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鮎風 遊さん

この世で最も面白い物語を見つけ出したい。 そのために、ひとり脳内で化学反応を起こし、投稿させてもらってます。 テーマに沿った個別物語の他に、いくつかのシリーズものをコツコツと書き続けさせてもらってます。 その主なシリーズものを紹介させてもらいます。  ☆❤☆❤☆ 新シリーズ 『ツイスミ不動産』 __ 2017.07.16よりスタートさせてもらいました。 カサリンとクワガタ野郎があなたが求める終の棲家を紹介いたします。  ☆❤☆❤☆ 『刑事 : 百目鬼 学(どうめき がく)』 __ 2017.05.21 ただ今、27話 __ 1話完結の2000文字推理小説です。この少ない文字数の中で、百目鬼刑事と部下の芹凛(せりりん)がいかに事件を解決していくか、その醍醐味を味わって頂ければ、光栄です。 これからも引き続き難しい事件に挑戦して参りますので、よろしくお願いします。  ☆❤☆❤☆ 『漢字一文字の旅』 __2017.04.04 ただ今、連載41__ 漢字にまつわるエッセイです。  ☆❤☆❤☆  『歴詩』 __歴史上の人物になりかわって、その波瀾万丈の生き様の思いを詩に綴らせてもらってます。 本作品については、フォト音(on)小説という形で、you tubeにもUPさせてもらってます。 詳細はこちらHPです。  ☆❤☆❤☆  http://ayukazeyuu.net/index.html  ☆❤☆❤☆                         よろしくお願いします。              

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群馬の地上絵

12/07/11 コンテスト(テーマ):第九回 時空モノガタリ文学賞【 群馬 】 コメント:4件 鮎風 遊 閲覧数:3212

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「今年もやっと見つけることができたか、良かったよ」
 単身赴任の圭吾(けいご)は、誰もいない部屋で感慨深く独り呟いた。そして、マグカップを手にし、冷え切ってしまったコーヒーをおもむろに口にした。その後、パソコンをパチンと閉じた。

 思い起こせば、佳奈瑠(かなる)と結婚してから二十五年の歳月が流れてしまっている。そして今年は銀婚式の年だ。
「まあ、よくぞここまで、やれてこれたものだなあ。これも群馬の地上絵のお陰だったのかもなあ」
 圭吾はこんな不可思議なことをついつい口にしている。そして、一緒になろうよ、と佳奈瑠にプロポーズした時のことが脳裏に蘇ってくるのだ。

「圭吾、一応お受けさせてもらいます。だけどね、探して欲しいものがあるの。それからにしてくれない」
 佳奈瑠は圭吾のプロポーズにこんな答えを出し、真剣な眼差しで見据えてきた。圭吾は何のことかさっぱりわからない。
「一体何を見つけ出せば良いの?」と聞き返した。

 すると佳奈瑠は、まるで大きな秘密を打ち明けるかのように、耳元でそっと囁いてきた。
「私たちの・・・・・・群馬の地上絵よ」

 佳奈瑠は群馬の女だ。
「かかあ天下になるけど、それでも、いい?」
 これくらいの返事ならば想定内だった。しかし、群馬の地上絵とは・・・・・・。
 圭吾はきっと狐につままれたような顔になっていたことだろう。だが佳奈瑠はそれを気にも留めず、すらすらと後を説明してくれた。

「圭吾、知らなかったの、群馬県は地上絵の宝庫なのよ。私たちはこれから家族になるのだから、馬たち、そう、私たちの群馬を見つけなくっちゃね。だけど群馬だから、移動するのよ、だから発見は難しいのだけど・・・・・・。ねえ、約束してちょうだい、毎年結婚記念日に、私たちはどこにいるのか、その地上絵の位置を私に教えてちょうだい」

 なんと珍奇なことを言う女なんだろう、圭吾は正直そう思った。だが、好きな気持ちには勝てなかった。「ああ、いいよ」と軽く返してしまったのだ。

 しかし、これがまことに大変だった。当時はパソコンも未発達、図書館を梯子(はしご)し航空写真を見漁った。そして、最初に発見したものがあった。それは今も確認できるが、猿というか、オッサンの地上絵 北緯36.879417  東経139.244867)だった。
 こんな第一発見が嬉しくて舞い上がり、佳奈瑠に伝えると、「もう婚約破棄するわ」とまで、こっぴどく叱られた。

 そして、その後、遂に・・・・・・見つけたのだ。群馬の地上絵を。

 圭吾は感激した。これで圭吾は佳奈瑠を娶(めと)ることができた。そしてその後、二人の子供を授かった。こうしてここに一つの家族が・・・・・・いや、群馬が構成されたのだ。

 そしてこの二十五年間、いろんなことがあった。仕事がうまく行かないこともあり、家族に随分と心配を掛けた。また子供たちの反抗期に手を焼いたこともあった。そして離婚の危機に陥った時期もあった。

 しかし、毎年結婚記念日に、圭吾はパソコンの航空写真から群馬の地上絵の位置を割り出し、「俺たちは、今ここにいるよ」と佳奈瑠に伝えてきた。
 そして、いつも佳奈瑠からの返事は決まっていた。

「圭吾、ありがとう。私たちはバラバラにならず、寄り添い合って、一所懸命山野を駆け巡ってるのね」

今年も・・・・・・跳ねて勢いが良い『群馬の地上絵』、それが確認できた。

 圭吾には、今ほっとした安堵感が湧いてくる。しかし、それにも増して、一つとなって群れる家族、それをこれからもしっかり守って行かなければと・・・・・・新たな決意をするのだった。

                   おわり


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このストーリーに関するコメント

12/07/11 泡沫恋歌

拝読しました。

群馬の地上絵もことは知りませんでしたが、
そういう地形が本当にあるんですか?

何だか、ファンタスティックなお話でした。

鮎風さんのお話には仲睦まじい夫婦の話が多いですね。

12/07/12 そらの珊瑚

鮎風さん
拝読しました。

ナスカの地上絵ならぬ群馬の地上絵
なんとも面白い発想ですね。
群れる馬、幸せな風景に思えてきます。
先頭を走っているのはもちろん圭吾でしょう。
(おくさまによって走らされているともきづかずに…笑い)

12/07/14 鮎風 遊

泡沫恋歌さん

コメント、ありがとうございます。

左のオッサンの地上絵は示している位置に発見しました。
他にまだまだあるでしょう、多分。

12/07/14 鮎風 遊

そらの珊瑚さん

コメントありがとうございます。

確かに、圭吾は走らされてるのかもですね。
馬車馬のように。

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