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希咲 海さん

希咲 海(きさき うみ)です。 文学ってなんぞや? を勉強しに参上しました。 皆様の胸お借りいたします! 普段はJファンタジーを中心に執筆しておりますが、こちらでは現代ドラマを中心に色々と楽しませていただきたいと思いますd∀

性別 男性
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ビデオテープ

15/01/07 コンテスト(テーマ):第七十三回 時空モノガタリ文学賞【 隣室 】 コメント:2件 希咲 海 閲覧数:1114

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 あれは私が20歳になったばかりの事でした――。

 社会人になり古いアパートでしたが、一人暮らしを始め、毎晩のように友人達と部屋呑みをして騒いでいたんです。

 今思えば、若さ故なのかもしれませんが、度が過ぎていたのは明白でこれほど後悔したことはありません。

 あの日もいつものように酔っ払ってバカ騒ぎしていました。

「あれ?酒がもうねぇな。買い出しにいくか」

「そうだねぇ」

 酒がなくなればすぐ近くにあるコンビニへ買い出し。それはもはや日課のようなもの。

 その日は男女5人で呑んでいたのを記憶しています。

 いつもとは違う違和感は買い出しを終えて、部屋の鍵を開ける時に気がつきました。

「これ何だろう?」

 ドアノブにスーパーの袋がぶら下げられていました。中を覗いてみると一本のビデオテープが入っていたのです。

「ビデオテープ?」

「おもしろそうだ!見てみようぜ?」

 生憎、私の部屋にはビデオデッキはなく、後日友人が持参することになりました。テープは私の部屋のテレビ台に置きっぱなし。

 怖いものなんて当時はなかったんです。ちょっと気味が悪いなって気持ちはありましたが、まさかそんな映像が映っているとは……。

 仕事が繁忙期に入るタイミングだったこともあり、その日のメンバーが揃ったのは2ヶ月くらい後のことでした。

「じゃーん!!」

 部屋をあけるなり、そう言って登場した友人の手にはビデオデッキが。

「ビデオデッキ?」

「忘れたのかよ?スーパーの袋にビデオテープが入ってただろ?久々に揃うから持ってきたんだ」

 そんなのもあったな。その時はその程度にしか思いませんでした。またバカ騒ぎして、酔っ払って、2回ほどコンビニで買い足した頃。

「本日のメインイベントだ!」

 そう言った友人がデッキをテレビに接続しました。

「テープはどこだよ?」

「え?テレビ台にあるでしょ?」

「ないよ」

 私はあの日以来テープは移動させていないはず。無意識のうちに移動させたのだろうか?そんな疑問を抱いていたら、友人が「あったあった」とテレビ台の下からテープを見つけ出しました。

「さては、ビビって隠したな?」

 隠してない!私はそう叫びたかったがなぜかうまく声がでません。

 そうこうしているうちに、友人はテープをデッキに挿入。

「さぁてなにが映るかな?」

 約1分くらいは真っ暗のまま。そのあと、パァッと明るくなりました。どうやら、黒い画面ではなく暗い部屋だったようで明るくなったのは電気が付けられたから。

 六畳ほどの狭い室内、おそらく部屋の隅の天井あたりから撮影されている視点。

 そこに一人の男性が姿を現しました。

 当時は今のように鮮明なカメラはありませんので映像は荒く、顔まではよくわかりません。

(あれ?私この人の感じ、どこかで……)

 なんとなく見たことあるような雰囲気をした男性ですが、思い出すことはできませんでした。

 映像に映し出された男性は、カメラの前に立ち、目線を合わせます。すると、手や足を動かし不気味なダンスを始めたのです。

 当時流行っていたアイドル歌手のダンスをしたり、芸人の一発ギャグをしたり。無音で唯々繰り返す映像に友人達はケラケラと笑います。

 私も段々と可笑しくなってきて、終いには友人達と大笑いしていました。お酒の力もあるのでしょう。

 数分後、一旦映像が途切れ、また数秒後に同じ部屋が映し出されました。それは一旦そこで録画を中断し、改めて再開したものだとすぐにわかりました。

 先程と同じ男性が映し出され、手提げ袋から何か黒いモノを取り出し、カメラに向けます。

 ビデオテープでした。そのテープを部屋のテレビ台の下にそっと押し込みました。

「なぁ……」

「やっぱりそうだよね?」

 友人達は青い表情で顔を見合わせました。

「どうしたの?」

 と、私が聞くと。

「この部屋、どこかで見たことあると思ってたら、お前の部屋じゃん……」

「え――。」

 頭の中が真っ白になるとはこういう事だと思い知らされました。そして私達の視線は映像が撮られているであろう隅の天井へ。

「嫌……」

 背の高い洋服ダンスの上に、怪しく光るレンズ。男の友人がすぐにそのカメラを引っ張り出すと地面に叩きつけて壊しました。

「お前、引っ越したほうがいいぞ」

――ザァァァ……

 砂嵐のような音がテレビから流れ、体をびくっと跳ね上がらせました。視線はテレビに釘付け。

 そして……

『いつもいつもウルサイんだよ』

 男性の顔がアップて映り、野太い声でそう呟き、映像は終わりました。

 私は震えが止まりませんでした。

 だって、その男は隣の部屋の住人だったのですから――。


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このストーリーに関するコメント

15/01/10 クナリ

個人的に、生きた人間がもたらすホラーが好きなので、楽しませていただきました。
怖面白かったです。

15/01/11 希咲 海

クナリさん
コメントありがとうございます(^-^)/
初投稿で難儀しましたが、楽しんでいただけてよかったですm(_ _)m

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