咲翔さん

バド部の中学2年生です

性別 男性
将来の夢 税理士
座右の銘 勝てば官軍負ければ賊軍

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杞憂

15/06/23 コンテスト(テーマ):第五十八回 【 自由投稿スペース 】 コメント:0件 咲翔 閲覧数:945

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 とある小さな国のはずれの、とある小さなはずれの貧しい村に男は住んでいた。彼は平凡な顔で、平凡な服を着ている、いたって平凡な男だった。
 今日も、男は今朝とれた卵を手に、牛に乗って市場へ出かけた。しかしなぜだろうか、男の店には誰一人客が来ない。常連さえも買う気配がない。さすがにこれには落ち込んだ。だが落ち込んでいたってしょうがない。そう考え、彼は帰る支度を始めた。
 するとその時、男は店の前に人が居るのに気がついた。5歳くらいの女の子が、一生懸命に背伸びして、興味津々に男の様子を見ている。
 まあ買う気はないだろう。男はそう思いたいして気にも留めなかったが、だんだんとその女の子のことが気になってきた。その女の子の瞳には、なにか、なにか感じるものがあった。
 その後、女の子は唐突に切り出した。
「卵ちょうだい。いいこと教えてあげる」
男はあげることにした。どうせ売れることもないし、持って帰っても捨てるだけだ。それならあげた方がいい。それに、なによりも「いいこと」を知りたかった。卵をもらうとと、女の子はにっこりと笑った。
「今度、天が落ちてくるんだよ」
そう言うと女の子は走って逃げて行った。
 男はだまされた。「いいこと」なんて無かったのだ。女の子はただで卵を手に入れたのだ。しかし、男にとってそんなことはどうでも良かった。さっきの言葉が、頭の中をぐるぐるぐるぐる回っていた。
 天が落ちてくる?あの青い天が?星が輝く天が?それが落ちてくるだって?
 男は不安で不安でたまらなくなり、道行く人や店の人など、何十人もの人に話した。しかし、彼がいくら言っても人々は信じなかった。
「そんな訳ないだろう」
「おまえ大丈夫か?」
「うるせー邪魔だ」
と、男をあざ笑うだけだった。
 それでも、毎日毎日人々に話し続けた。
 そのうち、相手にされなくなった。男は家にこもり出てこなくなった。
 最初は心配する人も居たが、時がたつにつれそのような人も居なくなった。男は、人々の記憶の中から完全に消え去っていた。


アルは地面へと降りたち、言った。
「なんででこんなところに来なきゃいけないんだ」
アルは続ける。
「なんでよりによって日曜日に呼び出すんだ。しかも家族団らんの真っ最中だぞ。こんな時に呼び出す奴らの気が知れないな。さっさと終わらせてさっさと家に帰ろう」
 その時、彼は気づいた。向こうのがれきの山の中に何か光るものがあるではないか。さっそく、がれきをかき分けながらそこに向かって進んだ。たどり着いてみると、明らかに場違いな、銀色のカプセルがあった。横幅は1mほどで、高さは2mをこえていた。アルはさっそく本部に連絡しようとした。
 するとその時、カプセルがにひびが入り、光を発し始めた。アルはとっさに隠れた。どんどんひびが入り、それに連れて光の量も増してくる。アルは息を潜め、攻撃に備えた。しかし、中からでてきたのは武器ではなく、平凡な顔で、平凡な服を着ている、いたって平凡なただの男だった。
「なんだ、これだけかよ」
アルはつぶやいた。
 すると、その男が叫んだ。
「ほらみろ、落ちてきたじゃないか」


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