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坂井Kさん

今年(2014年)は思い付きと勢いだけで書いてきましたが、来年(2015年)は、状況設定をもう少し固めてから書こうかな、と思っています。スティーヴン・キングによると、「状況設定をシッカリとすれば、プロットは無用の長物」らしいですから。

性別 男性
将来の夢 夢というより目標として、来年(2015年)こそ長編小説を書き上げたい。
座右の銘 明日はきっと、いい日になる。

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ムケる

15/01/09 コンテスト(テーマ):第七十三回 時空モノガタリ文学賞【 隣室 】 コメント:0件 坂井K 閲覧数:1146

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 一時間目の後の休み時間。

「隣のクラスの遠藤な、どうやらもうすぐムケるらしいぞ」「遠藤って、遠藤奈津子のこと?」

「当たり前だろ。二組に遠藤は一人だけだろ。知ってるだろ?」「もう、みんな知ってるの?」

「まだ芳樹と俺だけだ」「遠藤自身は気付いてるの?」

「まだみたいだぜ。自分では見えないうなじの辺りらしいからな」「芳くんは何で気付けたの?」

「あいつはさ、今度の席替えで、遠藤の真後ろの席になったんだよ」「芳くんは、自分がムコうとは思ってないのかな?」

「あいつが卑怯なヤツじゃないって、お前だって分かってるだろ?」「そうだね、勝手にムクなんて、芳くんがやるわけないよね…今、何日目ぐらいかな?」

「芳樹によると、3〜4日目ぐらいらしい。ヤツには兄貴がいるからな。詳しいんだよ」「それぐらいになっても、気付かないものなの?」

「らしいぜ。5〜6日目にならないと、自覚症状は出ないらしい」「じゃあ、教えてあげた方がいいんじゃない?」

「だから、お前のとこに来たんだよ」「どういうこと?」

「芳樹も俺もさ、遠藤には話しかけづらいんだよ…お前はほら、クラブが一緒だろ? 話しかけやすいと思ってさ」「そりゃ、よく話はしてるよ。けどさ、僕の方から話したことは、今まで一度もないんだよ」

「それでも、俺らよりは話しかけやすいだろ? クラブのことでちょっと…とか言ってさ」「そりゃ、まあ…」

「だろ? 頼むぜ。遠藤を狙ってるヤツは多いからな。俺が知ってるヤツだけでも…堀沢だろ、新開だろ、原田だろ…その他にも数人いるからな。新開は堂々としたヤツだから無いと思うが、堀沢や原田は怪しい。知ったらムクかも知れん。ヤツらが知る前に、遠藤に知らせてやってくれ」

 三時間目の後の休み時間。

「遠藤、話があるんだけど…」「何?」

「ここではちょっと…外、行かない?」「川端、あなたもなの?」

「何の話?」「私に告白したいんでしょ?」

「は? いやいや…たぶん、もっと重要なこと」「へぇ…それは聞かなきゃ、だね。じゃ、行くよ」

「よし、誰もいなさそうだ…じゃあ言うよ」「うん」

「遠藤のさ、うなじの辺り、ムケてきてるんだってさ…気付いてなかっただろ?」「だってさ…って、川端が気付いたんじゃないの?」

「気付いたのは芳くん…相馬。今朝だって」「言ってくれたら良かったのに」

「あいつシャイだからさ、女の子に話しかけられないんだ」「大きな体してるのにね」

「笑ってやるなよ。あいつイイヤツなんだぜ。自分がムイてやろう…なんて、絶対思わないぐらい」「ゴメン、バカにしたわけじゃないよ…」

「席近いんだし、ときどき話しかけてやってよ」「うん。戻ったら、ありがとう、って言っておく」

「芳くんも喜ぶよ…じゃ、また、クラブのときに」「待って」

「何?」「ムケてるとこ、確認してくれる?」

「触っても、いいのかな?」「いいよ。少しなら」

「ここだよ」「大きさは?」

「2〜3oってとこ」「もうムケそう?」

「まだ上手くはムケそうにない。ムキごろは、たぶん三日後ぐらいかな」「そう、ありがとう。もういいよ。離して…どうしたの? 何かあった?」

「いや、何も」「もしかして、ムイてやろうか…なんて考えてたんじゃない?」

「ちょっとね」「川端にだったら、ムカれても良かったかも」

「本気で言ってるの?」「本気…だったらどうする?」

「ムカないよ」「私のこと、興味ないんだ?」

「ズルいことをしたくないだけ…興味は、あるよ」「冗談よ。私も興味はあるけどね…興味がある者同士だし、付き合っちゃおうか」

「また冗談なんだろ?」「右手、出して」

「何で?」「いいから」

「分かったよ…はい」「甲の方、向けてくれる? 動かさないでね」

「…はい、できた」「ちょ…これ」

「今日から、川端の右手は私専用、ってことで。いいよね?」「うん、まあ…」

「じゃ、戻ろ。手、繋いでさ」「繋いだまま? …いいけど、先に手の甲だけは洗わせてよ」

「それ、すぐには消えないよ。油性だから」「えっ! このまま授業受けろって言うの? 恥かし過ぎるよ」

「冗談。それ水性」「悪い冗談ばかり言う遠藤奈津子は嫌いだよ」

「ゴメン、本気で怒ってる?」「全体としては、まあ…嫌いじゃないけど」

「そこはさ、好きだけど、っていうとこじゃない?」「今の僕には、言い切れないよ」

「私は、好きだ、って言い切れるのに…私だったら、ムイてたけどな」「ムクよりさ、ムカれる方が楽だよ。たぶん」

「そんなもんかな…」「そんなもんだよ」

「…そろそろ戻ろうか。いいよ。繋いだままで」「うん」

「ただし、途中で手の甲だけは洗わせてもらうよ」「OK」

 もうすぐチャイムが鳴る時間。四時間目が始まる時間。


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