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リアルコバさん

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ウィンドサーフィン

15/05/17 コンテスト(テーマ):第八十二回 時空モノガタリ文学賞 【 海 】 コメント:0件 リアルコバ 閲覧数:1172

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♪風に誘われてあいつの思い出に
     耽りに来たわけじゃないけれど
  風に運ばれて漂う蜃気楼
      あいつのお気に入りのポーズ♪

 湘南の海は今日もキラキラに輝いてまるであの頃と変わらないわね。そうイエローグリーンのセールを片手にいつも波打ち際で私に左手を突き上げたあのポーズ、ほら今の子もみんなやってるわ。

♪海は今日も色とりどり
   波と遊ぶウィンドサーフィン♪

 もう13年も経つんだね。
『俺オリンピックを目指すんだ』って、
単身ハワイに渡って半年で挫折して帰ってくるなんて思ってもみなかったわよ。
『バカじゃない?なんでもっと根性出さないのよ』
そんな私の言葉も見事に笑ってスカされた。
『サーフィンなんて競うもんじゃないよ、自分が如何に楽しむかだって』
 その時は私理解できなかったなぁ。
 でもその後スクール開いて初心者に教えてるあなたを見て羨ましかった。みんな楽しそうな笑顔で、その中心には必ずあなたがいてなんて素敵な人なんだろうって、惚れ直したわ。

♪あいつの事は今でも少し
   悔しいけれどhuhuu♪

 ねぇあれ本気だったの?葉山の海岸近くの倉庫みたいな場所で、
『ここで一緒に暮らさないか?おれスクールショップやるから半分をお前がライブバーみたいにして歌いなよ。あのロフトが俺たちの新居、いいだろう』
唐突に言ったそれはプロポーズだったの?
『無理だよやってける訳無いじゃん 私オーディションあるからもっと東京に近いほうがいいし』
 現実的じゃなかったのは今思えば私の方だったんだね。

♪海と思い出は二人に似た関係
     別に離れても優しい
   海と砂浜はみんな物語にする
      いつかまとめたいフィルム♪

 無理だって言ってるのに一人で倉庫借りてウインドサーフショップなんて始めて、やっぱり一年もたなかったね。あれは私のせい?私が乗らなかったから計画狂ったのかな?
なら誰かとやればよかったのに、あんなに沢山水着の女の子は居たでしょうに。
 あの時ね、私とあなたとは世界が違うんだなぁって勝手に思ったの、なんだかどんどんあなたが眩しくなって、私だけが暗闇に取り残されたような気がして、書いてる曲もどんどん暗くなっちゃってさ、オーディションでも歌詞が暗すぎるって云われちゃったわよ。 それでもね、私は私なりに自分の世界観を歌ってるんだって思い込んでたの。遮断して削ぎ落として闇の中の一点の光が行き着くところなんだって、どんどんどんどん内に籠っていく思考回路を正当化してた。
 なんだかキラキラの海で真っ黒に日焼けして、沢山の人の中で笑うあなたが遠くなってたのかなぁ。
 そう云えばあなたが目指したサーフショップダイニングみたいなの、今じゃた沢山あるのね。若いサーファーの夫婦が子供の手を引いてさ、(良い波が来てるから休業中)なんて貼り紙をして海へ向かってくのを見たわ。あぁあなたもこんな風な事がやりたかったのかなぁって、今更憧れたりしてるの。バカだよね。

♪海は少し幼いよう
   悪戯するウィンドサーフィン♪

 それにしてもズルい消え方したわよね。あなたにとっては本望だったってみんな言ってたし、それが運命なんだって言い聞かせてたんだろうけど。
 いつものように仲間と沖に出て誰にもわからないうちに消えたって?気がついたらセールとボードが波間に浮かんでたって?有り得ないでしょそんなこと。お陰で此処に来れるまで3年もかかったわ。
 なのにあの頃の人達みんな覚えてて歓迎してくれて思わずハグしちゃったわよ。 
 此処で開かれる大会は前日まで無風のベタ凪でも当日は必ず風が吹くって、それはあなたが吹かせてくれてるんだって、ちょっとした神様みたいになってるわよあなた。バカな神様だね。

♪あいつのことは今でも少し
      悔しいけれどhuhuu♪

 そうそう報告があるの。あなたのことやっと思い出せるようになって《ウィンドサーフィン》って曲書いたんだけど、そしたらメジャーレーベルからオファーが来てね、
『専属でCD出さないか』って、
 そう夢が叶ったの。やっと憧れのデビュー、でも断ったの、バカでしょ。そりゃライブハウス周りじゃ食べていけないし歌って暮らせてけたら嬉しいんだけど、あなたの言葉を思い出しちゃったんだよね。
『競い合うもんじゃない如何に楽しむことかだ』って。
 プロになんかなったらそれこそ競争じゃない、好きなことも書けないし、ずっと演じてなきゃならなくなるし、そしたらそれが楽しいのかどうかわからなくなっちゃってさ。 
『チャンスは二度とないですよ』って言われたから
『結構です、私は楽しむために音楽やります』って、言っちゃった。
 ねぇ、聞いてる?大人になったでしょ私、ねぇ聞いててよ、私の歌・・・。


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