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W・アーム・スープレックスさん

性別 男性
将来の夢
座右の銘 作者はつねにぶっきらぼう

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ミス・スーバニユコンテスト

15/06/29 コンテスト(テーマ):第八十七回 時空モノガタリ文学賞 【 私は美女 】 コメント:2件 W・アーム・スープレックス 閲覧数:1304

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 探せばあるものだ。
 さすがはwebの時代。ミス・ユニバース日本代表コンテスト―――ではなく、その反対の、言葉はわるいけれど日本おぶす代表のようなコンテストはないものかといろいろ検索していたら、あった、あった、いくらもかからないあいだにすんなり私のスマホ画面にそれに関したHPがあらわれた。
 その名も、ミス・スーバニユ日本代表コンテスト募集。
 とにかく、きれいであってはいけない、ととのっていてはいけない、決して黄金分割では割り切れない容姿をもった女性なら誰でも応募可能とあった。
 私はつねづね、世間にまかりとおっている美の基準には疑問をもっていた。ミスコンに選ばれるような女性を私は、ちっとも美しいとは思わなかった。あの美の基準は一部の権威が自分の色眼鏡で勝手にきめたのではないのか。そんなものを度外視したコンテストに出たい。それが私の長年の夢だった。
 私はさっそく応募用紙を取り寄せ、コンテストに必要な書類と写真を添付して応募先に送ってみた。一週間後に書類選考通過の返事をもらい、そして一月後のきょう、いよいよミス・スーバニユコンテスト会場の舞台脇に立って他の参加者とともに、自分の名をよばれるのを緊張の面持ちでまっていた。
 出場する30名の女性たちはみな、予選を通過しただけあって、それは見事な規格外の容姿の持主ばかりで私は感動を覚えずにはいられなかった。なかでも、私のすぐ前にいた女性などは、上記の3項目を絵にかいたような女性で、私はまだ出番に時間があったので声をかけてみた。
「黄金分割からけたちがいにはずれたお顔ですね。すばらしいですわ」
「おほめにあずかって光栄です。あなたも私にけっしてひけをとっていませんよ」
「失礼なことを聞いてすみません。整形しているのですか」
「あら、わかっちゃった。徹底するには、すこしはいじらないとね。あなたはそれ、生まれつきかしら」
「そうなんです。私も整形して、もっと乱れた顔にしておけばよかった。あなたのように」
「まだまだ私なんかより上がいますわ。ほら、いま呼ばれた人なんか」
 なるほど、引き寄せられた垂れ幕のすきまからのぞく、舞台上の女性のその、ほれぼれするような醜さに、おもわず私は羨望のまなざしを投げかけていた。
「上がらないために、これをなめたら」
 と、彼女が私に、缶にはいった飴をさしだした。私が礼をいってその飴を口にいれるのを、なぜか彼女はしげしげと見守っていた。彼女はそばにいる女性たちにも飴をくばった。しかし、本人が飴を口にするところは一度もみることはなかった。
「あー」
 ふいに周囲から黄色い声があがった。
 なにごとかとみると、これはどうしたことか、規格外れの2乗3乗の女性たちの顔が、みるみる整いはじめ、目はくっきりとみずみずしく、鼻はすらりと高く伸び、唇がすぼめた花びらのように可愛らしく様変わりしていたのだ。
 女たちの中には悲鳴をあげて泣き出すものもいて、舞台横の控えの場はにわかにいろめきたった。
 私もまたある種の予感にうながされて手鏡をのぞきこんだ。そして周囲の女性たち同様に、これは誰といいたくなるような自分の端麗な容貌が目にとびこんできたのだった。
 みんなが混乱しているあいだにも、コンテストはすすんでいき、ひとり、またひとりと気落ちし肩をおとした彼女たちが、すっかりかわりはてた姿で舞台に歩み出していった。
 自分の顔がもとの愛すべき二目とみられぬおぶすにもどったのは、コンテスト終了間際で、言うまでもなく私を含めた原因不明の変化に見舞われた女たちは全員落選し、飴をくれた彼女だけが3位にくいこむ健闘ぶりをみせた。
 あの飴になにか細工が―――一時的に女をきれいな顔にしてしまうような薬剤が混入されていたのでは……。
 不審に思いながらも、確証もないのに訴え出るわけにもいかず、私は泣く泣く会場をあとにしなければならなかった。
 私はしかし、そんなことぐらいでめげるような女ではなかった。webを探せば似たようなコンテストはいくらでもみつかり、次々に私はそれらのコンテストに応募出場の申し込みをした。整形医にも通い、あのときの彼女のように、もっともっとひどくて醜い顔にする努力も惜しまなかった。
 ある日友達がたずねてきて、黙ってやって悪かったと断って、何と私の名でミス・コンに勝手に応募して、出場資格のハガキまでもらったとそれを差し出した。
 その友達には恩があった関係上、よけいなことをしてくれたものねと文句はいいながらも、やむをえず三日後のコンテストに私は出場した。のっけに落ちるものとばかり思っていたところ、なぜか上位3人に残り、さらにあろうことか優勝までしてしまった。
 美も醜も、極めてしまえば同格になるらしいことを、私は自分の身をもって証明したようだ。


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このストーリーに関するコメント

15/06/29 ハヤシ・ツカサ

どうも!下のハヤシです。拝読しました。このコンテストに、是非、政宗商事の受付嬢をノミネートさせたい!と思いました。確かにミスユニットバス?もといミス・ユニバースって、全体的にどう?って女性が選ばれますな。個人的にアタクシはB専の毛があるので、次回のコンテストの際は是非、スーバニユ審査員を勤めたい?

15/06/29 W・アーム・スープレックス

ハヤシ・ツカサさん、はじめまして。

どうぞいつでも審査員を勤めてください。ミス・スーバニユコンテストが本当にあればの話ですが。そしてこの地上の美の価値観を、思い切りくつがえしてくださることを願ってやみません。
コメントありがとうございました。

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