメントありがとうございます。

自転車一台で、女王様にかしずくことに。
人生、なにがどうなるかわかりませんね。

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