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鮎風 遊さん

この世で最も面白い物語を見つけ出したい。 そのために、ひとり脳内で化学反応を起こし、投稿させてもらってます。 テーマに沿った個別物語の他に、いくつかのシリーズものをコツコツと書き続けさせてもらってます。 その主なシリーズものを紹介させてもらいます。  ☆❤☆❤☆ 新シリーズ 『ツイスミ不動産』 __ 2017.07.16よりスタートさせてもらいました。 カサリンとクワガタ野郎があなたが求める終の棲家を紹介いたします。  ☆❤☆❤☆ 『刑事 : 百目鬼 学(どうめき がく)』 __ 2017.05.21 ただ今、27話 __ 1話完結の2000文字推理小説です。この少ない文字数の中で、百目鬼刑事と部下の芹凛(せりりん)がいかに事件を解決していくか、その醍醐味を味わって頂ければ、光栄です。 これからも引き続き難しい事件に挑戦して参りますので、よろしくお願いします。  ☆❤☆❤☆ 『漢字一文字の旅』 __2017.04.04 ただ今、連載41__ 漢字にまつわるエッセイです。  ☆❤☆❤☆  『歴詩』 __歴史上の人物になりかわって、その波瀾万丈の生き様の思いを詩に綴らせてもらってます。 本作品については、フォト音(on)小説という形で、you tubeにもUPさせてもらってます。 詳細はこちらHPです。  ☆❤☆❤☆  http://ayukazeyuu.net/index.html  ☆❤☆❤☆                         よろしくお願いします。              

性別 男性
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真夏夜の水族館

12/07/15 コンテスト(テーマ):【 水族館 】 コメント:8件 鮎風 遊 閲覧数:3209

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 梅雨は明け、本格的な夏が始まった。熱帯夜が続く。
「暑くって眠れないなあ。節電しないとダメだけど・・・・・・、えーい、クーラーの設定温度下げてみるか」
 単身赴任中の高見沢一郎、こんな独り言を吐き、ベッドからすり下りた。そしてリモコンで2℃落とし、後は冷蔵庫へと直進する。

 水分を補給しなければ、そんな強迫観念で、コップ一杯の冷茶をゴクリゴクリと飲み干した。そして片付けられてないチラシを手に取り、おもむろに目を通す。
『水族館オープン』、そこには太字でそう宣伝されてあった。
「ほー、水族館か、いいなあ。それにしても随分と近場に出来たんだ」
 夏の眠れぬ夜に思わぬ発見だ。しかし、高見沢はその先を走り読みし、目を疑った。
「えっ、営業時間が夜の10時から朝の5時まで? これって、どういうこと?」

 最近人工海水のためか内陸型水族館が増加している。したがってアパート近くでもさほど目を丸くするほどの話しではない。だが、深夜営業とは・・・・・・いささか意外だ。

「ははーん、勤め人は昼間に時間が取れないからなあ。そうなのだ、ここはサラリーマン向けの水族館なのだよ」
 高見沢は勝手な解釈をし、独り納得している。ホント、気楽なヤツだ。
 とは言うものの、深夜の水族館って、どんなの? 高見沢に興味が異常に膨らんでくる。こうなれば、じっとしてられない性分。どちみち眠れぬ長い夜、ふらっと外へと出てしまった。

 入場料は千円、割に安い。そのせいか、さほど大きくないフロアーに水槽が並び、どこかで見たような魚が泳いでいるだけ。まあ、第一印象としてはごくありふれた水族館だった。そのため、高見沢は「珍しいオトトはどこだーい?」と、巫山戯たことを叫んでしまった。そんな時に、係員が擦り寄ってきた。
「お客さん、今泳いでますよ。さあ、先へとお進みください」
 高見沢はこんな声を掛けられ、次の部屋へと入って行った。
 そこで度肝を抜かれる。なぜなら優雅に泳いでいるのだ。
 人魚が。
 しかも三匹、いやいや、この場合は三頭と言うべきなのか、それとも三人? いずれにしても長い黒髪で色白の、オッパイふくよかな・・・・・・、下半身がお魚のお姉さんたちがスーイスイと。
 高見沢は口をパカッと開けたままで、直立不動。心身が固体化し、この感動をうまく表現できない。

「お客さん、いい眺めでしょ」
 係員が耳元で囁いてきた。
「ああ、色気があって・・・・・・、ぞくぞくするよ」
 こう漏らしてしまった高見沢、それにニッっと笑い、「では、次のぞくぞくコーナーで御一服を」と、ほぼ無理矢理に「居酒屋・水族館」へと連れて行かれた。
 これはここで飲食し、きっとお金を一杯落とせということなのだろう。高見沢は人魚で思考破壊が起こってしまい、お薦め通りの、一万円・「ぞくぞくお頭かしら盛り」を注文した。
 しばらくしてお魚コスプレのウエートレスが大皿で運んできた。それは刺身の横にお頭がゴロンゴロンと盛られている残酷グルメ一品。ピククピクと動く大きな目玉で高見沢をギョロっと睨み付けてくるのだ。気色悪く、高見沢にぞくぞくと悪寒が走る。

 そんな館内居酒屋をさっさと飛び出し、先へと進む。すると水族館のメイン、そう大きな水槽が現れた。
「エイにタイ、イワシにタコ・・・・・・それにウミガメも、いろんなヤツがいるよなあ。やっぱりここが一番の見所かな」
 高見沢は顔を水槽のアクリル面に貼り付けて、多種多様な魚を目で追ってみる。しかし、どことなくおかしい。そしてギョッとする。
「全部人面魚だ! しかも呪われたような顔をしたヤツばっかりだよ」
 高見沢はおどろおどろしい気分となった。そんな瞬間に、御目にかかるのだ。
 水中であるにも関わらず、奥の岩陰にぼうと突っ立っている・・・・・・女性に。

 乱れた髪に、着物がはだけてる。青白く、ゆらりゆらりと揺れながら、高見沢を食い入るように見つめてくる。しかも怨念の籠こもった目付きで、じーっと。
 高見沢はまるで吸い寄せられるように目が合ってしまった。身の毛がよだつ。
「ひゃあ、恐ろしい」
 高見沢はこの恐怖から抜け出すために、自ら頬を叩いた。そして出口へと一目散。

 外はむっと暑い。しかし、高見沢はまだ血の気が引き、寒いくらいだ。
「あーあ、深夜の水族館て・・・・・・、おぞましい」
 その後の言葉が続かない。高見沢は身震いを一つして、今逃げ出してきた水族館を振り返ってみる。すると、そこには大きな看板が掲げ上げられてあったのだ。

 またのお越しをお待ちしてます。真夏夜の・・・・・・

 水ぞくぞく館へ


                      おわり


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このストーリーに関するコメント

12/07/16 ドーナツ

高見沢さん、大変な水族館でしたね。でも、今日のような暑い日には良いですよ。
人魚って、どこかしら、妖しいムードあります。
水族館の中の風景、昔読んだ乱歩のパノラマ島奇譚のようなムードに浸りました。次回、高見沢くんの冒険、楽しみにしています。

12/07/17 泡沫恋歌

鮎風さん、拝読しました。

なるほど、これぞ「水ぞくぞく館」だった訳ね!
真夜中にこんな水族館には絶対に来たくないと思った(笑)

さすが、我らの高見沢一郎はいつもイイ味出してますね。

12/07/17 汐月夜空

深夜営業の水族館、そんな施設があればなあ、と心から思う日々ですが……この水ぞくぞく館はちょっと行きたくないですね(笑)
あ、でも人魚は純粋に見てみたいです。
コンセプトがお化け屋敷みたいな施設ですね。デートスポットとすれば、ってそれともまた違いますね。
純粋に人をぞくぞくさせる水族館、面白いと思います。
真夏の夜の新たなテーマスポットになるかも……笑

13/10/01 草愛やし美

高見沢さん、水ぞくぞく館で、酔続々にならないようにしなくては……ですね。拝読しました。

13/11/29 鮎風 遊

ドーナツさん

コメントありがとうございます。

高見沢はこれからも活躍しますので、よろしく。

13/11/29 鮎風 遊

泡沫恋歌さん

はい、いいやつですわ。
これからも可愛がってやってください。

13/11/29 鮎風 遊

汐月夜空さん

コメントありがとうございます。

時期は真夏が一番、お越しをお待ちしてます。

13/11/29 鮎風 遊

草藍さん

ぞくぞくとお楽しみいただき、ありがとございました。
京都にもあるとか、都市伝説です。

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