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鮎風 遊さん

この世で最も面白い物語を見つけ出したい。 そのために、ひとり脳内で化学反応を起こし、投稿させてもらってます。 テーマに沿った個別物語の他に、いくつかのシリーズものをコツコツと書き続けさせてもらってます。 その主なシリーズものを紹介させてもらいます。  ☆❤☆❤☆ 新シリーズ 『ツイスミ不動産』 __ 2017.07.16よりスタートさせてもらいました。 カサリンとクワガタ野郎があなたが求める終の棲家を紹介いたします。  ☆❤☆❤☆ 『刑事 : 百目鬼 学(どうめき がく)』 __ 2017.05.21 ただ今、27話 __ 1話完結の2000文字推理小説です。この少ない文字数の中で、百目鬼刑事と部下の芹凛(せりりん)がいかに事件を解決していくか、その醍醐味を味わって頂ければ、光栄です。 これからも引き続き難しい事件に挑戦して参りますので、よろしくお願いします。  ☆❤☆❤☆ 『漢字一文字の旅』 __2017.04.04 ただ今、連載41__ 漢字にまつわるエッセイです。  ☆❤☆❤☆  『歴詩』 __歴史上の人物になりかわって、その波瀾万丈の生き様の思いを詩に綴らせてもらってます。 本作品については、フォト音(on)小説という形で、you tubeにもUPさせてもらってます。 詳細はこちらHPです。  ☆❤☆❤☆  http://ayukazeyuu.net/index.html  ☆❤☆❤☆                         よろしくお願いします。              

性別 男性
将来の夢 この世で最も面白い物語を見つけ出したい。
座右の銘 Do what you enjoy, enjoy what you do.

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男の嫉妬に、女の嫉妬が絡む時 ── 刑事 : 百目鬼 学(どうめき がく)

15/03/15 コンテスト(テーマ):第七十八回 時空モノガタリ文学賞 【 嫉妬 】 コメント:9件 鮎風 遊 閲覧数:2078

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 朝一番、エレベーターが開けば、男性が血みどろに。
 そして女性は首を絞められていた!

 なんと地獄絵図的な見出しか。昼食時、サラリーマンたちはこのニュースに縮み上がる。
 その内容とは…
 優良企業がこぞってオフィスを構える某ビルディング、そこには6本のエレベーターがある。
 その内の3本、A〜C機は地下から20階までの各階停止、残りの3本のD〜F機は1階から20階へ直行し、20階〜40階間の使用となる。
 朝6時に出勤した28階の社員が1階でエレベーターを待っていた。すぐにF機が到着し、ドアが開いた。そしてそこで社員が見たものは、心臓が止まるかと思うほどの、あまりにも凄惨な光景だった。
 7平米の狭いカゴ内の床に、女はナイフを手にしたまま倒れ、男は血みどろで女の首に手をあてがい、二人は絶命していた。
 通報により初動捜査が行われ、現段階で判明したことは――
 男性は花形断然、15階の某一流企業の、将来を有望視された超エリート社員。一方女性は同社社員で、ミスセクレタリーNo.1に選ばれたことがある青夜恋夢。
 なぜ、このような優秀社員が互いに殺し合わなければならなかったのか?
 二人はオフィスラブの果てに、愛憎の淵に滑落したと噂されている。

「おいおい、書いてくれるじゃないか、実にオモレー!」
 急遽本事件に駆り出され、現場検証から戻った百目鬼刑事、デスクに置かれた夕刊紙を一読し、ププと吹き出してる。
「刑事、不謹慎ですよ。私たちはこの不可解な事件の解決を任されたのですから」
 部下の芹凛(せりりん)こと芹川凛子刑事が妖魔の形相で睨み付けてくる。
 確かにその通りだ。百目鬼の長年の勘からすれば、この事件は色恋沙汰よりもっと深い闇がありそうだ。そんな疑念を芹凛も持っているのか、オヤジに負けじと…
「彼らのオフィスは15階ですよね、なぜそこには止まらないエレベーター内で殺人事件は起こったのでしょうか? いえ、互いに殺し合った、もしそのように偽装した犯人がいたとしたら、それは15階で犯行は行われなかったと強調したかったのでは」
 なかなかの読みだ。百目鬼はしばらく沈思黙考、といえば格好良いが、芹凛が「寝てるのですか?」と声を掛けると、おっと目を開き、いきなり指示を放つ。
「俺は二流だからよくわかるんだ。花形と青夜のような一流に出くわすとムカッとくるんだよ。そう、俺のように、僻みっぽいヤツが身辺にいないか、当たってみよう」

 こうして百目鬼と芹凛は3日間徹底的に聞き込みを行い、今デスクで向き合ってる。だが芹凛はこの間が辛抱できず立ち上がり、マグカップにコーヒーを注ぐ。そして百目鬼に差し出す。
 百目鬼はわかってる。こんな時、芹凛は自分の推理を披露したくて堪らないのだ。その鬱屈を解き放ってやるかのように、「話してみろ」と。すると堰を切ったかのように、芹凛の主張がほとばしる。

 このビルのメンテ会社、つまりエレベーター保全業務をしている黒界という男がいます。彼は花形の高校の同級生、学業はトップクラスでした。しかし貧乏で進学できませんでした。そんな黒界がある日見掛けたのです、流暢な英語で外人ビジネスマンと会話し、颯爽と歩く花形を。「ヨッ、頑張ってるね」と声を掛けますと、花形に「Keep a distance from me!」と怒鳴られました。
 しかし、同じ社員でも嫁姫沙耶は違いました。いつも笑顔で、黒界にご苦労様と声を掛けてくれました。そしてある日、嫁姫から話しを聞いて欲しいと誘いがあり、会ってみますと、涙ながらに訴えるじゃありませんか。
 恋人だった花形を今まで一所懸命サポートしてきたのに、花形は上昇志向で、経営に近い秘書、青夜恋夢に乗り換え、私は捨てられました。さらに、あなたは花形に嫉妬してるでしょ、私は青夜にひどく嫉妬。あ〜あ、この憂鬱から解放されたい、だから、二人に鉄槌を下しましょう、と。
 こんな合意で、あの夜遅く、エレベーターのプロの黒界はまず防犯カメラをオフにしました。それから黒界と嫁姫は15階のオフィスに居残る花形と青夜を殺害。そしてエレベーターの認証テンキーを操作し、普段通過のF機を15階で停止させ、15階とは無関係な階で殺し合ったように偽装したのです。

 パチパチパチ
「中らずと雖も遠からず、新聞記事より面白いよ」
 百目鬼が笑ってる。
「ちょっと−、からかわないでくださいよ」とムカッときた芹凛、「だけど、なぜ黒界と嫁姫はこんな痴話的で、いずれバレるような殺め方をしたのでしょうね」と首を傾げる。
 これに百目鬼は鬼の目をギョロッと剥いて、天に向かって言葉するのだった。
「神よ許し給え、この俗界では――男の嫉妬に、女の嫉妬が絡む時――愛憎物語風に演出された殺人事件が起こるのです。さっ芹凛、捕まえに行くぞ!」


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このストーリーに関するコメント

15/03/15 鮎風 遊

みな様へ

百目鬼刑事シリーズ
本編で18作目となりました。
過去品も合わせて読んで頂ければ光栄です。

また、
表紙の写真は下記から借りてきております。
GATAG|フリー画像・写真素材集 4.0
著作者: djandyw.com
ID: 201401081300

よろしくご理解ください。

15/03/15 海見みみみ

鮎風 遊さん、拝読させていただきました。
この短い中で推理ドラマを完結させるなんて凄いですね!
嫉妬というものの恐ろしさをしみじみ感じました。
これはシリーズの他作品も読んでみたいですね。
時間を見つけて読んでみます。

15/03/20 泡沫恋歌

鮎風 遊 様、拝読しました。

このエレベーターのトリック面白いですね。
嫉妬、これは怖ろしい感情で理性では制御できない。

そうそう、エレベーターで思い出したけれど・・・
昔、会社の忘年会が終わって・・・同僚の女性を、みんなと一階で待っていたら・・・
エレベターが開いたら! 上司の男性と抱き合ってました。
Σ( ̄ロ ̄屮)屮

酔っ払っていたとはいえ、人妻の彼女は『噂の女』になりました(笑)

15/03/25 草愛やし美

鮎風游さん、拝読しました。

この手のエレベーターのある複合テナントビルを知っています。間違って乗ると目的の階に行けないので、ある意味不便かなと感じたことがあります。でも、それを推理に使われるとは、なるほどなあと感心しました。
男女間の嫉妬は手におえない激しいものがあります。殺人までいくとどうしようもできません。ですが、男女間の嫉妬は適度に収めてなんて無理なようですね。怖いですよねえ、標的になってしまうことは……いやはや。

15/03/27 そらの珊瑚

鮎風 遊さん、拝読しました。

どろっとしたふたつの嫉妬をさらりと解決しましたね。
今回もお見事な推理でした。

15/03/29 鮎風 遊

海見みみみさん

コメントありがとうございます。

百目鬼シリーズ、他にもいろいろありますから、ご賞味ください。

15/03/29 鮎風 遊

泡沫恋歌さん

エレベーターはいろいろとミステリーを生みますよね。

あの密室の中で何かが起こってる。
恐いです。

15/03/29 鮎風 遊

草藍さん

嫉妬は不思議なもので、
嫉妬されてる側は、それに気付いてないのですよね。
だから、簡単に殺されることも起こるわけでして、
エレベーター、恐いですよ。

15/03/29 鮎風 遊

そらの珊瑚さん

コメントあいがとうございました。

このコンビの活躍、まだまだ続きますので、よろしく。

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