こぐまじゅんこさん

詩を書いたり童話を書いたりしている主婦です。 みなさん、よろしくお願いします。 MyISBN−デザインエッグ社さんから、絵本「おしえて!ねこばあちゃん」を出版しました。 アマゾンでも取り扱っていますので、よかったら みてくださいね。 ブログ「こぐまのノート」も書いています。

性別 女性
将来の夢 自分の書いた童話を孫に読んで聞かせたいです。
座右の銘 しあわせはいつも自分の心がきめる

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4

書斎

15/03/23 コンテスト(テーマ):第八十回 時空モノガタリ文学賞 【 テーブルの上 】 コメント:4件 こぐまじゅんこ 閲覧数:1512

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 「童話作家 もりくまこ」と、よばれるようになって、一年たった。

 お話が好きで、幼いころから、自分でお話を作っては、母に聞いてもらっていた。母は、いつも、「上手ねぇ。」と言ってほめてくれる。ほめられると調子にのって、私は、どんどん空想の世界に羽をひろげた。

 私が、はじめて本を出版したのは、孫のりくくんが生まれたころのことだ。
 りくくんのために、本にして残したいというのが、私の夢だった。専業主婦の私が、本を出版するというのは、かなり勇気のいることだったけど、自分の本が書店にならぶというのは、やはりうれしいものだ。
 
 「もりくまこ」というのは、ペンネームだ。森の仲間みたいなイメージでつけた。

 本を出版すると、世界がかわった。いちおう、自分でも、「童話作家です。」と、言いきれるようになった。そして、なんと近所の保育園から園児向けのお話を書いてくれないかと頼まれた。

 これまで、書斎もなかったので、部屋の隅に、文机を買ってきて、おいてみた。原稿用紙をひろげて、万年筆も、ちょっと高級なものをそろえた。
「書斎があるって、やっぱりいいわぁ・・・。」

 私は、はりきって、書斎に入ると、万年筆をもった。
 と、そのとき、お昼寝していたりくくんが、ギャーンと泣きだす。あわてて、抱っこしにいく。
 りくくんのお母さんは、働いているため、りくくんの世話は、私がしているのだ。

 抱っこして、書斎にくると、りくくんは、目をパチクリさせて、万年筆をみる。腕からするりとおりたりくくんは、とっとっと、とあるいていき、文机の上の万年筆をつかんだ。そして、ぶんぶん、ふりまわす。
「あれあれ、だめだよ。」
 私が、あわてて言っても、聞きはしない。

 文机によじのぼろうと、必死だ。足を上げ、体をのりだす。
「りくくん、だめよー。だめだめ。」

 ちょっと前のギャグもとびだしながら、りくくんを文机からひきはなそうとする。
 だけど、りくくんは、ギャンギャン泣いてしがみついてはなれない。

 私は、汗だくになりながら、りくくんを抱きかかえた。

「ふう。」

 文机の上をみると、原稿用紙は破られ、万年筆は、放り投げられ、見るも無残な状態だ。
「はぁ。」
 私は、ため息をつく。

 りくくんは、とってもかわいい顔をして、私の顔をのぞきこむ。
(りくくんを連れて、書斎には入れないわ・・・。)

 そして、そうこうしているうちに、書斎は、開かずの間になってしまった。

 私は、居間のこたつで書くようになった。
 りくくんが、ノートをとろうとやってくる。私は、すぐに書くのをやめて、りくくんと思いっきり遊んでやる。
 りくくんが、居間でお昼寝をしているすきに、私は、せっせとお話を書く。

 やっぱり、私には、書斎よりも居間の方が落ち着くんだなぁ・・・。

 私は、書きかけのノートを横に置いて、コーヒーをひと口飲んだ。

 りくくんは、となりで、すーすー寝息を立てている。


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このストーリーに関するコメント

15/03/23 海見みみみ

こぐまじゅんこさん、拝読させていただきました。
人それぞれ環境には身の丈があるようですね。
その身の丈を超えるとこのお話のような出来事が起こると。
書斎で書けないのは残念ですが、これから居間での執筆活動を頑張って欲しいです。

15/03/24 こぐまじゅんこ

海見みみみさま。

コメントありがとうございます。
もりくまこは、居間で、バタバタしながら、書き続けます。

15/04/19 光石七

拝読しました。
小さい子がいると、世話をしなくてはいけなかったり邪魔をされたりで、なかなか落ち着いて書くことが難しいでしょうね。
せっかくの書斎は開かずの間になってしまいましたが、りくくんのお昼寝中に居間で執筆を進める主人公は、りくくんの寝顔を見て微笑んでるのではないかと思います。
主人公にエールを送りたくなりますね。りくくんも健やかに成長しますように。

15/04/20 こぐまじゅんこ

光石七さま。

コメントありがとうございます。
もりくまこは、書斎よりも、かえって居間の方が落ち着いて創作できるのかもしれません。

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