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海見みみみさん

はじめまして。 時空モノガタリで修行させていただいています。 焼き肉が大好物。

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将来の夢 プロ小説家になること!
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運び屋シークレット

15/03/17 コンテスト(テーマ):リレー小説 【 相談屋ケイジロウ 〜新宿編 @】 コメント:4件 海見みみみ 閲覧数:1464

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 新宿で相談屋なんて仕事をしていると、時々怪しい仕事が舞い込んでくることがある。その一つが運び屋だろう。
 運び屋とは文字通り、物を運ぶ仕事だ。問題はその物。一体どんなものを運ばされるのかは、基本的に運び屋自体には知らされない。それが例え非合法的なものであっても、運び屋は知らぬ存ぜぬで通さなくてはいけないのだ。
 今回は入った相談は、まさにそんな運び屋の依頼だった。

 新宿のとあるバー。そこで一人酒を飲んでいると、隣に一人の男が腰掛けた。黒いスーツに長身のコワモテな男だ。
「ご注文は」
 バーテンダーが俺と隣の男、二人同時に声をかける。
「ドライマティーニのとびきりドライなやつ。オリーブは抜きで」
「ティーチャーズをダブル、ストレートで。それとビターチョコレートを二つ」
「……それではこちらにどうぞ」
 二人の注文を聞くと、バーテンダーが俺たちを奥へと案内する。隠し扉を開けると、そこは防音のしっかり行き届いた密室だった。
「ごゆっくり」
 そこに俺と長身の男が残される。
 ここは密会のために使われる特別な部屋だ。先ほどの長ったらしい注文はこの部屋に入るための暗号みたいなものなのだとか。
 改めて長身の男、今回の依頼人である後藤田氏と向き合う。
「これが今回運んでいただきたいものです」
 後藤田氏がアタッシュケースから取り出した物、それは一通の封筒だった。
「これをターゲットの元まで運べばいいわけですね」
「その通り。なお封筒の中身は開封厳禁。今回の依頼も他言無用でお願いします」
「かしこまりました。確かに届けさせていただきます」
 俺は封筒を懐にしまうとそのまま密室を出て、バーから立ち去った。

 翌日。俺は新宿にあるとある施設に来ていた。ここでターゲットに例の封筒を渡す取り決めとなっているのだ。
 時刻は昼間の四時。他の施設利用者に紛れ建物の中に侵入し、施設職員であるターゲットを怪しまれないように探す。すると五分もしないでターゲットを見つけることができた。
「花園ユリさんですね」
 こちらが声をかけるとターゲット、花園ユリは一瞬怯えたような仕草を見せた。だがこちらが営業用の笑顔を浮かべると、その怯えもなくなる。
「後藤田様からです」
 そう言って封筒を差し出す。すると花園ユリは不思議そうな表情を浮かべた。
「後藤田さんから?」
 花園ユリは早速封筒を開けると中身を読んでいった。するとその内容に強い衝撃を受けたのだろう。花園ユリは明らかに動揺していた。
「後藤田さん……」
 花園ユリが涙をこぼす。俺はそれを確認すると施設をあとにした。

 事務所に帰ると麦丘さんがコーヒーを飲みながらくつろいでいた。
「ケイジロウさん、どちらまで?」
「保育園」
「それはまた。子供でも誘拐するの?」
「そんな物騒なことはしないよ」
「それじゃあ何の仕事をしてきたの?」
 その問いかけに思わず考えこむ。今回の仕事が運び屋として考えると少し特殊だったからだ。

 後藤田氏から渡された封筒。あの中身はきっとラブレターだったのだろう。なぜ封筒の中身を見ていないのにラブレターだとわかったのか? そんなの花園ユリの顔を見ていればわかる。あんなに幸せそうな涙を流すのは、好きな相手から告白をされた人間以外ありえない。
「うーん、今回の仕事は恋のキューピッドかな?」
「はぁ」
 すると麦丘さんは怪訝そうな表情を浮かべた。


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このストーリーに関するコメント

15/03/17 海見みみみ

青柳金次郎さま>
ご覧いただきありがとうございます。
やはり私らしいお話となると恋愛だと思い、今回はこのようなお話になりました。
よかったと言っていただけてよかったです。
次回作もまたよかったと言ってもらえるよう頑張ります!
それでは感想ありがとうございました!

15/03/20 泡沫恋歌

海見みみみ 様、拝読しました。

ラブレターをなぜ、本人が直接渡しにいかなかったのか。
そっちの事情が気になりますが、ハッピーエンドは読後感が良くて
とても良いですね。

15/03/20 海見みみみ

泡沫恋歌さま>
ご覧いただきありがとうございます。
しまった、肝心なところを書き漏らしていましたね。
後藤田氏は極度のあがり症だった、という事にしておいてくださるとありがたいです。
ハッピーエンドの読後感を褒めていただけて嬉しいです。
それではこの度は感想ありがとうございました!

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