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有朱マナさん

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the twinkle of the world

15/06/16 コンテスト(テーマ):第八十五回 時空モノガタリ文学賞 【 動物園 】 コメント:0件 有朱マナ 閲覧数:974

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私は罰ゲームとして、閉鎖された動物園へやってきた。罰ゲームといっても、ただの罰ゲームではない。一般的に仕組まれたイジメというものだ。
私、マユはそれを受けてこの閉鎖された動物園に来るよう言われ、言ってきた人達に会ったは良いが、気づかないうちに園内に取り残されてしまった。この動物園は迷子になることで有名だった。方向音痴であるマユは、どうすることもできない。あっという間に夜を迎えてしまった。
この動物園は閉鎖されてから10年以上経っているのに、まだ壊されていない。完全なる廃墟色。ここで一人というのは少々厳しい。心の中が曇り空だ。明日の中学校のことなんて、考えていられない。宿題のことなんて、考えている暇はない。

湿った地面を歩いていると、何故か“人”がいた。可愛らしいオレンジのコスチュームの女性。マユを見つけて駆け寄ってくる。
「そこの君、迷ったの?」
明るい笑顔が眩しい。街灯のせいか。
「はい。ここから出たいのですが、道がわからなくて。」
「…うわっ、凄く丁寧。お姉さん感激。…でも、ごめんね。私も詳しくはわからないの。」
「そうですか。」
「力になれなくて、ごめんね。…もし良かったら、こっちにおいで。お客さんなんて久々」すぎて、他のみんなにも会わせたいから!」
そう言って、オレンジのお姉さんはマユの腕を引っ張って駆けていった。風のように。
マユは突然過ぎることについていけないでいた。

着いた先は、パーティー会場みたいだった。コスチュームのような物を着ている人々が、ざっと100人はいる。広場のような場所には、曲芸をする人、歌う人。美味しそうな物を食べる人、様々。みんな、笑顔でいる。満天の星空のよう。そんな彼らがどことなく羨ましく思えてしまう。
オレンジのお姉さんが大声あげる。
「みんな、注目!お客さんだよ。えーっと名前は…」
「…マユです。」
小声で呟く。
「…そう、マユちゃんだ。みんな、仲良くしてね!」
そう言うと、人々はみんなマユの方に近づいてくる。マユはどうすれば良いのかわからず、立ちすくむ。
ある人は、アイスキャンディーをくれた。またある人は、ピエロのようにマユを笑わせてみせた。みんな「マユちゃん、マユちゃん」声をかける。マユの足は、気が付けば動いていた。前へ。
誰かが自分の手をそっと掴んで連れていってくれる。キラキラしているところへ。夜なのに晴天の気分。
 
今何時だろうか?思い出した時、きっと何時間も経っていた。そろそろ本気で帰り道を探さなくてはいけない。…あれ?しかしマユは異変に気が付いた。まだ午後7時だったのだ。そんなはずはない。普通だったら午後10時はまわっているはずだ。何故だろうか。自分の時計が電池切れをおかしたのか?だが、最近替えたばかりの時計だったため、そのようなことはないはずだ。
キラキラしている空間は華やかな程に美しかった。それは幻のほど。自分がいる空間の空気が現実のものではないことに、疑いを感じる。だが直観だが、明らかに現実世界ではない気がした。
「ここはね、ここに居たい者達が集まる場所なんだよ。」
オレンジのお姉さんは隣に来て言う。
「みんな、ここで死んじゃったの。動物として。私もここの動物だったの。こう見えて、ライオンだったんだよ。」
「どうして私にこのことを話すんですか?」
お姉さんは、間を置く。湿った地面をじっと見つめる。
「…ここのことを忘れないでほしいから。地域の人たちは、みんな忘れようとしている。でも、ここでの楽しかった思い出を忘れないでほしいの。お客さんのためにも、私達のためにも。」
突然キラキラしているものから、切ない光が反射した。お姉さんの目元から。
「私は、ここでのこと忘れませんよ。」
「ありがとう。マユちゃん。」
お姉さんはそう言って、マユを抱きしめた。
「さぁ、そろそろ帰らなくちゃ。お家の人が心配するよ。」
マユは無言で頷いた。言葉が出ない。
「行けるところまで案内するから、そこからは一人で帰りなね。」
「はい。」
そう言って、マユはこの場を後にした。
来た時のようにオレンジのお姉さんが手を引いてくれている。振り向けば、キラキラしている場所にいた人々が大きく手を振ってくれる。マユはそれに応えて大きく手を振った。
「みなさん、ありがとう!!」
精一杯の大声をあげて言う。特別な時間をありがとう。

次の日に中学校行けば、マユをイジメた者たちが近づいてきて一言投げた。
「あんたにお似合いの廃墟、楽しかった?」
周りの女子は、虫のように笑う。
「楽しかったよ。あなた達に見せたいくらい。」
一番前にいた女子に対してマユは軽く笑って言った。
「一生あそこに居ればいいのに…」
女子達は、マユに投げ捨てた。マユはそんな言葉、どうでも良いのであった。あのキラキラを知らないのだから。


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