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レイチェル・ハジェンズさん

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僕たち、妖怪同好会

15/06/09 コンテスト(テーマ):第八十四回 時空モノガタリ文学賞 【 江戸時代 】 コメント:2件 レイチェル・ハジェンズ 閲覧数:1308

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 僕の高校には、変わったクラブがある。その名も妖怪研究部。略して妖研部。

 部員は4名だけなので同好会に格下げし、部費も全くおりてこなくなった。部室と学校の備品は幾つか貸してもらえるが、非常に肩身が狭い。幽霊部員ならぬ、幽霊クラブとまで言われるくらいだ。





 僕と、友達の沢村は楽なクラブに入って3年間ダラダラと続けていくつもりだったのだが、一度のめりこむと穴からもう出られなくなっていた。日に日に、僕と沢村は妖怪のとりこになってしまった。

「今日は、江戸時代にでた妖怪の資料を作成します」
「部長! それはもしかして……」

 先輩達が緊張のある面持ちを浮かべ、数秒溜めた部長は神妙な面持ちをし、深くふかーく僕達の顔を見て頷いた。

「そうです。3代目妖研部部長の鈴木さんが、この妖怪により殺されました」

 面白おかしくなんかなくて、この妖怪研究部はこういう事件がよくある。それでもこのクラブがなくならないのは、初代部長の霊が閉鎖を認めないからか。部室にある窓からたまに僕たちを暖かく見守る人影を感じる。はっきりと見たことがある――。

 僕と沢村は、初代部長がこの高校に未練があるんだろうとの議論をし、地縛霊になったのだと結論している。

「皆さんも今回は注意して下さいね」
「了解です」

 部長が人数分買ってきてくれたお守りを首からさげる。
 妖怪を知りすぎてしまった上、妖怪に呪い殺されてしまう場合がある。現に、OB・OGが部室に来てくれた時にそういう話をしてくれる。

 4代目副部長の竜崎先輩は手毛手毛という凶悪な妖怪により殺されそうになったと話してくれた。手毛手毛というのは、女子高校生が交通事故により死亡し、成仏出来ずにまだこの世にいる霊のことだ。その霊を思い続けていると、深夜に襲い掛かってくるのだという。

 竜崎先輩は絶体絶命の状況を逃れるために、代わりに自分のペットを犠牲にしたらしい。長年連れ添ったペットであり、とても心苦しく今でも手を合わせてしまうという。

 だが、その感情も部室に入ると自然と消えてしまうらしい。初代部長にあったと言われる、霊力ならぬ怪力によるヒーリングによるものだと竜崎先輩は話す。

 初代部長が亡くなった今でもこの部室にヒーリングの結界が張られているのは、その力が膨大過ぎるが故に残っているのだと。初代部長は家が神社で、生まれつき不思議な力を持ち合わせていたらしい……。


 学ぶ者を拒まず、行く末に鬼がいるのであれば私が追い払おう。
  お前達の生涯の安心を、私が保障する


 との遺言を出し、この高校から姿を消した。死因は未だ不明だが、初代部長が死んだ時、高校の蛇口を回すと血が出るという現象があったらしい。

「名古屋に出た妖怪の挿絵ですが、図書館にありました」
「それでは、後でコピーしましょうか」
「うむ」

 パソコン部から1台借りている、大切な備品を元に情報を集めていく。僕と沢村はレポート用紙を破り、先輩達が調べた情報をメモしていく。これと言ったルールはなく、先輩達の口頭を適当にメモするという感じだ。

 それを元に後で4人で大きな紙にまとめて、イラストを貼り付けて部室に保存しておくという形。文化祭の時はピックアップして部室の前に貼りだしておくが、けしからんことにクラスメートの誰々に似てる、というコメントが返って来るだけである。


「鈴木部長の死因って何なんですか?」
「ん? 極度の萌え死だよ」
「…………なるほど」

 鈴木部長を殺した妖怪の詳しい出現場所は、名古屋の熱田らしい。夜はうるさいほどのイビキをかき、頭の毛色は馬のようで、死んだ魚は食べなかったとのこと。

 現代ではアザラシに似ていると言われているらしいが、江戸の人達にとっては怖い妖怪だったのだろう。

「魚にしては……、妖怪だ!」

 僕も第一人発見者になったとしたら怖い。怖すぎる。えらの所に鋭い爪があるし、猫のようなヒゲもあるし、毛深い魚なんて怖い。怖すぎる。

「部長、どうします? このイラストより、水族館に行って現物を撮影します?」
「そ、そんなお金がかかることは出来ん!」

 部長が、副部長の煽りに照れながら強く拒否する。
 貧乏性が出た部長がぶるぶると頭を振る。

 副部長はどうやら部長のことが好きらしい。
 副部長は真っ赤な部長を見るのが好きらしい。
 副部長はさり気なく水族館デートに誘っていたらしい。

 僕たちの妖怪研究部は今日も平和です。







 背後に暖かい視線を感じながら――。


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このストーリーに関するコメント

15/06/17 草愛やし美

レイチェル・ハジェンズさん、拝読しました。

超のつく怖がりなのに、妖怪に会えるってめったなにないことですから体験したい気持ちがかなりある私です。このクラブ入りたいような、怖いような。苦笑

江戸時代、たしかにこんな物に出会えば妖怪のカテゴリーに入れちゃうでしょうね。設定も発想もとても面白いと思いました。妖怪研究部で続編書けそうに思います。

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