1. トップページ
  2. たったの5分

11doorsさん

のんびりした田舎に引っ越してきました。温かな人たちとのゆったりした会話や日常は、ほんとうに宝物です。そんななか、小説という異質な空間の中で、読む人に、ちょっとでも喜んでもらえる作品が一つでもかけたなら、幸いに思います。

性別 男性
将来の夢 世界旅行
座右の銘 A piece of cake.

投稿済みの作品

0

たったの5分

15/05/28 コンテスト(テーマ):第五十六回 【 自由投稿スペース 】 コメント:0件 11doors 閲覧数:1072

この作品を評価する

僕の家はマンションなんだけど、いろんな人が住んでて、楽しいんです。なかでも、お隣の302号室には、ヴァレリーさんっていう、すごくキレイな外国人の女性が住んでて、英語教室を開いてます。僕のお父さんもお母さんも、せっかく近所に外国の方が、来られたんだし、僕も英語を勉強したらいいって、一日一時間、土曜日と日曜日以外は、毎日通ってます。

それに、僕と同じクラスの恵梨ちゃん…、あっ、ちゃんとした名前は、上野恵梨加っていうんだけど、その子と一緒になることが多くて嬉しいんだ。恵梨ちゃんも僕と一緒だと嬉しいって言ってくれてるし…


ところで、今日の英語教室で、恵梨ちゃんが質問したんです。


恵梨ちゃんの近所に、不動産屋さんがあって、たまたま恵梨ちゃんがそのお店で挨拶したら、おじさんから、英語で何ていうのか教えてくれって言われたらしいんです。でも、恵梨ちゃん、まだ、その表現の英語を、まだ知らなかったから、今度教室に行ったら、先生に教えてもらうね、と約束したそうです。それが…


「この家は、駅から歩いてたった5分です」

“This house is only five-minutes walk from the station.”


日本語での意味は、


This house is / only five-minutes / walk / from the station.

この家は / たったの5分 / 歩いて / 駅から


これって不動産屋さんらしい質問ね。そう先生が日本語で言ったので、皆なで笑いました。もしかしら、不動産屋さんは、本気で、外国人に、家を売りたいのかも知れません。先生が言うには、不動産屋さんとしては、“駅からたった5分”の部分を、相手に強いアピールしたいのでしょうから、


@only five-minutes walk
Astation


この2箇所を、特に、ゆっくり、ハッキリ、大きく声に出して、相手に伝えた方がいいって、ヴァレリー先生は言ってました。それから、先生、ついでだからって、ほかの言い方も、僕たちに教えてくれたんです。


Its a ten-minute / walk / to the station.
10分です / 歩いて / 駅まで

Its a 15-minute / drive / from here.
15分です / 車で / ここから

Im / just / a 14-hour / flight away.
私は / 〜だけ / 14時間 / フライトの距離を離れている


最後の「たったの14時間」って、どこですか? 


…って僕が質問したら、ヴァレリー先生、ちょっと顔を赤くしてました。先生は、恋人がニューヨークにいて、その人は、今、絵の勉強してるんだって。最近、先生が彼氏と電話で話したとき、「たったの14時間しか離れてないんだよ、僕らは」といわれて、グッときたみたい。


“Im just a 14-minutes walk away.”


僕は、それを聞いて、ちょっと大げさだったかも知れないけど、恵梨ちゃんを、見つめながら、そう言ったんだ。ほんの14分歩くだけで、僕は恵梨ちゃんの家に行ける。それって、すごく幸せなことなんだなって思えたから。

ああっ、大切なことを思い出しました。教室の帰り際、恵梨ちゃんが小さなカードを、僕にくれたんだよ。


“Me, too.”(私も)


…だって。


もう、すごく嬉しくて、夕食、何を食べたのか思い出せないくらいです。






コメント・評価を投稿する

コメントの投稿するにはログインしてください。
コメントを入力してください。

このストーリーに関するコメント

ログイン

ピックアップ作品