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光石七さん

光石七(みついしなな)です。 子供の頃から空想(妄想?)が好きでした。 2013年から文章化を始めました。 自分では気付かないことも多いので、ダメ出しを頂けるとありがたいです。

性別 女性
将来の夢 可愛いおばあちゃん
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ミッション・ニャンポッシブル

15/04/19 コンテスト(テーマ):第八十回 時空モノガタリ文学賞 【 テーブルの上 】 コメント:20件 光石七 閲覧数:2163

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 まひるちゃんは優しいけどママは少し怖い。柱や障子で爪をといだり机や調理台に乗ったりしたら大目玉だ。でも、このミッションを遂行しないと僕は一人前のぬこレンジャーになれない。ママが自分の夕飯をテーブルに並べてる。僕はおかずのサンマを横取りする機会を窺っていた。

 この町で悪の組織『ダークラッツ』と戦う『肉球戦隊ぬこレンジャー』。元は『ぬこホワイト』こと白玉さんと『ぬこブラック』こと墨丸さんのコンビだ。二匹に憧れてた僕も『ぬこブラウン』として仲間入りしたけど、二匹は気が向いた時だけ戦うスタンスで……。
「ニャンチ・クラッシュ!」
僕がバッタ相手に訓練してても、指導を頼んだはずの二匹は欠伸や居眠りに忙しい。
「白玉さん、墨丸さん! 見てます?」
「その名前で呼ぶんじゃねえ!」
寝てたはずの白……ホワイトがカッと目を開け怒鳴る。苦笑するブラック。
「茶太郎、俺はどっちの名前でもいいけど、ホワイトは気遣ってやれ。トラウマが深いんだ」
「すみません。……あの、も一回やるんでアドバイスください」
「しょうがねえな」
やっと二匹に技を見てもらえた。
「やるじゃないか」
ブラックは褒めてくれた。でもホワイトは渋い顔だ。
「子供の遊びだ、気迫を感じねえ。……お前、普段甘やかされてるだろ? 寝床もエサも飼い主が与えてくれる。奪われたことも自分で勝ち取ったこともねえ、甘ちゃんの動きだ。本当の戦闘じゃ通じねえぞ」
そんな……。
「キャットフードもらって満足してるんだろ? たまに刺身とかもらったら大喜びで。お前、命懸けで何かをもぎ取ったことあるか?」
「確かにそういう経験も必要だな」
ホワイトの言葉にブラックも頷く。
「ま、環境が環境だけに無理な注文か」
――悔しい。僕だって男だ。
 帰ってふて寝してたら、外は暗くなっていた。台所を通ると魚を焼いた匂いが残っている。今夜はサンマか。まひるちゃんが分けてくれるだろう。
「パパったら急に接待だなんて。まひるも友達と食べてくるし……」
えっ、ケチで怖いママしかいないの?
(命懸けでもぎ取る……)
白玉さんの言葉を思い出す。――よし、男になってやる。僕は決意した。

 ママがご飯をよそいに行く。僕は椅子に乗り、テーブルに前足を掛けて食卓を偵察した。……あれ、サンマはどこだ? 匂いがわからない。
「茶太郎、下りて」
ママに見咎められ、一旦床に降りた。ママが着席し、テレビをつけて一人食べ始める。あ、今サンマの匂いが。ラップをかけてたのか。テーブルに飛び乗りたいけど、タイミングが肝心だ。
「律クン、素敵……」
ママの箸が止まった。目はテレビに釘づけ。――今だ! 僕はテーブルにジャンプした。
「こら!」
サンマに口が届く前にママに首を掴まれる。
「もう、お腹空いたわけ?」
部屋の隅に連行され、キャットフードを用意された。確かに腹ペコだけど、今はミッションが……。
「何よ、食べないわけ?」
威圧感が半端ない。仕方なくエサ皿に頭を突っ込んでカリカリかじる。ママは席に戻った。――このまま引き下がれない。背中でママの気配を窺いつつ、次のチャンスを狙う。
「キャー!」
突然の悲鳴とガタガタッという音。振り返るとママが椅子の後ろに隠れてた。
「ネ、ネ……」
ママは震えてる。一匹のネズミがテーブルの脚をよじ登っていた。――こいつ、ダークラッツだ! ネズミは食卓の上を走り始める。僕はテーブルに飛び乗った。一瞬、食べかけのサンマに誘惑される。
(今なら奪えるけど……)
首を横に振る。敵を倒すことが先決だ。
「ニャンチ・クラッシュ!」
逃げようとするネズミに、爪を出した前足を思い切り叩きつけた。噛みついてとどめも刺す。
「チ、チュ……」
ネズミは霧となって消えた。僕はテーブルから降りてママにすり寄った。
(もう大丈夫だよ)
「茶太郎……退治してくれたの?」
ママが僕の背を撫でた。

「――で、結局サンマは?」
し……ホワイトが口を開いた。
「それが、ご褒美だってママが分けてくれて」
「やるじゃないか。敵を倒してサンマもゲットとは」
ブラックに褒められる。
「でも、命懸けで得たわけじゃ……」
「んなつまんねえことに命懸けんなよ」
そりゃ、ホワイトにしたらつまらないことだろうけど。
「無理に命懸けるこたねえよ。守るべきものが見えてりゃ、自然と体は動くもんだ」
「そうそう、愛があればね」
「だけど、二匹とも昨日は命懸けでもぎ取れって……」
「ブラックが褒めて俺も褒めたんじゃ締まらねえからな。適当に厳しめのセリフ言ってみた」
「さすがホワイト、アメとムチだね」
……気紛れ戦士は発言も気紛れだった。
「昨日ブラウンが一匹倒したし、今日は戦い休みな」
「賛成。昼寝日和だし」
……やっぱそうなります?
 ぬこレンジャーはこの町でぼちぼち戦ってます。


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このストーリーに関するコメント

15/04/19 レイチェル・ハジェンズ

可愛いぬこレンジャー、私の街にも参上してくれないかしらと思った今日此の頃。飼い猫に足の上をのられて、中々PC前から移動出来ずにいます。
ぬこグレーでござんす。。。

ネズミをテーブルの上で退治したことによって、
これからぬこブラウンはどう変化していくんでしょうかね〜。
ぬこのほのぼのさと世界が伝わってくる可愛いお話でした。

15/04/21 草愛やし美

光石七さん、拝読しました。

さすがぬこ好き光石さん、凄く可愛く描かれていますね。にゃんこたちの世界も苦労ですね。ぬこレンジャーをアニメにして見てみたいものです。

猫描写(猫と描は違う漢字だけど並んでいるのを見ておおって思った単純な私)うまいですね、楽しく読ませていただきました。タイトルもとてもいいです。笑

15/04/21 そらの珊瑚

光石七さん、拝読しました。

なんともかわいいお話に、もっと読んでいたい気がしました。
ぬこレンジャー、それぞれのキャラがちゃんと書き分けられていて
会話もとっても楽しめました♪

15/04/22 光石七

>レイチェル・ハジェンズさん
コメントありがとうございます。
この三匹は過去に投稿した話(『根古野町の空の下』)のキャラクターたちです。
今回、テーブルの上の魚を狙う猫の話にしようと設定を考える中で、再登場させることにしました。
飼い猫さん、ぬこグレーなんですか。新キャラで『ぬこグレー』を主役にする案もあったので、コメントを頂いて驚きました。
あまり意識してなかったのですが、何気に茶太郎も成長してるんですね…… ←おい
楽しんでいただけてよかったです。

>草藍さん
コメントありがとうございます。
うちの黒猫は夕飯のおかずの魚の匂いを嗅ぎつけると、テーブルに前足を掛けて立ったり、家人に「寄こせ」としつこく催促したりします。
我が家ではすぐ食べない場合は魚にラップをかけるのが鉄則です(笑)
テーブルに乗ると怒られるのは彼女(女の子です)もわかっているようで、滅多にやりませんね。
『肉球戦隊ぬこレンジャー』、実はテーマ曲を作詞済みです(苦笑)
楽しんでいただけて何よりです。

>志水孝敏さん
コメントありがとうございます。
過分なお褒めの言葉を頂き、恐縮です。
できればテーブルの上の魚を巡る猫と人間の攻防のみで書きたかったのですが、描写力が足りなくて盛り上げ切れず……
そこまで深く構成などを考えたわけではなく、前作の設定に助けられた部分が大きいかと(その前作も、とにかく自分が楽しんで書いただけですが(苦笑))
少しでも和んでいただければ幸いです。

>そらの珊瑚さん
コメントありがとうございます。
猫らしさ、かわいらしさが少しでも出せていたら……と思っていたので、珊瑚さんのコメントはとてもうれしいです。
会話はもっといろいろ織り込みたかったのですね。2000字で一応話をまとめなくてはいけないので、悩ましいところだったのですが、楽しんでいただけてよかったです。

15/04/22 泡沫恋歌

光石七 様、拝読しました。

にゃんこのお話イイですね。

猫好きの私としては、想像するだけでニンマリしてしまいます。
最近は家ネズミもいなくなって、ネズミ退治することもあまりなくなったにゃんこたちですが、
その存在だけで癒されますね(ω゚∀^ω)ニャンニャーン♪

ぬこレンジャーさんたち、町の平和のために(っ`・ω・´)っフレーフレー!!!

15/04/24 光石七

>泡沫恋歌さん
コメントありがとうございます。
うちの黒猫は時々ネズミ(おそらく近所の空き家で捕まえたもの)を咥えて帰ってきます。なかなかの狩り名人(名猫?)で、時にはモグラや小鳥も……。彼女はぬこレンジャーではなく、本能に従っているだけと思われますが(笑)
ぬこレンジャーへのエール、ありがとうございます。
かなりユルいヒーロー(?)ですが、敵のダークラッツも大した組織ではないので(苦笑)
機会があれば、また彼らの活躍を書きたいですね。

15/04/24 たま

光石七さま、拝読しました。

ぼくとこのワンコはニャンコが大好きなのです。
散歩の途中にニャンコに出会うとシッポふって大喜びしますが、ニャンコは相手してくれません。それで、寂しそうにしてます^0^
ねこレンジャーはきっと、ぼくの町にもいるでしょうね。そんな気がします。散歩の途中で白玉さんや、黒丸さんに会ってるかも。
軽快にお話が進行しますが、冒頭のまひるちゃんが出てこないのはこの作品が、連作だからでしょうか。まひるちゃんの年齢がわかりませんが、友達と晩ごはんを食べて家に帰ってくる年齢って、大学生とかでしょうか。もし、小・中学生だったら無理があります。
ファンタジーは書くのも読むのも楽しいです。でも、その裏には綿密なリアリティが必要です。
作者だけが知っている、まひるちゃんや、ママの情報があるはずです。そんなところもしっかり押さえて描いてくださいね。
ちょっと辛口でごめんなさい。

15/04/24 

拝読しました。
ぬこレンジャーがとても可愛くて可愛くて。
こんな猫達が身近にいたらとても楽しいだろうなと、ほんわかとした気持ちで読ませていただきました。
猫の魅力がつまってて楽しかったです。

15/04/24 光石七

>たまさん
コメントありがとうございます。
猫に相手にしてもらえずしょんぼりしているワンちゃんを想像すると、かわいそうだけどかわいいですね。
ぬこレンジャーはどの町にもいると思います。
ご指摘もありがとうございます。
続き物というよりは単発で楽しんでいただける話にしたかったのですが、確かに今作だけではまひるのイメージが掴みにくいですね。“茶太郎が一番懐いている飼い主で、どうやら成人女性らしい”ということだけ伝わればいいと思っていましたが、読み手の皆様に頼り過ぎていたようです。もう少し情報を書き込むべきでした。
“ファンタジーの裏には綿密なリアリティが必要”、勉強になりました。
よろしければ、今後もご指導お願い致します。

>風さん
コメントありがとうございます。
自分が猫好きですし楽しんで書いたものの、ちゃんと猫らしい描写になっているか、読んでくださる方に楽しんでいただけるか、不安もありました。
ほんわかしていただけてよかったです。

15/04/26 滝沢朱音

光石さんの(ΦωΦ)シリーズ!
癒されるお話に終わらず、掌編としてもとても素敵なストーリーだと思いました。
平和な町で、ぬこレンジャーは今日もお昼寝日和かにゃー?ฅ^•ω•^ฅ

15/04/26 光石七

>朱音さん
コメントありがとうございます。
“シリーズ”って……(苦笑) あ、でも確かに今年に入ってから猫が登場する話が多いかも。朱音さんのコメントで気付きました(苦笑)
お褒めの言葉、恐縮です。
平和な町で気紛れにぼちぼち活動するぬこレンジャー。大半は昼寝の時間でしょうね(笑)

15/04/26 冬垣ひなた

光石七さま、拝読しました。

肉球戦隊ぬこレンジャー、カッコ可愛すぎますね。我が家のぬこレンジャーはダークラッツをよく私にくれる困り者です。
それぞれの子の個性が光っていていいですね。
ほのぼのなのに構成もしっかりしていて、
読んでいてすごく楽しかったです、ありがとうございました。

15/04/27 光石七

>冬垣ひなたさん
コメントありがとうございます。
猫を飼っておられるのですね。
うちの猫もネズミとか小鳥とかトカゲとか、いろいろ捕まえてきます。後が大変なので(特に小鳥。羽根が散らばる)、獲物を咥えている時は家の中に入れないようにしているのですが、何故か朝起きたら部屋に事切れたネズミが転がっていたことが……。本猫は人の布団の上で爆睡中でした(苦笑)
猫は気ままで気紛れだけど、やはり可愛いですよね。
ぬこレンジャー、楽しんでいただけましたか。何よりの喜びです。

15/04/28 横須賀 陽夏乃

読ませていただきました。
猫ちゃん視点の話!ということで
猫が大好きな私はにやにやしながら読み進めました。
これからもぬこレンジャーの活躍を期待しています!

15/04/28 光石七

>横須賀 陽夏乃さん
コメントありがとうございます。
うちの猫がよく魚の匂いにつられてテーブルに前足を掛けて立ったり、隙あらばテーブルに乗ろうとしたりするので、テーブルの上の魚を巡る猫と人間の攻防を書いてみようと思いました。
でも、それだけでは話を盛り上げられず、ぬこレンジャーを引っ張り出した次第です。
少しでも楽しんでいただけたなら幸いです。

15/04/29 汐月夜空

拝読しました。
とてもかわいらしいお話ですね。
気紛れな先輩戦士たちのやり取りが気紛れな猫らしい感じがして好きです。
ダークラッツは死ぬと霧になるんですね。それを目撃したらびっくりしそうですが、良い感じに世界観にファンタジーなテイストがあって違和感なく読めました。素敵なお話でした。

15/04/29 光石七

>汐月夜空さん
コメントありがとうございます。
猫らしさを感じて頂けたならうれしいです。
ダークラッツが死後霧になるのは、ネズミを猫が咥えたままとか死骸が転がったままとかいうのでは少々グロテスクな描写になりそうで、個人的に嫌だったからです。実際、うちの猫が捕まえたネズミの末路は……(以下自主規制)
まず自分が楽しんで書いてみたのですが、読まれた方にも楽しんでいただけてよかったです。

15/05/03 クナリ

猫が織り成す、猫ならではの、猫の社会。
個人的に彼らに期待するのは、そんな世界観の表出です。
それにはやはり、キャラクタ性が重要なわけで。光石さんの造形能力が光りますね。

ホワイトさんが白なのに攻めキャラ(?)というのが意外で、印象的でした。
いやほらなんだか、白い猫ってもふーとしてふわーとして、のんびり感があるじゃないですか(そんなことないかな…)。
大物感がありますね…。

15/05/03 光石七

>クナリさん
コメントありがとうございます。
ぞ、造形能力だなんて…… もったいないお言葉です。
ホワイトのキャラは、本名(?)に過剰反応する様子が浮かんだのでこうなりました。戦隊物らしく色を名称に入れるために白猫と黒猫のコンビにし(茶トラの茶太郎がブラウンというのはこじつけです(苦笑))、本名も毛色がわかるものを考えたら、白猫のほうは可愛い名前になってしまいまして。本猫(笑)は男らしい戦士だし嫌がりそうだな、と。
一応リーダーはホワイトのつもりなので、“大物感がある”とのコメントはうれしいですね。
楽しんでいただけたなら、幸いです。

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