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こぐまじゅんこさん

詩を書いたり童話を書いたりしている主婦です。 みなさん、よろしくお願いします。 MyISBN−デザインエッグ社さんから、絵本「おしえて!ねこばあちゃん」を出版しました。 アマゾンでも取り扱っていますので、よかったら みてくださいね。 ブログ「こぐまのノート」も書いています。

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ゆうくんのミニカー

15/05/04 コンテスト(テーマ):第八十三回 時空モノガタリ文学賞 【 時間ぎれ 】 コメント:0件 こぐまじゅんこ 閲覧数:1357

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 九月十五日。満月のお月見の夜。
 ゆうくんは、今日、五歳の誕生日をむかえました。

「ゆうくん、お誕生日、おめでとう。誕生日プレゼントだよ。」
 お母さんと、お父さんが、リボンのかかった小さな箱をわたしてくれました。
 ゆうくんは、(何が入っているんだろう?)と、わくわくしました。
「ゆうくんが、大好きなものよ。」
 お母さんが、にっこり笑って言います。ゆうくんが、いそいで、箱をあけると、中から、赤いミニカーがでてきました。
 ゆうくんは、大喜びです。
「わー、ミニカーだ。やったぁ。うれしい!」
 ゆうくんは、すぐに赤いミニカーで、遊び始めました。
 積み木のトンネルをくぐらせたり、廊下を、びゅーんと走らせています。
 ゆうくんは、ごはんを食べるときも、お風呂に入るときも、ずっとミニカーといっしょです。寝るときも、枕の横に、そっと置いて目をつむりました。

 そのときです。
 犬のコロが、くぅん、くぅんとなきだしました。風が窓ガラスをコトコトとたたきます。
 窓ガラスが、すっとあいて、なにかがふわりととびこんできました。
 ゆうくんの目の前に、小さな男の子がいます。おどろいているゆうくんに、何かいっしょうけんめい話しているようですが、ゆうくんには、なにも聞こえません。すると、男の子は、もっていた杖を一振りしました。ゆうくんの体が、すーっと小さくなって、小指くらいの大きさの、ゆうくんになっていました。
「あれれ! どうしちゃったんだろう。」
 あわてふためいているゆうくんに、男の子は言います。
「これで、ぼくとお話しができるね。ぼくは、魔法の国からきたツッキー。ゆうくんと、この赤いミニカーにのりたくてやってきたんだ。いっしょに夜の空をドライブしようよ。」

(えっ。)と、驚いたときには、もう、ゆうくんは、ツッキーといっしょに赤いミニカーにのっていました。
 ツッキーが運転席に、ゆうくんは、助手席にのっています。ミニカーのエンジンをかけると、ブルブルブルン。
 大きな音を立てて、ミニカーは走りだしました。コロの、くぅん、くぅんとなく声が小さくなっていきます。
 ツッキーは言います。
「お月さまのうさぎさんに会いに行こう。」
「えー、お月さまに行けるの?」
 ゆうくんは、こわいような気もしましたが、ミニカーにのれたことがうれしくて、しだいにわくわくしてきました。

 ツッキーが、杖を振ると、お月さまに、虹がかかりました。
 お月さまには、この虹の上を走っていくのです。

「うわぁ!」
 ゆうくんが、大声をあげました。
 ミニカーを運転していたツッキーが、キーッと、急ブレーキをかけます。
「おっと、あぶなかった。今、流れ星が、ミニカーの前を横切って行ったよ。ぶつかるところだった!」
 ゆうくんは、「ふう。」と、大きく息をはきました。

 こわかったけど、そのあとは、ミニカーは、すいすいと走り、安全運転です。
「あそこに見えているまんまるい黄色いものが、お月さまだよ。もうすぐ着くよ。」
 ツッキーは、ミニカーをゆっくり走らせると、まるいお月さまの上で止まりました。
 お月さまのうさぎが、びっくりしています。ツッキーは、うさぎに言います。
「こわがらないで。ぼくたち、お月さままでドライブしてきたんだ。いっしょにお餅つきを手伝わせて。」
 うさぎは、ほっとして言います。
「まぁ、そうなの。じゃぁ、お餅をつくから、まるめていってちょうだい。」
 ツッキーとゆうくんは、つきたての白いお餅をくるくるとまるめていきました。ゆうくんも、いっしょうけんめいお手伝いします。
「あっ、もう時間だわ。おみやげに、お餅を持って帰ってね。」
 うさぎはそう言って、片付け始めました。お月さまは、だんだん白くなっていきます。

「あっ、おひさまが顔を出す時間がきたんだ。急いで帰ろう。」
 ツッキーは、慌てて言うと、ミニカーに、ゆうくんをのせました。エンジンをかけます。
 ブオーン。
 エンジンの音とともに、東の空があかくなってきました。
 ふたりをのせたミニカーは、びゅんびゅん走ります。


 ジリリリリ。
 目覚まし時計がなっています。ゆうくんは、布団の中で目をさましました。
「あれっ? ツッキーはどこ?」
 ごしごし目をこすっているゆうくんに、お母さんが、台所から声をかけます。
「もう起きる時間よ。」

 ゆうくんが、起き上がると、目覚まし時計のとなりに、赤いミニカーが、ころがっていました。


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