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みやさん

写真と物語の融合、写真物語家を夢見ています。 マイペースで更新中。Twitter➪@miya_ayim

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I’m home

15/01/02 コンテスト(テーマ):第七十四回 時空モノガタリ文学賞 【 空港 】 コメント:7件 みや 閲覧数:1484

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その空港に連れて来て貰えて僕はとても興奮していた。その空港にあるのは飛行機ではなく船。ピカピカの大きなその船はみんなの憧れだった。突然出航のインフォメーションがアナウンスされて僕は戸惑った。今日は見学だけだと思っていたから。パパは僕にチケットを渡した。ママがパパとママも後の船ですぐに行くからね、と言った。そんなのは嘘っぱちだ。これが最後の船なんだから。

嫌がる僕はテレビで何度も見た事があるおじいさんに船のゲートに連れて行かれた。このおじいさんはこの船を造ったとても偉い先生だ。
パパとママが一緒じゃなきゃ嫌だ。僕もここに残る、と叫んだけれどカプセルの様なベッドに閉じ込められた。大気圏突入で衝撃があるけれど心配しなくて大丈夫ですよ。パパとママの想いを受け継いであげなさい。と先生は言った。このカプセルに入ると気持ちが落ち着いた。ママのお腹の中にいるみたいだ。もちろん覚えてないけれど。

その船はHOPE 0099号。正確に言うと船は船でも宇宙船だ。
地球は大地震や豪雨の天変地異、温暖化や放射能の影響で悲鳴をあげていた。地球が壊れる前に宇宙に脱出する為にこの船は造られた。燃料は引力や遠心力を利用していていつまでも飛んでいる事が出来る。飲み物や食物は人間の糞尿をリサイクルして造られる。酸素も一酸化炭素を酸素にリサイクルする事が出来るので完全な自給自足、完璧なエコロジーだ。
一隻に約千人もの人を乗せることが出来るHOPEは世界中で99隻まで造られ、100隻目の途中で製造は中断された。地球がもうすぐ最後の日を迎えるからだった。
HOPEに乗る為には一人一億円くらいかかる。僕の家はお金持ちじゃないから乗れるはずないと思っていたのに、パパとママはどうやってお金を用意したんだろう?

目が覚めるとそこは本当に宇宙だった。真っ暗な空間しかそこにはなかった。
この船には色んな人達が乗っていて、お金持ちの人達は家族揃って乗っていた。僕と同じ10歳くらいの太った男の子がぼくに声を掛けてきた。君の家は貧乏だから君しか乗れなかったんだね。うるさいデブ。なんだってお前こそ貧乏でチビのくせに。気にしている事を言われて僕は腹が立ち、デブと掴み合いのケンカになった。

先生が皆に説明を始めた。このHOPEはこれから10年間を掛けて地球の周りを周りながら地球が再生するのを待ちます。船の中では10年ですが相対性理論により地球時間では約100万年経過した事になり、うんぬんかんぬん…難しすぎて僕には理解出来ない。
ぼく達はこのHOPEに乗って宇宙から、地球が再生するのを待つ事は理解出来た。

HOPE乗船には三つのルールがあった。お酒とタバコは禁止、泣く事は極力控える涙は集めてリサイクル不可の為、そして死の選択の自由。すぐに死のカプセルと呼ばれる薬が全員に支給された。先生は言う。この船はHOPE、希望と呼ばれていますが、この異空間という特異な環境に置かれた私達は多大なストレスやプレッシャーに晒される事になります。辛くなったら死を選択してもらって構いません。私達は希望などでは決してありません。

一ヶ月目、その間にたくさんの人が死のカプセルを飲んだ。自分の糞尿をリサイクルして摂取する事に抵抗を感じる人、未来に絶望しか感じられない人。その中にはデブのお母さんもいた。泣いているデブに僕は言った。泣くのはルール違反だぞデブ。うるさいチビ。

二ヶ月目、耳の不自由な女の子に何故お前のような障害者がこの船に乗っているんだとひどい事を言う大人がいた。ミミみたいな子がいないと手話が…絶滅するだろう。デブが珍しく良い事を言う。先生はブラボー、と囁いた。デブはきっとミミが好きなんだ。

三ヶ月目、本当に地球に戻れるのかと疑心暗鬼になった人達が先生を非難し始めた。詐欺じゃないのか、金を返せ、地球に戻せ、と非難は殺到した。生きる為にこの船に乗ったのに、何故そんな事を言うんだろう。僕は悲しくなった。あなた達の代わりに僕のパパとママを乗せてくれたら良かったのに、と僕は泣きながら叫び、みんなはそれを聞いてしんと静まり返った。

まだたった三ヶ月なのに、僕達HOPE 0099号の乗客達の心はすでにバラバラだ。でも先生は楽しそうだ。集団が纏まる為には嫌われ者が必要なんですよ。一つの物事に対して一致団結する、良い傾向です。みんなの為に先生が嫌われ者になるの?喜んで。それに…10年後地球がどうなっているのか正直私にも分かりません。本当に再生されて青い惑星に戻っているのか、真っ黒な惑星になっているか、またはビックバンで消滅しているかもしれません。そんなの嘘っぱちだ。きっと帰れるよ先生、ただいまって。ただいま、地球って。先生はブラボー、と嬉しそうに笑う。


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このストーリーに関するコメント

15/01/04 クナリ

SF的な設定の羅列と展開で終わるのではなく、それぞれの登場人物の心情が行動を通して表現されていて、とても読み応えがありました。
「あなた達の代わりに僕のパパとママを〜」の箇所は、一人称で冷静に状況を説明していく地の文の中に強調されることもなく混じりながら、強い存在感があって鮮やかです。

15/01/05 草愛やし美

みやさん、拝読しました。

2千文字の掌編とは思えない読み応えのある作品でした。SF面での科学的な設定も納得できるもので、感心しました。
切なさで、どうかするとこのHOPEという宇宙船の全員が死のカプセルを選ぶのではないだろうかと疑心暗鬼を持ってしまった私でした。ですが、主人公の強さに、彼は生きて地球に戻るだろうと読み終わって確信しています。だって、両親の想いを背負っているのですものね。彼は前向きでとても強い子、HOPEの希望を繋ぐのは、きっと彼だと私は思っています。とても、面白かったです。

15/01/12 みや

クナリ様

コメントありがとうございます☺︎

文字数の制限の為に感情描写をなるべく控える為に行動により感情を想像して貰えればいいな、と考えていたのでそう言って頂けて本当に嬉しいです。とても2000字では足りなくてセリフの鉤括弧も思い切って省略しました。

15/01/12 みや

草藍 様

コメントありがとうございます。SFだから何でもあり、にはしたく無かったので船の設定はとにかくあり得そうな設定を無い頭で考えました。読み進めながらあれこれ想像して頂けて本当に嬉しいです。物語のその先を想像して貰える、それこそが掌編の醍醐味ですよね!

15/01/26 光石七

拝読しました。
いずれ現実に起こりそうですね……
乗客たちの反応や言動にも現実味、説得力があります。
「あなた達の代わりに僕のパパとママを乗せてくれたらよかったのに」という台詞が印象的です。
主人公の純粋な強さが希望を持たせてくれますね。

15/02/01 みや

光石七 様

コメントありがとうございます☺︎

乗客達の行動や思いを2000字に収めるのに苦労しました。
デブやミミのエピソードをもっと深く書きたい思いが湧いてきて…

15/02/01 みや

光石七 様

コメントありがとうございます☺︎

乗客達の行動や思いを2000字に収めるのに苦労しました。
デブやミミのエピソードをもっと深く書きたい思いが湧いてきて…

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