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鮎風 遊さん

この世で最も面白い物語を見つけ出したい。 そのために、ひとり脳内で化学反応を起こし、投稿させてもらってます。 テーマに沿った個別物語の他に、いくつかのシリーズものをコツコツと書き続けさせてもらってます。 その主なシリーズものを紹介させてもらいます。  ☆❤☆❤☆ 新シリーズ 『ツイスミ不動産』 __ 2017.07.16よりスタートさせてもらいました。 カサリンとクワガタ野郎があなたが求める終の棲家を紹介いたします。  ☆❤☆❤☆ 『刑事 : 百目鬼 学(どうめき がく)』 __ 2017.05.21 ただ今、27話 __ 1話完結の2000文字推理小説です。この少ない文字数の中で、百目鬼刑事と部下の芹凛(せりりん)がいかに事件を解決していくか、その醍醐味を味わって頂ければ、光栄です。 これからも引き続き難しい事件に挑戦して参りますので、よろしくお願いします。  ☆❤☆❤☆ 『漢字一文字の旅』 __2017.04.04 ただ今、連載41__ 漢字にまつわるエッセイです。  ☆❤☆❤☆  『歴詩』 __歴史上の人物になりかわって、その波瀾万丈の生き様の思いを詩に綴らせてもらってます。 本作品については、フォト音(on)小説という形で、you tubeにもUPさせてもらってます。 詳細はこちらHPです。  ☆❤☆❤☆  http://ayukazeyuu.net/index.html  ☆❤☆❤☆                         よろしくお願いします。              

性別 男性
将来の夢 この世で最も面白い物語を見つけ出したい。
座右の銘 Do what you enjoy, enjoy what you do.

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タットケー!

15/01/18 コンテスト(テーマ):第七十四回 時空モノガタリ文学賞 【 空港 】 コメント:6件 鮎風 遊 閲覧数:2048

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万感胸に迫る、お薦め珍名スポットを訪ねてみませんか?

国内
 ヤリキレナイ川       北海道由仁町
 南蛇井(なんじゃい)    群馬県富岡市
 シャックリ川        三重県名張市
 トロントロン        宮崎県川南町

海外
 アンポンタン(Anne Pontan)フランス
 オデンの森(Odenwald)   ドイツ
 タットケー(Thất Khê)   ベトナム
 マダカシラ(Madakasira )  インド
 マルデアホ(Mar de Ajo )  アルゼンチン

「これ、ナンジャイ!」
 我が人生も佳境、そこで振り返りの一人旅がしたくなり、旅行社を訪ねました。そこで手渡されたパンフレットに、私は思わず叫んでしまいました。
「お客さま、南蛇井ですか、世界を股にかけて活躍されてきた企業戦士には、ちーと近場過ぎませんか、もう少し遠い方がよろしいかと」
 相談を持ち掛けた旅行アドバイザーからこんな回答が。それにしても、ワテのナンジャイはどういうこっちゃという関西弁やがな、と関東人には理解不能な文句を一発付けて、ついつい、オデンの森って癒やされるだろうなあ、と呟いてしまいました。
 だが相手はプロ、聞き落とさず、「最近ヨーロッパは不景気で、こんにゃく不足、オデンの森がお出汁の森に、納豆巻きです」と、なっとりますのこじつけダジャレを。それでも私はズッコケず、親切心で、「やり切れないね」と合わせてやりました。するとアドバイザーは「北海道のヤリキレナイ川へ行ってみませんか、そのお気持ちを共有できますよ」と。
 この女は一体何を考えて生きてるのだろうか?
 そんな疑問に、私は「マルデアホ」とつい口を滑らせてしまいました。
「えっ、お客さま、一見賢そうなのに、マルデアホに行きたいのですか、それよりもマダカシラの方がよろしいかと」
 ここまで話しが捻れてくれば、もう会話を盛り上げるしかありませんね。
「もしお姉さんだったら、マダカシラで何を待つの?」と訊いてやりました。これにポッチャリ乙女子は団子鼻を天上に向け、「そうね、私の場合は…結婚マダカシラ」と虚ろになりやんした。
 その夢心地を破るかのように、「じゃあ、私の場合は?」と尋ねました。客からのこの詰問に、プロアドバイザーはハッと我に返り、青過ぎシャドウの下にツケマ4枚、そんなびっくり瞳をバシャバシャと二度打ちし、仰ったのです。
「お客さまの場合は、ご臨終…マダカシラ」
 怒髪天を衝く。
「タットケー!」
 私は年甲斐もなく叫んでしまいました。
 さすが旅行アドバイザーです、これに間髪入れず、「お客さまの究極の地はタットケーです」と答え、後は「Have a nice trip.」と英語でニッコリしてくれました。

 こんな経緯を経て、私が選んだ究極旅行スポット、それは「タットケー」。ベトナムのハノイから北へ100kmにある小さな町です。
 そこに到着した私は早速何の変哲もない街をぶらりと散策しました。それから屋台へと入り、ブンタン、つまり鶏だしのスープの五目米麺ラーメンを注文しました。さっ頂こうと箸を持った時です、アオザイを着たお嬢さんが前を通り掛かったのです。
 この瞬間です、驚きました、あちらこちらから「タットケー!」の声が飛んで来るではありませんか。もちろんこれにレスし、キリーツ。
 そうなのです、この町には掟があったのです。レディに敬意を表し、ご婦人の前では――タットケー!
 背筋をシャキッと伸ばし直立不動。私はこの仕来りに感動致しました。
 今までの不埒な人生、まるでそれが綺麗に洗い流されるかのようで、いや、むしろこれからは真っ当に生き抜く熱い熱を帯びさせてもらいました。こうして帰り便に搭乗したわけです。

「江原さん、モニターが異様な熱を感知しました」
 空港で入国手続きを終えた後、女性係員が声を掛けてきました。それに振り返りますと、他の乗客たちがウォーと声を上げながら後退りしてるじゃありませんか。
 その理由が何か、私はわかってます。そこで言ってやりました。「私はエボラじゃない、エバラじゃ!」と。
 それからすべてを無視し、歩き始めると、女性係員が近付いてきて囁くのです。「焼き肉のタレさん、お待ちください」と。
「ナンジャイ!」
 私は精一杯に反発を試みたのですが、なぜか旅行アドバイザーが薦めてくれた珍名が脳裏を過ぎって行くのです。それは南蛇井から始まり、オデンの森にヤリキレナイ川、そしてマルデアホにマダカシラと。
 こんな錯乱をする私に、ウン十年前に習った先生によく似た女性係員が声を張り上げました。
「タットケー!」
 これに私はシャキッと起立。まさに掟・タットケーを、日本で執行させられた、名誉の第一号になったわけであります。


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このストーリーに関するコメント

15/01/19 泡沫恋歌

鮎風 遊 様、拝読しました。

「タットケー!」
昔、学校に宿題を忘れたら、先生によく言われた言葉が懐かしい。
いや〜世界中にこんなダジョレみたいなヘンな地名があるんですね。

私は「マルデアホ」という所に行ってみたい気がします(笑)
何しろ「マルデアホ」だもんσ(´∀` )ァタシ

15/01/21 鮎風 遊

泡沫恋歌さん

コメント、ありがとうございます。

私はなぜか、タットケーが気になって仕方ありません。
マダカシラも結構気になりますよね。

今度、カシコという場所を探しておきます。

15/01/23 草愛やし美

鮎風游さん、拝読、爆笑しました。

こんなに珍名の観光地があるのですか、いや、驚きました。タットケーの学生さんたちは、全員、叱られると、タットケーって言われるのでしょうか?マルデアホはシッカリアホとどれくらいの差があるのでしょう? オデンの森の傍には、カラシ湖とかないのでしょうか? 疑問がふつふつとわき上がって眠れそうもありません。どうしましょう……治るノマダカシラ、イツカシラ? ああ、┐( -"-)┌ヤレヤレ 面白かったです。

追伸、私には、ぜひ、カモシレンという場所探しておいてください。マルデアホ、カモシレン。ハイナ(。´ФДФ)

15/01/28 石蕗亮

拝読致しました。
地名って面白いですね笑
ちょうどおでん食いながら読んでました。
うちらの頃はタットケーがほぼ無い時代でした。
授業が遅れるとのことで。代わりに宿題が増えたり居残り学習をやらされました。
立ってるネコいいですね🎶
あとエバラで吹きました。
面白かったです。

15/01/31 鮎風 遊

草藍さん

コメント、ありがとうございます。

世界にはいろいろな珍名があるようです。
カモシレン、探しておきます。

私の好みの珍名は、ヤッパリです。
パリの近くにあるかも。

15/01/31 鮎風 遊

石蕗亮さん

コメント、ありがとうございます。

おでんを食べながら読んで頂いたのですか。
最高ですね。

表紙のネコ君もタットケー!です。
よろしく。

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