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ドロップキック

15/06/24 コンテスト(テーマ):第八十五回 時空モノガタリ文学賞 【 動物園 】 コメント:0件 フレッシュパルプ 閲覧数:1171

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 最近のドラマの悪いところは急に吐き気が催す描写や表現、セリフが画面に映ることにあると思う。具体的にはイケメン俳優がカッコつけているところやイケメン俳優が現実にそぐわない吐き気の催す台詞「必ず守る」「君が眩しい、すごく・・・」「海の波を見ていると君のことが好きで仕方ないすごく・・・」などの倒置法を用いた台詞。大事な場面では先代から受け継いだ30年もののタレのようにこれみよがしに使ってくる。
 僕の日課はこのようなくだらない社会を斜めに見ることだ。いや僕より斜めに見ている卑屈な人間は僕以外にも山ほど星の数ほどいるはずだ。僕だって好きでこんな人間なったわけではない。人生において壊滅的に女の子と過ごした時間がないだけで僕はこのような人間になったしまった。歳を重ねるにつれ女の子と過ごす時間は減っていき、くだらないドラマを見て悪口を言い、昼間から動物園でオカピーを見て酒を煽り、小さなノートパソコンに最近のテレビの悪口や日常から社会に感じている悪寒や人生うまくいかなすぎて困るというような内容の日記ともエッセイともチラシの裏ともとれない文章をひたすら書いている。ちなみにこの文章は小さな糞雑誌の小さなコラムとして掲載している。酷く反響がない。編集者からは来月で打ち切りと言われている。ともかく今の状況を平たく言うとするならば将棋で言うところの”詰めろ”がかかっている状態だと思う。次の手を放置すると王が詰む状態。”詰めろ”僕は僕の人生から詰めろがかけられているこのまま放置すると人生が確実に終焉を迎える。電気ガス水道は3ヶ月、家賃は6ヶ月滞納している。絶望的である。正直こんな糞エッセイを書き上げる前にアルバイトでもなんでもしてお金を稼がなければいけないのだが、僕にはまるで労働意欲がない。恐らく室町時代やいやそこまで時代を遡らなくてもすぐに切腹をせまられているか殺されているだろう。労働意欲がないのも繰り返しになるが壊滅的に女の子と過ごした時間がないからだ。モテないからだ。モテてさえいれば人生に活力が生じる。モテてさえいれば仕事も意欲的に取り組める男はそういうものだ。高校球児のガソリンは女だ。
 オカピーがよだれを垂れ流しているのを見て、こんなものを見て全く文章が思い浮かばない。平日の動物園は人が少なく初夏ということもあってたまに吹く南風が心地いい。眠い。少し休憩しよう。パソコンを閉じてベンチに横になろう。
 僕が眠りについて何時間経っただろうか、日は傾き少し肌寒くなってきた。今日は予想以上になにも頭に浮かんでこない。家に帰ろう。その前にTUTAYAでAVを借りよう。僕はベンチの下にあるパソコンをとろうとした。
 あれ?パソコンがない・・・どこだ・・・
「これを探してるの?」
 見た目は20ぐらいか?いや25?とにかく女の子が僕の前に現れた。
「えっえ?なんですか?えっ?」
 久しぶりに女性と会話したのでパソコンよりも女性と会話することに挙動が怪しくなった。
「全部見させて貰ったよ。君名前はなんていうの?」
「全部って・・・えっ?なに?中身を見たのですか?」
「当たり前じゃない!気になったのよ!」
 なんだこの女はヤバイやつじゃないのか?ヤバイだろこいつ絶対ヤバイ!可愛いけど。
「毎日ここに来てるわね。平日の昼間。ビール。パソコン睨んでいる。なにか好奇心をくすぐられたの。私の剥き出しの好奇心があなたの生活に興味が沸いたのよ」
 よく、銭湯でおっさんに話かけられても最近暑いですねーとかすっかり寒くなりましたねーとかそのレベルの会話だ。そのレベルの会話でさえ日常で交わされることは少ない。初対面の人と気兼ねなく話せるのが特技なんですって言っているそんなことを履歴書に書いている頭の悪い大学生は都市伝説だと思っていた。
「じゃあ僕はこの辺で・・・」
 僕が女の子の手に持っているパソコンを取ろうとした時だった。
「渡さないわよ!」
超絶めんどくせー。ひどすぎる・・・天災レベルだこの女
「絶対渡さないわ!」
「一度見た時からあなたに夢中だったのよ・・・いつも・・・」
 でたー!倒置法!初めて聞いたー!えっそんなことより俺のことが好きってこと?
わからないわからないわからないわからないわからない。
「未知こそ未来よ!私についてきなさい。ボーイ!」
 僕は彼女の手からひったくるようにパソコンを奪いともかく走った。運動不足を極めているせいで足がちぎれそうになる。走りながら僕はドラマとは一部の実体験により構成される場合もあるではないかと冷や汗をかきながら感じた。
 後ろから足音が聞こえる。陸上選手のような綺麗なフォームで彼女は僕を追い越し、Uターンをして僕の鳩尾にドロップキックをした。
 僕は体を強く打ち付け気を失った。意識を失う瞬間、女の薄ら笑いが僕の目に映った。


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